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第1章 異世界転移でざまぁ編

第45話 おっさん、貴族と商売する

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「侯爵様がお会いになるそうです。次からは面会の約束を取り付けてからきて欲しいのですが」
「悪いね。スラムの出なんで」

 俺は不良在庫になっている人工宝石を売り込もうと、リベリオの屋敷に来ていた。
 執事に通されリベリオに会う。
 リベリオは若干やつれたように見える。
 忙しいのだろうな。



「侯爵就任おめでとうございます」
「挨拶はいい。儲け話があるのだってな。早く話せ」

「宝石が無限に調達出来る伝手があって、宝石を売りたい」

 リベリオはしばらく顎に手をやり考えている。

「ふむ、それが本当なら助かる。正直、領地の経営が火の車なんだよ。藁にも縋りたい」

「それで、宝石を牛耳ってる輩との軋轢なんかはどうする?」
「そちらは金で解決だな。儲けは少なくなるが問題ないだろう」



「じゃあ、サンプルを出す。収納箱アイテムボックス

 俺は大小さまざまなジルコニアを出した。

「すばらしい、輝きだね。いい値がつきそうだ」
「ところで、何か面白い話はないか。レベルを上げるのも少し飽きた。盗賊退治もな」

「こちらは面白くない話ばかりだ。侯爵になったのを少し後悔している。そういえば、難攻不落のダンジョンをうちが権利を持っていて、不良在庫になっている。買ってくれないか?」

「どんな、ダンジョンだ?」
「ドラゴン・ダンジョン、別名、悲願達成の迷宮と呼ばれている。モンスターはドラゴンしか出てこない、ボスしかいないダンジョンだよ」

「なんで悲願達成なんだ?」
「伝説がある。最下層に達した者には神が願いを叶えてくれるらしい」

 なんだと。
 神が願いを叶えてくれるだと。
 大金持ち、絶世の美女、いやいや権力。
 考えてみたらどれもいらない。
 ささやかだが、贅沢を出来るお金もあるし。
 アルマ達もいる。
 それにSランクは権力といってもいいだろう。
 なんだ、全部持っている。
 俺の願いは異世界に来た時から変わりない。
 帰りたい、ただ帰りたい。
 それだけだ。

「幾らだ?」
「金貨一万枚は欲しい」

「分割で良いのなら、買っても良いぞ」
「そうか、買ってくれるか。宝石の出所とかも気になるが、ダンジョンの購入の理由も分からない」

「宝石は魔力から作ってる。特別なドロップ品のおかげだとでも思ってくれ。願いを叶えてくれるなら、転移で飛ばされたんで故郷に帰りたい」
「嘘は言ってないみたいだな。分割購入の担保はダンジョンの権利になるが良いか」
「ああ、それで構わない」

 書類を作成し、俺は屋敷を後にした。

  ◆◆◆

 ドラゴン・ダンジョンは現在、封印されている。
 俺は一人準備を整え、三人に留守を任せてダンジョンに出かけた。
 何故一人で挑戦するかの理由だが、三人には荷が重いからだ。
 特別な攻略法でもない限り三人はこのダンジョンには連れてこないと決めた。



 ドラゴン・ダンジョンは街から日帰りできる所にあった。
 私有地につき立ち入り禁止の看板が立ててある。
 石碑は無かったが、何も書いていない立て札を見つけ近くを掘り返す。
 入り口を見つけ、ダンジョン産ブースト・ポーション四種類を飲む。
 さあ、いくぞ。
 ダンジョンに入ると巨大な部屋だった。
 モンスターが召喚される。
 1階で出てくるのは資料を見てワイバーンだと分かっていた。

 俺はアイテムボックスからロックアイスを大量に出す。
 このダンジョン攻略の為に氷魔法をスキルオーブで覚えた。

 ワイバーンの姿が確認されるのを見て唱えた。

「必殺技ロックアイス吹雪ブリザード!」

 俺はロックアイスを材料に吹雪の魔法をワイバーンに叩きつけた。
 ワイバーンが吠える。
 よし、効いているみたいだ。
 動きの鈍くなったワイバーンに駆け寄り、ジャンプして翼にメイスを打ち込む。

 翼は折れたようだ。流石パワー・ブースト・ポーションの威力。
 しかし、敵もさる者、なんと俺を飲み込んだ。
 俺は胃の中でありったけの力を増幅するドロップ品を身につけ腹をぶち破る。
 そして、もがき苦しむワイバーンの頭に俺は渾身の一撃をみまった。

 ワイバーンが魔石になっていく。
 1階層でこれか、攻略部隊が8階層で全滅したのも分かる気がする。
 レベルが足りないな。
 ポータルで入り口に戻り、攻略可能な封印ダンジョンは全て攻略しようと思った。
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