上 下
147 / 179

第147話 巨人の祭具

しおりを挟む
 巨人のダンジョンは、神殿フィールドに突入した。
 ギリシャ神殿とどっちがでかいだろうか。

【神殿か】
【お宝がありそう】
【また勇者プレイが見られるのか】

 出て来た巨人はローブのような服を纏ってる。
 神官だな。

 プリーストジャイアントと呼ぼう。

「さてプリーストジャイアントはどんな攻撃してくるのかな」

 弥衣やえがバリスタを発射。
 矢は空中で止まって落ちた。
 一瞬バリアみたいな物が見えた。

【結界魔法の類だな。防御魔法かも知れんが】
【こういうのは力技で通るものだ。CGの連打があれば突破は容易い】
【そういう攻撃が一番なのか】

 弥衣やえがモノポール爆弾を投げる。
 爆発は結界に防がれた。

 綺羅々きららが斬り掛かり、シロガネが牙を立てようと飛びつくが、結界に阻まれた。
 そして、四角い炎の塊がプリーストジャイアントから発射された。

 みんな避ける。

【やっぱり結界だな。さっきのは結界の内部で炎を発生させたのだろう】
【チートくさい能力だ】
【結界に取り込まれると、そこは相手のフィールドだ。嫌らしい敵だな】

 うん、連打したくてうずうずする。
 弥衣やえはどうするかな。
 と思ったら冷静にモチとキナコに指示してる。
 そしてバリスタを発射。
 今度の矢は結界を貫通した。
 ああ、グラトニーマテリアルの矢じりね。
 あれは魔法も消し去る。

 プリーストジャイアントは倒れた。
 落ち着いて対処すればわけないのだな。

綺羅々きららがちょっと手持ちブタさんだ」

【手持ち無沙汰ね。ぶたさと間違え易い】
【分かって言っていると思う】

「えっ、そうなん」

【分かってなかったらしい】

綺羅々きらら、グラトニーソードよ」

 弥衣やえがアイテム鞄から、黒い刀身の剣を取り出して、綺羅々きららに渡した。
 シロガネがくぅんと鳴いた。
 シロガネのグラトニーファングとか作れるかな。
 武器工房のおっちゃんに頼んでみよう。

【神聖な巨人の神殿を荒らすとは何事です】
【いや、巨人は敵だから】

 俺達がプリーストジャイアントを進むと祭具が飾ってあった。
 それは全て人間のドクロで出来ている。

「見ろよ。これが巨人の本性だ」

【首狩り族だって、干し首をぶら下げたじゃないですか。彼らも未開だというだけのことです】
【これは擁護できんな】

 俺はドクロの中に、コボルトとケットシーの物を見つけた。
 頭に血が登る。
 巨人許さん。
 絶対にこのダンジョンを攻略する。
 祭具は全てアイテム鞄に入れた。
 後で丁重に葬ろう。

 神殿を抜けると城が見えた。
 今日はここまでにしておこう。
 いや、このけった糞悪い神殿を破壊しなきゃ気が治まらん。

 弥衣やえにカメラを渡してアダマン鉄パイプを手にふり返る。
 そして連打し始めた。
 ヒャッハー。
 こんな汚物は藻屑となれ。

 そして、全てを破壊した。
 再びカメラを装着する。

「解体屋に来てもらいました」

【早い仕事だな】
【まあ、法律とか近隣住民の文句が出ない案件だからな。すぐに壊せるのだろう】
【そうかな。それにしても早いような】
【貴重な文化財に何をするのです】

「あんな神殿は要らない」

【そうだな。人間の骸骨から作った祭具とか使っている時点でアウトだ】
【今回はおっさんの支持をするよ】
【配信見てる大勢もそう思っている】

「俺は悪だから神は怖くない。神聖な物を壊してやったぜ」

【うん、悪事だ。おっさんは素晴らしい悪党】
【だな。文化財なんか糞喰らえだ】
【すっきりした終わり方だった】

 俺はダンジョンを出ると、祭具を展示して巨人の悪行を訴えた。
 そしてお経を唱える専門の坊さんを30人ほど呼んで、お経を唱えさせた。
 ダンジョンの脇の空き地を買い取ってそこに埋葬。
 石屋に塚を建てるように頼んだ。

【埋葬してやるのは優しいな】
【俺だったら金までは出せないな】
【世論が動くかもな】
【祭具の写真は撮って保存した】
【後世まで語り継ごう】

「巨人を守る会に宣戦布告する。ぶっ潰す」

【おう、おっさんが本気になった】
【あれを見るとそう思うよ】
【巨人を守る会を非難しようぜ】
【俺もアンチコメント書き込んだ】

 死骸を冒涜する奴は許さん。
 俺はモンスターの死骸だって有効利用してる。
 遊びで殺したことはない。
 祭具にするなんてもってのほかだ。
 そんなのは文化だと認めん。
 巨人を守る会のアンチキャンペーンを始めよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

処理中です...