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第133話 勇者プレイ

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 巨人のダンジョン第2階層。
 村フィールドだ。
 ただその家はどれもでかい。
 普通の2倍サイズだ。
 出てくる巨人は、ビレジャージャイアントだな。
 武器はフォークだな。
 食器のフォークのでかい奴、牧草を運ぶのに使うあれだ。

 まあ、綺羅々きらら弥衣やえの敵ではない。
 さあ、お宝は。
 壺とかでかいから価値がありそう。
 貰っておく。
 食器もでかいサイズだが貰っておく。
 服は要らないが、もらっておく。
 まあ、全部貰っておく。

【勇者プレイだな】
【家財道具を根こそぎにワラタ】
【ゲスに相応しい行いだ】
【タンスを漁るのは勇者の特権だぞ】
【そのおぞましい行いをやめなさい。巨人との交渉が難しくなります】
【相容れないということが分からないのかな】
【話せば分かってくれるのです】
【まあ、勇者プレイはコソ泥の所業だがな】
【ゴブリンの巣穴があったら、宝物を漁るよな】
【モンスターに人権などない】

「俺は人食いでなければ別に構わない。それと襲い掛かって来なければな。勇者プレイは、俺が悪だからだ。もらえる物はもらう」

【野蛮な。この行いがモンスターとどう違うのです】
【おっさんなら悪党だと罵られると喜ぶな】
【うん悪口は賛美に聞こえるらしい】

「悪だという声が俺を強くする」

【そうだよな】
【巨人に人権が出来たら考える。まあそういうスタンスで良いのかもな】
【よくありません。いいですか、巨人はたしかに神話のいくつかでも人食いです。ですが、優しい巨人の逸話もたくさんあります】
【ええと昔話の巨人といまダンジョンにいる巨人が同じだという証拠は?】
【同じなのです。分かりませんか】

「俺は巨人を倒すのが、好きだからやっている。優しかろうが関係ない。いや、巨人が善ならなお良い。そっちの方が燃えるね」

【駄目だな。悪を成すという建前には何の意見も通らない】
【だな。正論を無視することが悪みたいなものだからな】
【だが、それが恰好良いと思っている俺がいる】
【あなたみたいな人がいるから】

「正論なぞ。金の力で粉砕してやる」

【うわ、ゲス思考だ】
【金で解決できることは多いからな】
【そうそう、死ねと書き込んだら、金があれば自由に訴えられる】
【じゃあ、おっさんは無敵】
【ある意味そうかもな。それにおっさんは法律を破らないんだよな】
【ずるい悪党というわけだ】
【悪は正義の前には滅びるのです。ファントム様ならなんとかしてくれるはずです】
【ファントムは巨人討伐賛成派だぞ】

「ファントムなぞ恐れるに足らん。いつでも掛かって来い。裁判で訴えてやる」

【そりゃ勝てんわな】
【暴行罪で訴えられたらね】
【ファントムも掛かっていかんだろ。いまのところおっさんを敵視した発言はない】
【おい、綺羅々きららチャンネルを見てたら、平治って呼んでる箇所があったんだが】
【詳しく】
【ああ、チアフルの平治ね。そう言えばファントムと似てるな。仮面がそっくりだ】
【バール使いだから共通している】

 くくくっ、チアフルに気づいた奴が出てきたか。
 予定通りだ。

【俺もチアフルは調べたが、活動が綺羅々きららチャンネルしかないんだよな】
【ファントムは配信をやってないと思われ】
【だよな。だとすると本物か】
綺羅々きららちゃんならファントムの本名と素顔を知ってたりして】
綺羅々きららチャンネルに書き込んだら平治の素性は知らないとさ】
【チアフルには女もいたよな。彼女はどこに行ったんだ】
【二人で活動しているんじゃね。ただ配信してないから分からない】

「ファントムの素性を提供してくれた人には100万円払おう」

【おっさんが懸賞金掛けたぞ】
【これは探さないとな】
【ダンジョンに入ったのなら記録が残っているかもな】
【うん、冒険者カードで出入りを管理している所がほとんどだから、何か分かるだろ】
【情報開示をどうやるかだ】

「それは俺がやってやろう」

【おっさんの金の力が炸裂するのか】
【討伐そっちのけだな。ヤエちゃんの雄姿を見てあげないと】
【そっちは後でゆっくり見る。今はファントムだ】

 さて、調べた結果はどうするかな。
 冒険者協会に邪魔されたと言おう。
 冒険者協会の大いなる闇。

 うん、盛り上がってきた。
 ファントムの目的はそれにしよう。
 冒険者協会の闇と戦う。

 ボスはどうしよう。
 買取場のおっちゃんに演じて貰おうかな。
 ラスボスが買取場の人の好いおっちゃん。
 なんか面白いかも。
 おっちゃんの映像はたくさんあるから、フェイク動画も作れるはずだ。
 金を少し使えば良い物ができると思う。
 よしフィナーレは決まった。
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