97 / 179
第97話 生きてるだけで悪党
しおりを挟む
うちの庭ダンジョン、3階層のアイアンセンチピードがいた山の頂上にはボス部屋の扉があった。
中に入るといたのは、馬鹿でかいコオロギみたいな虫。
【アイアンモールクリケットだな】
【モールってことは土を掘るの】
【だろな】
虫は前足で土を掘り地面の下に潜った。
「こら、逃げるな。ええとなんだっけ?」
【アイアンオケラね】
「おお、サンクス。鉄オケラって呼ぶことにする」
【ただ、逃げたんじゃないよ。戦略的撤退。そのうち下からズドンと来る】
どう料理しようか。
出てくるところをモグラたたきするのはめんどくさい。
「おら出て来いよ」
俺は地面を連打し始めた。
【出て来るかな】
【振動を感知して出て来るんじゃね】
【蜘蛛でもあるまいし】
土が盛り上がり、鉄オケラが顔をのぞかせた。
飛んで火にいる夏の虫とくらぁ。
連打連打連打。
半透明な液体が飛び散る。
鉄オケラは前足でアダマンパイプに応戦し始めた。
たたき合いなら負けないぜ。
何千回と叩き、鉄オケラの前足がぐちゃぐちゃになった。
オケラは口から岩石のつぶてを吐き出した。
「オラオラオラ」
俺はアダマンパイプで岩石を撃ち返した。
やがて岩石のつぶては止んだ。
ネタ切れか。
俺は頭を連打。
鉄オケラは死んだ。
「たわいないな」
【それできるのおっさんだけだから】
【3階層のボスはあっけなかったな】
ポータル登録して帰るか。
ダンジョンから出ると、新しい顔ぶれがたくさんいた。
「新しいノアフォロのメンバーです。祝福を与えてやって下さい」
「おお、いいぞ。寄生スキル発動」
「体が軽くなった気がする」
新しいメンバーの一人がよろけた。
俺はとっさに支えてやる。
凄い熱だ。
その時、急激に熱が下がってみるみるまに血色が戻る。
【奇跡を見た。死線を超えたな】
【死にそうになったので加護が凄く働いたってことか】
「ありがとうございます」
いきなり礼を言われるほどのことはしてない。
「余命一週間と言われてましたから」
家族が説明する。
そんな重病人を連れて来るなよ。
もっともここに来なきゃ死んでたが。
「腹が減った」
さっきまで病人だった人が空腹を訴えた。
俺はビッグリザードの焼き肉を出してやった。
焼いたのをアイテム鞄の中に常に備蓄してる。
他の新メンバーも食うわ食うわ。
「腹いっぱいになるまで食え」
「一ヶ月ぶりの食事です。今までは点滴で生きながらえてました」
「私もです」
「流動食しか食えませんでした」
みんな食いながら涙を流している。
普通に食事ができるのは幸せなことなんだな。
【いきなり食ったら普通吐くだろ】
【加護が働いているんじゃね】
【俺、もらい泣きしちまったよ】
「食いたかったら思うままに食え。それが幸せなら、寄生されることの対価だ。礼は要らない」
「ダンジョンで働いて、目一杯食って、やりたいことして、長生きしてやります」
【こんなの見たらノアフォロの入会者がますます増えるな】
【まあな】
【治療行為はうたってないけど。そういう事を言うと捕まるんだよな】
「治療じゃないぞ。人間は生きているだけで悪なんだ。長生きして悪を成すんだ」
【またへんなことを】
【おっさんの悪党論か】
【説明してみそ】
「人間は資源を浪費して、環境汚染して、野生動物を死に追いやるのだ。だから悪。長生きは悪。この瞬間も悪の手助けをしている」
【おっさんの価値観では悪は正義なんだよな】
【でも掃除とかしているのな】
「俺の手下が悪事を働くのはまだ我慢できる。しかし、他の人間が悪を働くのは我慢できない。環境汚染やめろ。野生動物を慈しめ」
【他人には善を求めるのな】
【環境汚染はおっさんなら辞めさせられる】
【グラトニーマテリアルで核廃棄物がどんだけ減ったか想像してみろ】
【だな、処分するに厄介なゴミが消える】
【おっさん、グラトニースライムの繁殖やれ】
「グラトニースライムの繁殖なんだけどどうする?」
「やりますとも」
ノアフォロの代表がそう言って胸を叩いた。
「私達もお手伝いします」
新メンバーもかなりやる気だ。
世界中のゴミが消えればいいな。
よし、ゴミ屋敷、抹消テロだ。
ゴミ屋敷に押し掛けて、ゴミをグラトニーに食わせて抹消しよう。
家主を説得できなければ、家主の子供親戚に訴える。
周りからやいのやいの言われれば、頷くしかないさ。
身寄りのない人は、コボルトとケットシーを送り込んで説得する。
ふはは、やってやるぞ。
俺じゃなくて、コボルトとケットシーとノアフォロがな。
中に入るといたのは、馬鹿でかいコオロギみたいな虫。
【アイアンモールクリケットだな】
【モールってことは土を掘るの】
【だろな】
虫は前足で土を掘り地面の下に潜った。
「こら、逃げるな。ええとなんだっけ?」
【アイアンオケラね】
「おお、サンクス。鉄オケラって呼ぶことにする」
【ただ、逃げたんじゃないよ。戦略的撤退。そのうち下からズドンと来る】
どう料理しようか。
出てくるところをモグラたたきするのはめんどくさい。
「おら出て来いよ」
俺は地面を連打し始めた。
【出て来るかな】
【振動を感知して出て来るんじゃね】
【蜘蛛でもあるまいし】
土が盛り上がり、鉄オケラが顔をのぞかせた。
飛んで火にいる夏の虫とくらぁ。
連打連打連打。
半透明な液体が飛び散る。
鉄オケラは前足でアダマンパイプに応戦し始めた。
たたき合いなら負けないぜ。
何千回と叩き、鉄オケラの前足がぐちゃぐちゃになった。
オケラは口から岩石のつぶてを吐き出した。
「オラオラオラ」
俺はアダマンパイプで岩石を撃ち返した。
やがて岩石のつぶては止んだ。
ネタ切れか。
俺は頭を連打。
鉄オケラは死んだ。
「たわいないな」
【それできるのおっさんだけだから】
【3階層のボスはあっけなかったな】
ポータル登録して帰るか。
ダンジョンから出ると、新しい顔ぶれがたくさんいた。
「新しいノアフォロのメンバーです。祝福を与えてやって下さい」
「おお、いいぞ。寄生スキル発動」
「体が軽くなった気がする」
新しいメンバーの一人がよろけた。
俺はとっさに支えてやる。
凄い熱だ。
その時、急激に熱が下がってみるみるまに血色が戻る。
【奇跡を見た。死線を超えたな】
【死にそうになったので加護が凄く働いたってことか】
「ありがとうございます」
いきなり礼を言われるほどのことはしてない。
「余命一週間と言われてましたから」
家族が説明する。
そんな重病人を連れて来るなよ。
もっともここに来なきゃ死んでたが。
「腹が減った」
さっきまで病人だった人が空腹を訴えた。
俺はビッグリザードの焼き肉を出してやった。
焼いたのをアイテム鞄の中に常に備蓄してる。
他の新メンバーも食うわ食うわ。
「腹いっぱいになるまで食え」
「一ヶ月ぶりの食事です。今までは点滴で生きながらえてました」
「私もです」
「流動食しか食えませんでした」
みんな食いながら涙を流している。
普通に食事ができるのは幸せなことなんだな。
【いきなり食ったら普通吐くだろ】
【加護が働いているんじゃね】
【俺、もらい泣きしちまったよ】
「食いたかったら思うままに食え。それが幸せなら、寄生されることの対価だ。礼は要らない」
「ダンジョンで働いて、目一杯食って、やりたいことして、長生きしてやります」
【こんなの見たらノアフォロの入会者がますます増えるな】
【まあな】
【治療行為はうたってないけど。そういう事を言うと捕まるんだよな】
「治療じゃないぞ。人間は生きているだけで悪なんだ。長生きして悪を成すんだ」
【またへんなことを】
【おっさんの悪党論か】
【説明してみそ】
「人間は資源を浪費して、環境汚染して、野生動物を死に追いやるのだ。だから悪。長生きは悪。この瞬間も悪の手助けをしている」
【おっさんの価値観では悪は正義なんだよな】
【でも掃除とかしているのな】
「俺の手下が悪事を働くのはまだ我慢できる。しかし、他の人間が悪を働くのは我慢できない。環境汚染やめろ。野生動物を慈しめ」
【他人には善を求めるのな】
【環境汚染はおっさんなら辞めさせられる】
【グラトニーマテリアルで核廃棄物がどんだけ減ったか想像してみろ】
【だな、処分するに厄介なゴミが消える】
【おっさん、グラトニースライムの繁殖やれ】
「グラトニースライムの繁殖なんだけどどうする?」
「やりますとも」
ノアフォロの代表がそう言って胸を叩いた。
「私達もお手伝いします」
新メンバーもかなりやる気だ。
世界中のゴミが消えればいいな。
よし、ゴミ屋敷、抹消テロだ。
ゴミ屋敷に押し掛けて、ゴミをグラトニーに食わせて抹消しよう。
家主を説得できなければ、家主の子供親戚に訴える。
周りからやいのやいの言われれば、頷くしかないさ。
身寄りのない人は、コボルトとケットシーを送り込んで説得する。
ふはは、やってやるぞ。
俺じゃなくて、コボルトとケットシーとノアフォロがな。
213
お気に入りに追加
729
あなたにおすすめの小説

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう
なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。
だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。
バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。
※他サイトでも掲載しています
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる