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第8話 寄生スキル

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 二人が一撃与えて必死に逃げているモンスターに俺が止めを刺す作業を開始。
 何日かそれをやって。

「何か手ごたえが違う。スキルが芽生えたかも」

 弥衣やえが突然そんなことを言った。

 休憩がてら、協会に行くかと言いたいが悪役ムーブではこうだな。

「強くなってせいぜい俺の手駒になってくれよ」

 そう言って、カメラを止めた。

弥衣やえがいて本当に助かっている。ありがとな」
「うん、わかっている」

 協会に行きスキル鑑定を受ける。

「男性の方のスキルは千撃必殺と寄生です」

 えっ、スキルが生えたのはいいけどなんで寄生。

「寄生スキルってどんなスキルなんだ」
「寄生スキルは寄生したメンバーの何パーセントかを搾取します。熟練度が上がると搾取する割合が増えます」

【ほんとクズだな。まあクズに相応しいスキル】
【嫌われ者に相応しい】
【俺だったらパーティメンバーにこんな奴いたら、速攻で追い出している】
【だよな、寄生されたら弱くなるってことだろ。絶対に我慢できない】

 生えたスキルは最近の行動が影響したのかな。
 彼女らが俺に寄生している感じだけど、一撃を加えてもらって待ち伏せすると、物凄くやり易い。
 俺が寄生していると言えるだろう。

「女性の方は武器強化ですね。肉体強化の武器版です。応用力の広いスキルと言えます」
「やった。すぐるさん、私、寄生されてもいいな」

【ヤエちゃん、天使過ぎる】
【こんな男に尽くさなくてもいいのに】

「寄生スキルには興味があります。私も寄生してみて下さい」

【ホワッツ】
【血の涙が出てきた】

「さすが俺の女達だ。寄生スキル発動。おおっ」

 弥衣やえの武器強化スキルが流れ込んでくるのが分かった。
 留美るみの火魔法と魔力操作もだ。

「よしダンジョンでスキルを試すぞ」

 俺達はダンジョンに戻った。
 スライムがいたので、魔法から試す。

「獄炎。ちっさ」

 20センチほどの火が出現してノロノロと飛んで行った。
 数パーセントじゃこんなものか。
 この分だと武器強化も大したことがないな。

【しょぼくてワラタ】
【数パーセントじゃしょうがない】

「私の魔力量じゃ無理だけど、あなたなら出来る。強引に魔力をつぎ込んでみて。魔力操作があるから可能でしょ」
「流石、俺の女だ。獄炎、10万倍の魔力をつぎ込んでっと」

 火の玉は段々と大きくなり10メートルほどになった。
 ダンジョンの天井まで届いている。

「消し飛べ」

 スライムに向かって火の玉を飛ばす。
 スライムは消し炭になった。

【チートだ。こんなのは許さん】
【でも撃つまで時間掛かりすぎ】
【溜めが必要なのはありがち】

「じゃあ次は武器強化だ」

 魔力をつぎ込むと段々と鉄パイプが光り始める。
 そして光が眩しいぐらいになった。
 それでスライムを殴ると、スライムは弾けた。

 これも溜めが必要か。
 だが必殺技としては素晴らしい。

「私達のパーティのエースになって欲しい」
「駄目」
「そんなこと言ったら私の魔力操作スキルが使えなくなるわよ」

 にらみ合う二人。

「手下をたくさん作るぞ。来る者食わまずだ」

【来る者を喰わないのか。食っているじゃないか。嘘つき】
【ほんとうにチートだな。勝てる気がまったくしない】
【立派になったもんだ。底辺だったのに】
【底辺希望の星だな。こういうのも見てて楽しい】
【楽しいものか。おっさん氏ね】
【寄生スキルで天下を取るなんて許さん】

 寄生させてくれる人を募集しても来てくれるかどうか。
 でもこれなら、トカゲに安定して勝てるだろう。

「二人とも俺の女に相応しい。素晴らしい力だ」

 カメラを切った。

留美るみ、お願いします。何でもしますから、しばらくスキルの能力を貸して下さい」
「いいわよ。それで借りはなしね」

「えっと、俺が借りているんじゃ」
「冗談でしょ。とにかく借りはなし。パーティを組んでいる期間だけ、能力を貸してあげるわ」
「ありがとうございます」

「私の武器強化も貸す。一生ね」
弥衣やえもありがとう」

「ところで配信の時にキャラ作っているけど、あれはないなと思う」

 留美るみの否定的意見。

「悪役ムーブは駄目?」
「私は良いと思うけど。ちょい悪オヤジも恰好良い。サングラスを掛けてみたら」

 やっぱり弥衣やえは分かっている。

「あなたには似合わないは、あなたのキャラだと真面目で誠実な好中年が似合うと思う」

 悪役ムーブはこれからも続けたい。
 何となく面白いからだ。
 炎上したって構うものか。
 そんなのはもう気にしない。
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