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第1章 クラン加入編

第12話 集団戦

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 集団戦をという事で次に選んだのはロックウルフ。
 岩に見える装甲をまとっているからこの名前がついた。
 Cランク依頼だ。
 繁殖力が旺盛ですぐに増える。
 増えすぎると大きな群れになって村や街を襲う。
 常時依頼だ。

 ロックウルフは岩場をねぐらにしていた。
 到着したが、どんな作戦でいこう。
 ライフルの強みを活かすなら狙撃で一頭ずつ殺していくのがいいだろう。
 それで行こう。
 今回は俺もライフルを持っている。
 ライオンが頼りにならないからだ。
 もちろんライオンは脇に控えさせているけどな。

「マリー、やるぞ」
「うん」
「【アニメーション】射撃」

 俺はライフルを発射。
 弾丸が岩に当たり、ライフルが消えた。
 何っ、これはあれか。
 弾丸が岩の硬さに負けて砕けたという事か。
 おー、ライフルにこんな弱点が。
 ロックウルフが一斉にこちらを見た。

 不味い。
 外してライフルが消えると、ポリゴン数の関係で二発しか撃てない。
 ライフルは4000ポリゴンだからな。

「地の利がない。マリー、逃げるよ」

 オープンカーを具現化して乗り込む。
 ライオンは囮にした。
 走るアニメーションの最高速で、街に向かって爆走。
 ロックウルフ達は追いかけてきた。

 マリーが後ろを向いてライフルを撃つ。
 走っているし、距離も遠いので当たらない。
 うわ、停まったら囲まれて食われる未来しか浮かばない。
 集団戦舐めてた。
 諦めて帰ってくれないかな。

 マリーが手榴弾を投げる。
 当たらない。
 そうだよな。
 当たらないよな。

 前方に人が見える。
 あの、黒光りする鎧は王打おうださんじゃないのか。
 この魔獣なすりつけたら怒られるかな。

 でも、説教より命だ。

 王打おうださんとすれ違いしばらくして停まる。
 王打おうださんはロックウルフの群れに向き合うと構えた。

「俺の拳をくらいやがれ。【流動】キングインパクト」

 パンチの衝撃波でロックウルフの群れが吹き飛ぶ。
 うわっパネェ。
 一撃かよ。

 車から急いで降りて王打おうださんの前で正座する。

「何の恰好だ」
「いや、魔獣をなすりつけたから」
「あんなもの蟻んこと変わらん。だが、魔獣とやって逃げるのは色々と準備が足りてないな」
「ごもっとも」
「だが、命は一つだ。引けない戦いでは命を張る事も必要だが、逃げて良い戦いでは敵わない時は逃げろ。格下になすりつけたら、お説教どころじゃ済まないがな」
「分かりました。肝に銘じます。今日の夕飯はお詫びにおごりますよ」
「ちょうど良い。俺の戦いを見学していけ」

 そう言うと王打おうださんはオープンカーに乗り込んだ。

「この道をしばらく行って、分かれ道を左だ。この乗り物は速くていいな」
「まあ、取柄の一つですから」
「マリーは風を切って進むの大好き。さっき王打おうださんに謝っていたけど、なんで」
「悪いと思ったから」
「子供らしくない。叱られてから、謝ればいいのよ。失敗なんて沢山するんだから。それに失敗して怒られてから、理由に気づくものよ」

 子供ってそんなもんだよな。
 やっちゃってから、怒られて謝る。
 怒られる理由を子供が分からない時もままある。
 子供らしくないのは仕方ない。
 中身は大人だからな。

「腐っても俺は元貴族だ。悪いと思ったら謝る。人として当然だ」

 そう言ってみました。
 中身が大人だと言うのが怖い自分がいる。
 マリーに見捨てられたらどうしようと大人とは思えない事を考えた。
 たぶん、ディザの記憶に引きずられているんだろうな。

 王打おうださんの依頼の現場に着いた。
 村の広場にライオンの頭とヤギの胴体を持つ魔獣がいる。
 たぶんキマイラだと思う。

「前に出るなよ」

 王打おうださんはそう言うとオープンカーからひらりと飛び降りた。
 キマイラが火炎を吐いた。

「ふん。【流動】キングインパクト」

 パンチの衝撃で炎が消える。

 キマイラの尻尾が動き毒液を飛ばしてきた。
 おお、蛇の尻尾ね。

「しゃらくせぇ。【流動】デスブリット」

 パンチを打つと透明な何かが飛んでいって、蛇の尻尾が弾け飛んだ。

「止めだ。【流動】キングインパクト」

 王打おうださんは接近して拳を打ち込んだ。
 ライオンの頭が弾けた。
 キマイラの死骸を収納バッグに入れて討伐は完了。
 あっけないもんだ。
 あれが真の覚醒者か。
 強いな隙が無い。

「どうだ坊主。感想は」
「俺なんかまだまだですね」
「その年で俺と同じ働きをされちゃ、困るが。そういう奴らはいるからな」
「帰ってしばらくは修行します」
「好きにするさ」

 こういう所が子供らしくないんだろうな。
 子供なら、目をキラキラさせて、どうやったら強くなれますかなんて聞くんだろうな。
 俺に子供の振りは無理だ。
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