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第17章 呪文屋のドラゴン
第101話 呪文屋の日々
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「おう、呑ん兵衛魔法を一つ」
鼻とぽっぺが赤い中年の男性がやって来た。
「ええっと、酒を造る魔法ですか」
「お前、呪文屋やって日が浅いだろ。って言ってもスライムじゃな」
「その通り日が浅い」
「呑ん兵衛魔法ってのは氷を作る魔法だ」
「ライラスさーん、氷魔法一丁」
ライラスが奥から本を持って現れた。
「はい、はい。お客さん、どのような氷魔法をお求めですか」
「呑ん兵衛魔法って、さっきから言っているんだがな」
「それは失礼しました。それですと銀貨一枚ですね」
紙にサラサラとライラスは呪文を書き写した。
「『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・モチキニソ・けモセレ・モセほニソイろコラリカろモチノイゆヌよレ・む』だな。覚えたぜ」
魔法が発動して、4センチほどの氷の礫が落ちる。
なるほどウイスキーなんかに入れるのにちょうど良いな。
たしかに呑ん兵衛魔法だ。
解析するまでもないが解析してみる。
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=ice_bolt_make(1); /*氷生成*/
}
酒を造る魔法が出来ないだろうかと考える。
魔力でアルコールを出すのは味気ない物が出来上がるのだろうな。
蒸留は可能だが樽に寝かせるから良いのであって素人が手をだすものじゃない。
熟成させる魔法も可能なんだろうけど取っ掛かりがない。
まあ、研究するほどの物でもないだろう。
やめだ、やめだ。
次の客は年配のご婦人だった。
「いらっしゃい」
「かわいい店番ね」
「なんにします」
「極楽魔法をちょうだい」
極楽魔法。
これはまた凄い名前の物がきたな。
俺では分からないから、ライラスを呼ぶ事にする。
「極楽魔法いっちょう」
「はいはい、極楽魔法ですね」
ライラスは本から呪文を書き写して手渡した。
ご婦人は早速やってみるらしい。
「ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・
ソクチス・ラスコニカガヌワムレ・
ニミカ・ニレ・
モチキニソ・けモセレ・
モセほチニスろコナリリイカろモチノイゆヌよレ・
ハラスゆニほワレニねヌワワワレニれれよが・
モチキニソろヒニコスチカニラミゆモセネラスコニカネトニツイラハゆラスコニカよよレ・
モチキニソろモラヒイゆモセネラスコニカネトニツイラハゆラスコニカよよレ・む・む」
しばらく待つが何も変化はない。
む、何も起こらないぞ。
「はぁー、極楽、極楽。おかげで肩こりがすっかり良くなったわ」
肩こりを治す魔法ね。
治癒系の魔法なのかな。
解析してみる。
void main(void)
{
char orbit[10]; /*軌道データ*/
int i;
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=air_bullet_make(1); /*エアバレット生成*/
for(i=0;i<1000;i++){
magic_vibration(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*振動のデータを入れる*/
magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*動かす*/
}
}
おーう、まさかのマッサージ機。
「ホムンさん。極楽魔法を売る時は今度から小声でそっと知らせて下さい」
「えっ、何でまた」
「この魔法は娼館で大人気なのですよ」
ああ、そういう用途ね。
そうか納得。
「俺が悪かったよ。極楽なんて名前が付いているところから、気がつかないといけなかった」
「気をつけて下さいよ」
「ああ、分かった」
さて、次はどんな客かな。
「おー、スライムが居る。触っても怒られないかな」
指をティに突き出してくる客は男の子だった。
「お客様、ご注文を」
「うひゃあ」
男の子は驚いて腰を抜かした。
「ご注文を」
「驚いた。えっと、かっこいい魔法を下さい」
うーん、かっこいい魔法ね。
子供に攻撃魔法は危なすぎるな。
水魔法も悪戯しそうだ。
実害がなくて面白いのか。
『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・
モチキニソ・けモセレ・
モセほコナカカラミろモチノイゆヌよレ・
テクニリイゆヌよが・
ニハゆカラナソクゆモセよほほヌよが・
トセイチノゆふへぇーふよレ・む・む・む』と空中に文字を出した。
「この呪文を唱えてみろ。面白いぞ」
男の子はつっかえながら呪文を唱えた。
ボタンが出現し、それに触ると『へぇー』の声が流れた。
「うわ。面白い」
「『ふ』で囲まれた単語を変えるといろんな事を喋るぞ」
「帰ったらやってみる」
呪文をメモしてから銅貨五枚を置いて子供は去って行った。
さっきの魔法のイメージはこんなだ。
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法の定義*/
mp=button_make(1); /*ボタン生成*/
while(1){
if(touch(mp)==1){ /*ボタンに触った*/
speak("へぇー"); /*音声を流す*/
}
}
}
この魔法なら実害はないだろう。
良い仕事をした。
この仕事も案外楽しいな。
明日はどんな客がくるかな。
鼻とぽっぺが赤い中年の男性がやって来た。
「ええっと、酒を造る魔法ですか」
「お前、呪文屋やって日が浅いだろ。って言ってもスライムじゃな」
「その通り日が浅い」
「呑ん兵衛魔法ってのは氷を作る魔法だ」
「ライラスさーん、氷魔法一丁」
ライラスが奥から本を持って現れた。
「はい、はい。お客さん、どのような氷魔法をお求めですか」
「呑ん兵衛魔法って、さっきから言っているんだがな」
「それは失礼しました。それですと銀貨一枚ですね」
紙にサラサラとライラスは呪文を書き写した。
「『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・モチキニソ・けモセレ・モセほニソイろコラリカろモチノイゆヌよレ・む』だな。覚えたぜ」
魔法が発動して、4センチほどの氷の礫が落ちる。
なるほどウイスキーなんかに入れるのにちょうど良いな。
たしかに呑ん兵衛魔法だ。
解析するまでもないが解析してみる。
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=ice_bolt_make(1); /*氷生成*/
}
酒を造る魔法が出来ないだろうかと考える。
魔力でアルコールを出すのは味気ない物が出来上がるのだろうな。
蒸留は可能だが樽に寝かせるから良いのであって素人が手をだすものじゃない。
熟成させる魔法も可能なんだろうけど取っ掛かりがない。
まあ、研究するほどの物でもないだろう。
やめだ、やめだ。
次の客は年配のご婦人だった。
「いらっしゃい」
「かわいい店番ね」
「なんにします」
「極楽魔法をちょうだい」
極楽魔法。
これはまた凄い名前の物がきたな。
俺では分からないから、ライラスを呼ぶ事にする。
「極楽魔法いっちょう」
「はいはい、極楽魔法ですね」
ライラスは本から呪文を書き写して手渡した。
ご婦人は早速やってみるらしい。
「ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・
ソクチス・ラスコニカガヌワムレ・
ニミカ・ニレ・
モチキニソ・けモセレ・
モセほチニスろコナリリイカろモチノイゆヌよレ・
ハラスゆニほワレニねヌワワワレニれれよが・
モチキニソろヒニコスチカニラミゆモセネラスコニカネトニツイラハゆラスコニカよよレ・
モチキニソろモラヒイゆモセネラスコニカネトニツイラハゆラスコニカよよレ・む・む」
しばらく待つが何も変化はない。
む、何も起こらないぞ。
「はぁー、極楽、極楽。おかげで肩こりがすっかり良くなったわ」
肩こりを治す魔法ね。
治癒系の魔法なのかな。
解析してみる。
void main(void)
{
char orbit[10]; /*軌道データ*/
int i;
MAGIC *mp; /*魔法定義*/
mp=air_bullet_make(1); /*エアバレット生成*/
for(i=0;i<1000;i++){
magic_vibration(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*振動のデータを入れる*/
magic_move(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*動かす*/
}
}
おーう、まさかのマッサージ機。
「ホムンさん。極楽魔法を売る時は今度から小声でそっと知らせて下さい」
「えっ、何でまた」
「この魔法は娼館で大人気なのですよ」
ああ、そういう用途ね。
そうか納得。
「俺が悪かったよ。極楽なんて名前が付いているところから、気がつかないといけなかった」
「気をつけて下さいよ」
「ああ、分かった」
さて、次はどんな客かな。
「おー、スライムが居る。触っても怒られないかな」
指をティに突き出してくる客は男の子だった。
「お客様、ご注文を」
「うひゃあ」
男の子は驚いて腰を抜かした。
「ご注文を」
「驚いた。えっと、かっこいい魔法を下さい」
うーん、かっこいい魔法ね。
子供に攻撃魔法は危なすぎるな。
水魔法も悪戯しそうだ。
実害がなくて面白いのか。
『ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・
モチキニソ・けモセレ・
モセほコナカカラミろモチノイゆヌよレ・
テクニリイゆヌよが・
ニハゆカラナソクゆモセよほほヌよが・
トセイチノゆふへぇーふよレ・む・む・む』と空中に文字を出した。
「この呪文を唱えてみろ。面白いぞ」
男の子はつっかえながら呪文を唱えた。
ボタンが出現し、それに触ると『へぇー』の声が流れた。
「うわ。面白い」
「『ふ』で囲まれた単語を変えるといろんな事を喋るぞ」
「帰ったらやってみる」
呪文をメモしてから銅貨五枚を置いて子供は去って行った。
さっきの魔法のイメージはこんなだ。
void main(void)
{
MAGIC *mp; /*魔法の定義*/
mp=button_make(1); /*ボタン生成*/
while(1){
if(touch(mp)==1){ /*ボタンに触った*/
speak("へぇー"); /*音声を流す*/
}
}
}
この魔法なら実害はないだろう。
良い仕事をした。
この仕事も案外楽しいな。
明日はどんな客がくるかな。
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