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第15章 ベンチのドラゴン

第91話 魔力圧縮と冷房

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 今日もベンチでお留守番。
 そこへ講義を終えたミニアとリタリーがやって来た。

「師匠に相談があるらしい」
「何かな」

 俺はティに文字を出させた。

「スライムが魔法を使ってる」
「そういうのはもう良いから。本題に入って」
「あのね、古代の文献を書庫でみつけたのよ。説明書きにはドラゴンのごとく無敵のパワーが得られるって書いてあったわ」

 リタリーがそう言って呪文を書いた紙を広げた。
 『ソクチス・モチミチガヌワムレ・ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・ニミカ・ニレ・モチキニソ・けモセレ・ハラスゆニほワレニねヌワレニれれよが・モチミチガニムほモチミチガニムけヌワレ・む・モセほモチキニソろモチノイゆモチミチネトニツイラハゆモチミチよネニモチキイイミイスキンよレ・モチキニソろカスチミトゆモセよレ・む・』と書いてある。

 ふむふむ、解析してみる。

char mana[10]; /*魔力*/
void main(void)
{
 int i; /*カウンター*/
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 for(i=0;i<10;i++){
  mana[i]=mana[i]*10; /*魔力10倍*/
 }
 mp=magic_make(mana,sizeof(mana),IMAGEENERGY); /*魔力を魔法登録*/
 magic_trans(mp); /*現象に変換*/
}

 なるほど魔力の圧縮をやろうとしたのか。
 これ、上手くいくのかな。

「実行してみたか」
「ええ。ぴくりとも反応しなかったわ」

 そうか、そうだろう。
 ただ10倍にしたのではな。

char mana[100]; /*魔力*/
void main(void)
{
 int i,j; /*カウンター*/
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 for(i=0;i<10;i++){
  for(j=1;j<10;j++){
   mana[i]=mana[i]+mana[i+j*10]; /*魔力10倍*/
   mana[i+j*10]=0;
  }
 }
 mp=magic_make(mana,sizeof(mana),IMAGEENERGY); /*魔力を魔法登録*/
 magic_trans(mp); /*現象に変換*/
}

 これでどうだ。
 イメージを魔法語に翻訳してリタリーに伝えた。

「試してみる。ソクチス・モチミチガヌワワムレ・
ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・
ニミカ・ニネマレ・
モチキニソ・けモセレ・
ハラスゆニほワレニねヌワレニれれよが・
ハラスゆマほヌレマねヌワレマれれよが・
モチミチガニムほモチミチガニムれモチミチガニれマけヌワムレ・
モチミチガニれマけヌワムほワレ・む・む・
モセほモチキニソろモチノイゆモチミチネトニツイラハゆモチミチよネニモチキイイミイスキンよレ・
モチキニソろカスチミトゆモセよレ・む」

 辺りに響く爆発音。
 そして、吹き荒れる爆風。

「ちょっと。危ないじゃないの。危うく吹き飛ばされる所だった」
「でも、大発見じゃないか。魔力コスト11でこの威力だぞ」
「こんなの規模を大きくしたら自爆よ」

 そうかな、魔法の最初のほうに時間稼ぎを入れて魔道具にすれば手榴弾にもなる。
 地雷も作れる。
 俺は作らないがな。
 それに爆発しない程度に圧縮した魔力を炎に変えて敵に飛ばすとかも出来る。
 有意義な発見だと思うがな。
 魔法を改良したがらないこの世界の人間には宝の持ち腐れだろう。
 俺が有効活用してやるよ。

「なんか、ウィザのどや顔が見える」
「ミニアちゃん、何言っているの」
「なんかそう思った」

「なんだ、なんだ。さっきの爆発音は」

 おっと、爆発音を聞いて人が駆けつけてきたみたいだ。

「ファイヤーボールを間違って爆発させた」

 ミニアが応対する。

「そんな危険な魔法は試射場でやりたまえ」
「今度から気をつける」
「そこに居るのは講師のリタリーではないか。君が付いていながら情けない」
「教授、そのスライムがいけないんです」
「スライムが魔法を使ったとでも言うのかね」
「いえ、スライムを操っているミニアちゃんの師匠のせいです」
「その人物はどこにいるんだ」
「えっと、そのー。遠方です」
「話にならんな。始末書を書きたまえ。リタリー君とミニアといったかな君もだ」
「そんなー」
「うん」
「さぁ、野次馬共も。散った、散った」

 野次馬は散って、教授も去って行った。

「納得いかない。師匠とやら。見返りを要求するわ」
「私はパフェのおごりで勘弁する」
「ミニアちゃんみたいに私は安い女じゃない」

「そうだな、画期的な魔道具でどうだ」
「沢山売れるのじゃないと駄目よ」

 何時か作ろうと考えていた冷房なんてどうだ。
 温度を測る魔法がある。
 イメージはこれだ。

char heat_energy;
char main(void)
{
 return(heat_energy);
}

 ここで分かった『heat_energy』の魔法語『クイチカろイミイスキン』を使って、熱エネルギーを移動させれば冷房は出来る。
 やってみるか。

char heat_energy1[100];
char heat_energy2[100];
void main(void)
{
 int i; /*カウンター*/
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 for(i=0;i<100;i++){
  heat_energy1[i]=heat_energy1[i]+heat_energy2[i];
  heat_energy2[i]=0;
 }
 mp=magic_make(heat_energy1,sizeof(heat_energy1),IMAGEENERGY); /*温度を魔法登録*/
 magic_trans(mp); /*現象に変換*/
 mp=magic_make(heat_energy2,sizeof(heat_energy2),IMAGEENERGY); /*温度を魔法登録*/
 magic_trans(mp); /*現象に変換*/
}

 この魔法を実行すると、熱い空間と冷たい空間が出来る。
 冷たい空間を家の中に、熱い空間を家の外に設定すれば良い。
 一定時間置きに冷やすとか室内の温度を測って調整するとか改良は出来る。

「冷房なんてどうか」
「良いわね。流行りそう」
「じゃあ、後でミニアに呪文を届けさせる」

 タルコットがまた喜びそうだな。
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