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第10章 一騎当千のドラゴン

第60話 ベヒーモスの大軍

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 こんなのどこに隠していたと思われる威容である。
 流石の俺も十体は難しい。
 一際大きなベヒーモスに鎧を着て大盾を持った男が乗っているのを確認した。
 あいつがこのベヒーモス達のマスターか。

 なら、上空からの奇襲だな。
 俺は空を飛び男に向かってブレスを吐いた。
 何っ、こいつブレスを盾で防ぎやがった。
 そして、ベヒーモスは石の礫のブレスを吐く。
 俺は大空に舞い上がりかわした。

 ふと退くかと考える。
 俺が何もしないとこのまま進軍して陣地が荒らされてしまうのだろう。
 そうなれば戦争は負けだ。

 こいつが最初に投入されていれば危なかったな。
 逐次投入しなけりゃいけない理由でもあったんかね。
 それよりも何とかしないと。
 覚悟を決めて隊列を前に降りる。

「ミニア、死闘になりそうだ。俺から降りてくれ」

 俺はそう伝言魔法した。

「ウィザ。死なないで」

 死なないさと魔法で返した。
 ミニアにも自分が乗っていると全力を出せないと分かっているのだろう。
 嫌がるそぶりも見せずに大人しく鞍から降りた。
 ミニアはピッパを連れて戦闘の邪魔にならない所に避難して行く。

 さて行くぞ一撃必殺だ。
 魔力十万の誘導つきファイヤーボールを男が乗っているベヒーモスに向かって放つ。
 他のベヒーモスがブロックした。
 当然そうするよな。
 一撃でブロックしたベヒーモスは消し炭になった。

 後四発撃てる。
 俺は余力を一発残して三発撃った。
 相手はブレスで相殺しようとしたが、魔力十万がそんな簡単に止まってたまるか。
 全弾命中。
 ベヒーモスの残りは六頭になった。

 残りの一発は撃たない。
 俺は魔力六万の筋力強化を自分に掛けた。
 ブレスも大分吐いたからこれで俺の魔力はほぼなしだ。
 後は小技しか出来ない。

void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法の定義*/
 mp=light_make(1000); /*光生成*/
}

 まずはこれだ。
 光を魔力1000で作る。
 普通のライトが魔力5だと思われるから、普通のライトの200倍だ。
 ベヒーモスは盲目になって混乱した。
 俺が首筋に噛み付いて、三頭を仕留めたところで指揮系統が復活した。
 立ち直りの早い事だ。
 でもまだ良くは見えて居ないんだろうな。
 残り三頭は俺をかすめる様にブレスを放って来た。



 次はこれだ。

char smell[100]; /*臭い百立方センチ*/
void main(int argc,char *argv[])
{
 int i; /*カウンター*/
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 mp=magic_make(smell,sizeof(smell),IMAGEUNDEFINED); /*臭いを魔法として登録*/

 i=0; /*カウンターをゼロに*/

 while(*(argv[1]+i)!='\0' && i!=100){ /*外部からのデータが終わるか 臭いの領域が尽きるまで*/
  smell[i]=*(argv[1]+i); /*外部の情報を臭いの領域に入れる*/
  i++; /*カウンターを一つ増やす*/
 }
}

 悪臭発生魔法だ。
 おもいっきり臭いイメージをして魔法を発動させる。
 前世ではアンモニア原液などいろんな悪臭を嗅いだ事がある。
 それらをイメージした。

 俺はこの魔法を開発した時に鼻栓を同時に作ったから、当然それをしている。
 ベヒーモスは悪臭でのた打ち回った。
 あの薬で散々な目に会ったからお返しだ。

 ベヒーモスの首筋に噛み付いて二頭仕留めた。
 残りは大盾を持っている奴が乗っているのだけだ。
 しかし、最後の一頭は臭いに耐えていた。
 俺が近づくと突進の構えを見せる。



「姫様、どうやら負けそうです。建国に備えての戦力を持ち出したのに不甲斐なくてすみません」

 大盾の騎士がそういったのが聞こえた。
 ベヒーモスが突進してくる。
 俺はひらりとかわした。
 隙を見て首筋に噛み付こうとしたが無理だった。
 人牛一体とでもいうのだろうか。
 大盾の騎士のベヒーモスを操る技術は凄まじくて俺の攻撃を許さなかった。
 接近戦は不利だと思ったのか少し距離を取ったベヒーモスはブレスを乱発し始めた。

 不味いな。
 押し切られそうだ。
 段々と狙いが正確になっている。
 ブレスも何回か俺にかすった。

 しょうがない、最後の小細工と行くとしよう。
 俺は相手がブレスを吐く瞬間を見て、認識阻害の魔法を自分にかけた。

「どこに、消えた」

 俺はベヒーモスの首筋に噛み付いた。
 ベヒーモスは倒れて投げ出された大盾の騎士を俺は踏み潰した。

「姫様、リトワース再興を!」

 足下で騎士は叫んだ。
 ミニアはどうなったかと見ると戦闘している。
 戦闘に夢中でミニアが襲われたと気づかなかった。

 ミニアが戦士と思われる男の後ろから膝を抱えるように突っ込む。
 絶叫が起こり、そして首をかき切った。
 どうやら方がついたみたいだ。
 ミニアが手を振ったので吠えて答えた。

 敵陣地から馬一頭が駆けて来る。
 停戦の使者かな。
 でも剣を抜いて掲げている。
 どうやら違うようだ。
 俺はミニアの側に向かって歩いた。
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