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第5章 教習生のドラゴン
第31話 新人研修
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今日の課題は新人教育。
ミニアに一番向かない課題ではないだろうか。
教官の言葉では人を育てられて一人前。
中級冒険者にふさわしいと言えるだってさ。
『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』だったっけ誰か偉い人の言葉だった気がする。
前世の課長から聞いたもんで誰だったかは忘れた。
ドラゴンの抜群に良い記憶力も前世には及ばない。
とにかくミニアにそれを伝えた。
俺も新人教育はやったが、会社だとマニュアルみたいな物がある。
それに従ってトラブルが起きた時だけアドバイスしていた。
俺の前世のスキルなんてそんな物だ。
ギルド二階にある食堂のテラス席で顔合わせが行われていた。
ミニアの前には生意気そうな少年と気の弱そうな女の子がいた。
「ミニア、Dクラス。テイマー。よろしく」
「俺がなんで年下のこいつに教わらないといけない」
「フリオン不味いよ。先輩冒険者だよ」
教官は笑ってミニアを見ている。
口は出さない。
「力比べ。敗者。従う」
「おう、やってやる」
ミニアとフリオンは腕相撲を始めた。
俺はもちろん筋力二倍の魔法を掛けた。
二人は組み合ったまま動かない。
「くそ、びくともしねぇ。何が起こっているんだ。俺は負けねぇ」
「口だけ」
少しずつミニアの手が相手の負ける方向に倒されていった。
最後に手の甲がテーブルに押し付けられた。
「約束」
「ちきしょう。なんで勝てない」
「や・く・そ・く」
「フリオンだ」
「フリオンです。よろしく。お願いします。と言え」
「納得いかねぇ。フリオンです。よろしくお願いします」
「リヴィーです。よろしくお願いします」
その後二人共、戦闘方法などの自己紹介が終わり、薬草採取に出発となった。
依頼は例のヒール草だ
森までは俺の背中に乗って飛ぶ事になった。
木がなくて開けた小さい草原に皆を降ろした。
楽しすぎだろう。
「おい、お前ら。これが普通だと思うなよ。普通だと森までは歩いて半日だ」
教官が流石に口を出した。
「「はい」」
流石に歴戦の戦士である教官に口答えはしない。
「乾燥させたら不味い薬草はどうするんですか」
女の子が尋ねた。
教官がミニアを見た。
「本当は。自分で。調べる。アイテムボックス。駆け足。馬。鉢植え」
「分かりました。今度から自分で調べます」
「ドラゴンに乗るって気持ちいいな。俺ドラゴンにまた乗れるのなら、ミニアの事を師匠って呼んでもいいぜ」
フリオンが能天気な事を言った。
咎めるような目つきでリヴィーがフリオンを見る。
苦労しているなリヴィー。
同行者をヒール草が沢山あるスポットに案内する。
もちろん魔法を使ってヒール草の数は確かめた。
慣れない手つきで中腰になりながら薬草を探す二人。
一時間程探すと腰をさすりながらフリオンが文句を垂れ始める。
「何だよ。沢山あるんじゃないのかよ」
「薬草が分かりません」
「予習大事。ヒール草。これ」
ミニアが冊子出して言った。
「何だよ。あるんだったら最初から出せよ」
「お借りします」
二人は食い入る様に冊子を見て薬草を探し始めるが、結果は惨敗。
それどころか間違った草を採る始末。
まずは物品鑑定の魔法から教える。
魔法のイメージはこれだ。
void main(int argc,char *argv[])
{
printf("%s",goods_judgement(argv[1])); /*外部入力した目標を鑑定して表示*/
}
ミニアが詠唱を教える。
「物品鑑定魔法。ヒラニシ・モチニミゆニミカ・チスキソネソクチス・けチスキヒガムよ・が・
セスニミカハゆふえトふネキララシトマナシキイモイミカゆチスキヒガヌムよよレ・む」
ミニアの前に二人が採った雑草の情報が文字として表示された。
「頑張って。覚える」
「俺覚えられそうにないや。パス」
ミニアの言葉を無視して、フリオンは速攻で諦めた。
リヴィーはメモを出すと一句毎、ミニアに確認しながら書き取る。
勘だがリヴィーはたぶん生き残るな。
フリオンは駄目だろう。
メモを見ながらリヴィーが詠唱する。
失敗なく魔法は発動して雑草の情報が表示される。
「あんなに苦労したのに、また雑草かよ」
「コツを教えて下さい。いえ、帰ったら自分で調べます」
「特別。魔道具あげる」
さっきの物品鑑定魔法の魔道具をミニアはリヴィーに渡した。
魔道具のほうは情報が五分表示される様に改造してある。
三秒じゃ品名ぐらいしか読めないからな。
「俺にはないのかよ」
「努力。しない人。渡さない」
「やりゃいいんだろ」
「物品鑑定の呪文から教えろ。教えて下さい」
ミニアはフリオンにつき合って詠唱を教えた。
その間にリヴィーは冊子を見ながら薬草を探し、物品鑑定の魔道具を使い一本目の薬草を採る事に成功したようだ。
「やった。薬草採った」
「ちくしょう。リヴィーに先を越された。村では一度も先を越された事はなかったのに」
薬草採取は続き魔力が切れそうになるまで続けられた。
引き上げようとした時にゴブリンの一団が現れた。
ゴブリンって馬鹿すぎてドラゴンがいてもお構いなしなんだよな。
ウルフ辺りだと逃げられないと悟ってから攻撃に移るんだけどな。
当然逃げる隙が出来れば逃げる。
ミニアに筋力強化の魔法を掛ける。
瞬く間に緑の血で大地は染まった。
「最後。二人で。討伐」
一匹残されたゴブリンをミニアは二人に片付けさせようと考えたらしい。
二人はナイフを構え慎重にゴブリンに近づく。
ゴブリンは棍棒を振り下ろす。
先頭にいたフリオンは手を打たれナイフを落としてしまった。
ゴブリンは思いっきり振り切ったので、棍棒は音を立てて地面を叩く。
その隙を見てリヴィーがゴブリンの腹にふかぶかとナイフを突き立てた。
痛みに呻くゴブリン。
フリオンがナイフを拾い止めを刺した。
「武器。絶対。離さない。予備の武器。切り札。前もって。準備」
「へい」
「はい」
来る時と同じ様に俺の背中に乗って飛んで帰る。
ギルドの前で教官が二人とミニアを立たせた。
最後に教官が締めくくるようだ。
「お疲れ。新人はまだまだだな。ゴブリンとの戦いでも分かるように実力が圧倒的に足りてない。努力しろ。ミニアは及第点だな。フリオンにこんなのじゃ駄目だと悟らせるようにしないとな。リヴィーは言わなくても伸びそうだから、長所を伸ばすように指導できれば満点だ」
「「「はい」」」
希望しない限り教習は今日で終わりだ。
ミニアにCランク試験を受けるよう勧めるか。
ミニアに一番向かない課題ではないだろうか。
教官の言葉では人を育てられて一人前。
中級冒険者にふさわしいと言えるだってさ。
『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ』だったっけ誰か偉い人の言葉だった気がする。
前世の課長から聞いたもんで誰だったかは忘れた。
ドラゴンの抜群に良い記憶力も前世には及ばない。
とにかくミニアにそれを伝えた。
俺も新人教育はやったが、会社だとマニュアルみたいな物がある。
それに従ってトラブルが起きた時だけアドバイスしていた。
俺の前世のスキルなんてそんな物だ。
ギルド二階にある食堂のテラス席で顔合わせが行われていた。
ミニアの前には生意気そうな少年と気の弱そうな女の子がいた。
「ミニア、Dクラス。テイマー。よろしく」
「俺がなんで年下のこいつに教わらないといけない」
「フリオン不味いよ。先輩冒険者だよ」
教官は笑ってミニアを見ている。
口は出さない。
「力比べ。敗者。従う」
「おう、やってやる」
ミニアとフリオンは腕相撲を始めた。
俺はもちろん筋力二倍の魔法を掛けた。
二人は組み合ったまま動かない。
「くそ、びくともしねぇ。何が起こっているんだ。俺は負けねぇ」
「口だけ」
少しずつミニアの手が相手の負ける方向に倒されていった。
最後に手の甲がテーブルに押し付けられた。
「約束」
「ちきしょう。なんで勝てない」
「や・く・そ・く」
「フリオンだ」
「フリオンです。よろしく。お願いします。と言え」
「納得いかねぇ。フリオンです。よろしくお願いします」
「リヴィーです。よろしくお願いします」
その後二人共、戦闘方法などの自己紹介が終わり、薬草採取に出発となった。
依頼は例のヒール草だ
森までは俺の背中に乗って飛ぶ事になった。
木がなくて開けた小さい草原に皆を降ろした。
楽しすぎだろう。
「おい、お前ら。これが普通だと思うなよ。普通だと森までは歩いて半日だ」
教官が流石に口を出した。
「「はい」」
流石に歴戦の戦士である教官に口答えはしない。
「乾燥させたら不味い薬草はどうするんですか」
女の子が尋ねた。
教官がミニアを見た。
「本当は。自分で。調べる。アイテムボックス。駆け足。馬。鉢植え」
「分かりました。今度から自分で調べます」
「ドラゴンに乗るって気持ちいいな。俺ドラゴンにまた乗れるのなら、ミニアの事を師匠って呼んでもいいぜ」
フリオンが能天気な事を言った。
咎めるような目つきでリヴィーがフリオンを見る。
苦労しているなリヴィー。
同行者をヒール草が沢山あるスポットに案内する。
もちろん魔法を使ってヒール草の数は確かめた。
慣れない手つきで中腰になりながら薬草を探す二人。
一時間程探すと腰をさすりながらフリオンが文句を垂れ始める。
「何だよ。沢山あるんじゃないのかよ」
「薬草が分かりません」
「予習大事。ヒール草。これ」
ミニアが冊子出して言った。
「何だよ。あるんだったら最初から出せよ」
「お借りします」
二人は食い入る様に冊子を見て薬草を探し始めるが、結果は惨敗。
それどころか間違った草を採る始末。
まずは物品鑑定の魔法から教える。
魔法のイメージはこれだ。
void main(int argc,char *argv[])
{
printf("%s",goods_judgement(argv[1])); /*外部入力した目標を鑑定して表示*/
}
ミニアが詠唱を教える。
「物品鑑定魔法。ヒラニシ・モチニミゆニミカ・チスキソネソクチス・けチスキヒガムよ・が・
セスニミカハゆふえトふネキララシトマナシキイモイミカゆチスキヒガヌムよよレ・む」
ミニアの前に二人が採った雑草の情報が文字として表示された。
「頑張って。覚える」
「俺覚えられそうにないや。パス」
ミニアの言葉を無視して、フリオンは速攻で諦めた。
リヴィーはメモを出すと一句毎、ミニアに確認しながら書き取る。
勘だがリヴィーはたぶん生き残るな。
フリオンは駄目だろう。
メモを見ながらリヴィーが詠唱する。
失敗なく魔法は発動して雑草の情報が表示される。
「あんなに苦労したのに、また雑草かよ」
「コツを教えて下さい。いえ、帰ったら自分で調べます」
「特別。魔道具あげる」
さっきの物品鑑定魔法の魔道具をミニアはリヴィーに渡した。
魔道具のほうは情報が五分表示される様に改造してある。
三秒じゃ品名ぐらいしか読めないからな。
「俺にはないのかよ」
「努力。しない人。渡さない」
「やりゃいいんだろ」
「物品鑑定の呪文から教えろ。教えて下さい」
ミニアはフリオンにつき合って詠唱を教えた。
その間にリヴィーは冊子を見ながら薬草を探し、物品鑑定の魔道具を使い一本目の薬草を採る事に成功したようだ。
「やった。薬草採った」
「ちくしょう。リヴィーに先を越された。村では一度も先を越された事はなかったのに」
薬草採取は続き魔力が切れそうになるまで続けられた。
引き上げようとした時にゴブリンの一団が現れた。
ゴブリンって馬鹿すぎてドラゴンがいてもお構いなしなんだよな。
ウルフ辺りだと逃げられないと悟ってから攻撃に移るんだけどな。
当然逃げる隙が出来れば逃げる。
ミニアに筋力強化の魔法を掛ける。
瞬く間に緑の血で大地は染まった。
「最後。二人で。討伐」
一匹残されたゴブリンをミニアは二人に片付けさせようと考えたらしい。
二人はナイフを構え慎重にゴブリンに近づく。
ゴブリンは棍棒を振り下ろす。
先頭にいたフリオンは手を打たれナイフを落としてしまった。
ゴブリンは思いっきり振り切ったので、棍棒は音を立てて地面を叩く。
その隙を見てリヴィーがゴブリンの腹にふかぶかとナイフを突き立てた。
痛みに呻くゴブリン。
フリオンがナイフを拾い止めを刺した。
「武器。絶対。離さない。予備の武器。切り札。前もって。準備」
「へい」
「はい」
来る時と同じ様に俺の背中に乗って飛んで帰る。
ギルドの前で教官が二人とミニアを立たせた。
最後に教官が締めくくるようだ。
「お疲れ。新人はまだまだだな。ゴブリンとの戦いでも分かるように実力が圧倒的に足りてない。努力しろ。ミニアは及第点だな。フリオンにこんなのじゃ駄目だと悟らせるようにしないとな。リヴィーは言わなくても伸びそうだから、長所を伸ばすように指導できれば満点だ」
「「「はい」」」
希望しない限り教習は今日で終わりだ。
ミニアにCランク試験を受けるよう勧めるか。
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