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chapter17 この世とあの世の境界線
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ジャスティンを失ってからこれまでの人生で
あれほど大切な人は現れないと思っていた
しかし今竜馬は新たに愛しい家族と
守るべき人達を見つけたかもしれないと
強く思っていた
初めての二人の愛の交わりを邪魔されたのが
まさか豊だとは思わなかった
でも竜馬は生きて無事で豊に
再会できて素直に嬉しかった
ジェニの兄の豊は変わっていなかった
相変わらずポチャッとしているが
面影はバッチリ残っていた
このままでは流血沙汰の兄妹喧嘩が勃発すると
判断した竜馬は一旦豊を
自分の家に連れて帰ることにした
ジェニは幼いころと変わらず
豊に対して面白いぐらい喧嘩っ早いし
少しでも竜馬が悪く言われたら庇うのに必死だ
それが竜馬は嬉しかった
豊が竜馬の車の助手席から怪訝な顔で言った
「・・・おい・・・
ジェニにはああ言ったけど本当に
一晩だけお前の家に泊まるだけだからな!」
「豊!」
「だから何で貴様は俺をさっきから
呼び捨てにするんだ― 」
「豊! 僕だよ・・・竜馬だ 」
そこで豊は竜馬の顔を見てハッとした
ハハッと竜馬は笑った
やっぱり豊は名前ですぐわかってくれた
「・・・・竜馬っ!お前かっっ!!」
みるみる豊の顔が怒りで赤くなっていく
「いったい!今まで何していたんだ!!
父さんがどれほどお前を心配していたかっっ!!
豊の言葉が爆発する
今にも殴りかかってきそうな勢いだ
怒るのももっともだ
「これだけの時間がたった後で
何をしに来たんだっ!!
ジェニも俺もっ・・・
お前を心配して、心配して、心配して・・・」
竜馬は豊の膝に手を当てて
静かな口調で言った
「うん・・・・悪かった・・・ 」
豊は竜馬を見ていなかった
彼は首を振った
「おっ・・・・俺は悪くないっ!
あの役員連中をクビにしようとしたんだっ!
父さんの会社の売り上げをアイツらは遊びに
使っているのを知っていた!
だからクビにすると言った!
そしたらあいつらはグルになって不当解雇で俺を
訴えると言ったんだ!
―書類を見せられたんだ!
おっ・・・俺は―それでも― 」
「お前は正しかった 」
竜馬がそう言ってヒステリックになりかけた
豊の言葉の流れを止めた
「よくやった 」
きっぱりと竜馬が言うと
優しく豊の頭を撫で撫でした
自分を褒める人間がこの世にいるなんて
信じられないとばかりに豊の目が涙で滲む
「一郎さんの代わりを頑張って務めてくれた
・・・僕にはわかる」
途端に豊はうつむいて肩を震わせて泣いた
声を立てずに
竜馬は優しく本当の兄のように
豊の頭を軽く叩いた
「僕も連絡できない状態だったんだ・・・
日本にも帰れないぐらいにね・・・
そんな僕がお前を責めれると思うかい? 」
まるで一郎さんがここにいるかのように感じた
やっと豊がグスグスと照れくさそうに言った
「り・・・竜馬も大変なのかなとは・・・
思ってた・・・けど・・・ 」
「うん・・・大変だった・・・
色々あったけど僕は力をつけて帰って来た
もしお前が許してくれるなら・・・
どうしてもお前とジェニの傍にいたい
これからは僕が一郎さんの代わりになって
お前達を助けるよ・・・・
そのために戻って来たんだ 」
豊は袖で涙を拭った
竜馬は豊にティッシュを一枚渡した
豊の顔を自分の方に向けさせ
真剣なまなざしを受け止めた
「豊・・・・
お前はもう逃げ回らなくてもいい
すべて僕に任せろ!
お前はこれからは好きなことをしたらいいよ
僕が全面的にサポートする
何も心配しなくていいんだ 」
豊は一言も答えられなかった
責めたい気持ち・・・全面的に頼りたい気持ち
相反する感情に揺れているのが手に取るように
竜馬にはわかった
怒り・・・疑い・・・
そして狂おしいほどの希望・・・・
竜馬が微笑んで言った
「ほら・・・・・
ハグさせてくれよ・・・・ 」
豊は再び目にいっぱい涙を溜めて
下を向いた
「・・・たいした自信だぜ・・・・」
ハハッ
「ただいま!会いたかったよ豊! 」
竜馬は片手で豊の頭を引き寄せた
豊はそっと竜馬の背中に手を回した
あれほど大切な人は現れないと思っていた
しかし今竜馬は新たに愛しい家族と
守るべき人達を見つけたかもしれないと
強く思っていた
初めての二人の愛の交わりを邪魔されたのが
まさか豊だとは思わなかった
でも竜馬は生きて無事で豊に
再会できて素直に嬉しかった
ジェニの兄の豊は変わっていなかった
相変わらずポチャッとしているが
面影はバッチリ残っていた
このままでは流血沙汰の兄妹喧嘩が勃発すると
判断した竜馬は一旦豊を
自分の家に連れて帰ることにした
ジェニは幼いころと変わらず
豊に対して面白いぐらい喧嘩っ早いし
少しでも竜馬が悪く言われたら庇うのに必死だ
それが竜馬は嬉しかった
豊が竜馬の車の助手席から怪訝な顔で言った
「・・・おい・・・
ジェニにはああ言ったけど本当に
一晩だけお前の家に泊まるだけだからな!」
「豊!」
「だから何で貴様は俺をさっきから
呼び捨てにするんだ― 」
「豊! 僕だよ・・・竜馬だ 」
そこで豊は竜馬の顔を見てハッとした
ハハッと竜馬は笑った
やっぱり豊は名前ですぐわかってくれた
「・・・・竜馬っ!お前かっっ!!」
みるみる豊の顔が怒りで赤くなっていく
「いったい!今まで何していたんだ!!
父さんがどれほどお前を心配していたかっっ!!
豊の言葉が爆発する
今にも殴りかかってきそうな勢いだ
怒るのももっともだ
「これだけの時間がたった後で
何をしに来たんだっ!!
ジェニも俺もっ・・・
お前を心配して、心配して、心配して・・・」
竜馬は豊の膝に手を当てて
静かな口調で言った
「うん・・・・悪かった・・・ 」
豊は竜馬を見ていなかった
彼は首を振った
「おっ・・・・俺は悪くないっ!
あの役員連中をクビにしようとしたんだっ!
父さんの会社の売り上げをアイツらは遊びに
使っているのを知っていた!
だからクビにすると言った!
そしたらあいつらはグルになって不当解雇で俺を
訴えると言ったんだ!
―書類を見せられたんだ!
おっ・・・俺は―それでも― 」
「お前は正しかった 」
竜馬がそう言ってヒステリックになりかけた
豊の言葉の流れを止めた
「よくやった 」
きっぱりと竜馬が言うと
優しく豊の頭を撫で撫でした
自分を褒める人間がこの世にいるなんて
信じられないとばかりに豊の目が涙で滲む
「一郎さんの代わりを頑張って務めてくれた
・・・僕にはわかる」
途端に豊はうつむいて肩を震わせて泣いた
声を立てずに
竜馬は優しく本当の兄のように
豊の頭を軽く叩いた
「僕も連絡できない状態だったんだ・・・
日本にも帰れないぐらいにね・・・
そんな僕がお前を責めれると思うかい? 」
まるで一郎さんがここにいるかのように感じた
やっと豊がグスグスと照れくさそうに言った
「り・・・竜馬も大変なのかなとは・・・
思ってた・・・けど・・・ 」
「うん・・・大変だった・・・
色々あったけど僕は力をつけて帰って来た
もしお前が許してくれるなら・・・
どうしてもお前とジェニの傍にいたい
これからは僕が一郎さんの代わりになって
お前達を助けるよ・・・・
そのために戻って来たんだ 」
豊は袖で涙を拭った
竜馬は豊にティッシュを一枚渡した
豊の顔を自分の方に向けさせ
真剣なまなざしを受け止めた
「豊・・・・
お前はもう逃げ回らなくてもいい
すべて僕に任せろ!
お前はこれからは好きなことをしたらいいよ
僕が全面的にサポートする
何も心配しなくていいんだ 」
豊は一言も答えられなかった
責めたい気持ち・・・全面的に頼りたい気持ち
相反する感情に揺れているのが手に取るように
竜馬にはわかった
怒り・・・疑い・・・
そして狂おしいほどの希望・・・・
竜馬が微笑んで言った
「ほら・・・・・
ハグさせてくれよ・・・・ 」
豊は再び目にいっぱい涙を溜めて
下を向いた
「・・・たいした自信だぜ・・・・」
ハハッ
「ただいま!会いたかったよ豊! 」
竜馬は片手で豊の頭を引き寄せた
豊はそっと竜馬の背中に手を回した
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