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chapter16 何度も君に恋をする
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しおりを挟む竜馬は神崎ジェニに関する限り
自分には五感を超えた
ジェニ感知能力があると確信した
彼女の存在を感知できるのは
彼女が自分の運命の女性だからに違いない
その時背筋がゾワッとして
竜馬はくるっと振り向いた
思った通り廊下の向こうにジェニがいた
今や誰かにストーカーと言われようと
ジェニを見守ることは呼吸をするのと
同じぐらいになっている
ジェニはとても働き者で外見は華奢なのに
鋼のような強靭さを内に秘めている
竜馬はその対比に驚かされた
でも考えてみれば
彼女は小さいころからそうだったじゃないか
ジェニが竜馬に向かって吠える
「父はすべてをお金に置き換えるような人が
好きじゃなかったわ!
人生観もそうだけど経営方針も利益一辺倒じゃなくて
人材を生かすのが大切といつも言ってたわ」
「神崎広告代理店が今まで倒産しなかったのは
たまたま立て続けに何件か広告キャンペーンの
仕事を獲得したからだ!
経営方針のおかげじゃない
それから人材についてだが
終身雇用なわけではないんだ
ここは人員削減の必要がある
役立たずの社員を抱えすぎている」
竜馬は歯をくいしばった
彼女といるとどうして素直になれないんだ?
「役立たずなんて言い方はやめて!
みんなそれぞれ大切な役割を担っているわ!」
ジェニの大きな声が廊下に響く
「あなたはなぜかうちの父の経営方針に
腹を立てているように見えるけど
社員達に八つ当たりしないでちょうだい!
解雇なんて間違っているわ!」
「ビジネスの心構えをひとつ教えておいてやろう」
竜馬がややあって
穏やかな口調で言った
「自分の思っていることは
敵対者に知られない方がいい
相手を優位に立たせてしまう 」
ジェニは少しためらったが
顎を引き締めまっすぐに竜馬の目を見つめた
薄れゆく光の中で琥珀色のジェニの瞳が濃くなった
「松下社長!
あなたは父の会社を買収した時点で
すでに優位に立っているわ
それに私は思っていることは堂々と言う主義なの
あなたは噂通りの冷酷な人ね! 」
「僕の前で泣き落としは通用しないぞ!」
「私は泣かないわ!」
思わず笑いそうになった
泣いていなくても今も懸命に
涙をこらえているのは事実だ
目が潤み
顎が小刻みに震えている
僕のことなどすっかり忘れて
いったいどんな人生を送って来たのだろう
今すぐテーブルに押し倒して欲望を満たしたい
不意に狂おしいまでの衝動が込み上げてくる
「話はそれで終わり?私はこれで失礼するわ!
午後までにあなたの言う「役立たず」達に
指示をしないといけないからっっ」
あっかんべーっと下瞼を指で引き下ろながら
舌を出したジェニが
竜馬を置き去りにして
颯爽とドアの方へ歩いていく
「終わりだとっ?待てよ!
話はこれからだ!
なんだ僕に向かってその態度は」
「私をクビにするならさっさとしなさいよ!
あなたなんか怖くないんだからっっ!」
:*゚..:。:.
その時21階の柱に宗一郎がもたれて腕を組み
その横で文也が宗一郎の肩に腕をかけて
去って行く二人を硬直して見ていた
そして二人は同時に右に顔を傾けた
「文也・・・・ 」
「うん? 」
「俺の・・・
見間違いなら教えてくれ・・・・
俺には竜馬が女の子のおしりを追いかけているように
見えるんだが・・・ 」
文也が目を擦って言う
「・・・よかった・・・
僕にもそう見えるから見間違いじゃないと思うよ」
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