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chapter12 愛が止まらない

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ふるさと納税に力を入れる
和菓子老舗店は初めての動画広告にとても乗り気で

ジェニが考えている以上の
予算を提示してきてくれた


すっかり気を良くしたジェニはこの予算内だと
こんなことも出来るあんなことも出来ると
沢山資料を見せミーテイングメンバーに
熱意的にプレゼンした



和菓子店の広告担当達は動画広告に
とても期待していて

そして打ち合わせが終わる頃には
みんなで硬く握手をし


これからここは良い得意先になるだろうと
久々にジェニは熱い手ごたえを感じた



打ち合わせが終わった後も
仲良くなった動画広告担当の
広報の斎藤さんと話がはずみすっかり話し込んだ



和菓子を振舞ってもらって
二人の仕事の話から身の上話に花が咲く頃には
もう8時近かった



するとこのビルの警備会社からの連絡で
駐車場の低層階に水が浸水しているので
駐車場を閉鎖したいとの連絡が入った



警備会社ははやく避難させた方が良いと
駐車場に一台だけ残っている車の持ち主を探していた





「あ!その車私のです!」






ジェニはノートパソコンを閉じ
カバンにしまった



「早く車を見に行かなくちゃ
今日伺った事柄については
うちの動画制作クリエイター達に相談して
明日にでもこちらからお電話を差し上げて
ご相談することで構いませんか?」

 


「ええ!もちろんですよ!」




スッキリとした女性らしい
オフィススーツを着て中年の優しそうな雰囲気の
斎藤がジェニに微笑んだ



「一度うちにも遊びにいらしてください
動画制作を直じかにご覧になったら
もっといろんなクリエイティブなアイディアが浮かぶと思います」




「まぁ!メビウスビルに行けるなんて嬉しいです!
色々勉強させてほしいわ!」



「通勤はお車ですか?」




ジェニが聞いた




「いいえ・・・いつもは電車通勤なんですけど
ほら!この雨で電車がストップしてるでしょ?
主人がもうすぐ迎えに来てくれるんです
だからオフィスも私が最後で
鍵を閉める事になっていて
すっかりお引き止めしちゃったわ

もしよかったら私も一緒に地下駐車場に様子を
見に行きましょうか? 」





「いえいえ、私一人で大丈夫です」





ジェニはハキハキと答えカバンを抱えた





「それじゃありがとうございました」



「このビル老朽化が酷くて・・・
しかも地下駐車場は地上からかなり深く埋まっているでしょう?
もしかしたら駐車場で
あなたの車水浸しになっているかも
駐車場で何かあったらすぐに警備会社に連絡してね
私ももう帰りますから」




「そんな、おおげさな~大丈夫ですよ~」





ジェニは笑って心配そうな斎藤に別れを告げ
オフィスを後にした
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