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chapter9 がむしゃらロミオ
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しおりを挟む竜馬はすぐに三浦の元へ歩いて行った
「社長は今手が離せません!
予定にない来客は―」
鉄の秘書江藤さんが立ち上がって
怒りを露にして三浦に立ち向かっている
「アイツと話をさせろ!」
三浦は大汗で顔をギラギラさせている
酔っているのだろうか
かなり興奮している
「三浦君― 」
ジェニが三浦に駆け寄ろうとしたら
竜馬がジェニの腕を掴み
自分の後ろに下がらせた
「僕に何か用か?」
三浦の前に歩み出て
自分の背中にすっぽりジェニを隠す
そして手でジェニに下がるように合図した
三浦の注意はすぐに竜馬に向けられた
「お前・・・ 」
三浦が竜馬に指を突き付ける
「お前が俺たちを破滅させようとしてるんだ!」
「僕は君達を破滅させるつもりはない!
君が広告マーケティング部営業課の三浦君だね 」
竜馬の威厳のある
そして丁寧な物腰に虚をつかれたのか
三浦は目をパチクリさせた
「おれは・・・その・・・
俺の名前が解雇者リストに載っていると聞いた!
首になったらどうやって家族を養えばいいんだ
訴えてやる! 」
眉の汗を拭いながら彼は言った
「解雇者リストはまだ決定していない
今社内で流れているのはすべて噂だ!
しかし、もし解雇されるとしても
君は退職金の支給対象者だ
メビウス社の再就職支援プログラムと
職業資格訓練を受ける権利が君につく 」
さらに竜馬は落ち着いた声で続ける
「それに政府の失業保険6か月分と
受給手続き方法の説明会も開催される
僕が君を決して破滅などさせない 」
辺りはシン・・・と静まり返っていた
鉄の秘書が鋭い眼で
静かにこの光景を見守っている
おそらく三浦が暴れた時のために
警備員を呼ぶタイミングを見計らっているのだろう
ジェニの心臓がバクバクし
膝の震えを止められない
三浦はしばらく竜馬と睨み合っていたが
やがてガクンッと肩を落として呟いた
「それでも大変なことにはかわりない・・・」
竜馬はうなずいた
「ああ・・・大変だとも
しかし沢山の人がこういう状況を
チャンスに変えて来た
君の雇用が危ういかどうかは後でちゃんと
人員削減チームから聞かないとわからないが
君自身でこの変化をチャンスに
変えれることは出来るはすだ 」
「フン・・・どうなることやら・・・」
三浦はあきらめ顔で言った
「君なら出来ると信じている」
竜馬はキッパリ言い切って三浦に手を差し伸べた
三浦は差し出された手をじっと見つめた
だがやがて竜馬の手をガシッと握った
「まぁ・・・やってみるよ
その・・・すいませんでした・・・ 」
「うちの資格訓練プログラムの
カウンセリングをぜひ受けてくれ
良い資格が沢山そろっている 」
三浦がオフィスから出て行くと
ジェニが凝らした息を吐きだす音がした
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