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chapter7 渚のバルコニーで待ってて

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「あれがどれほど辛いことことだったか
君にはわからないだろうね
せっかく夢の女性をあの一瞬で逃がしてしまったんだよ」



「・・・夢の・・・女性?」




なぜかその言葉に藤子は心を打たれた
そんな賞賛を贈ってくれた男性も彼が初めてだった





「君はとっても優しいし美しい―」




文也は優秀なコピーライター相手に言葉を探した





「内面もとっても素敵だ
他の女性なんか霞んでしまうほど
君と付き合いたい、君の彼氏になりたい
僕は君に夢中なんだよ
君の傍で特別な男になりたい」





藤子は泣きそうになって
ひまわりの花束を眺めた
コピーライターなのだからひまわりの
花言葉は良く知っている




「献身 と 忠誠 」





彼が無意識にこの花を選んだのなら
褒めてやりたい所だ




まさしくこの花は彼そのものだ






しかし藤子は小さくため息をついた



「そういうことじゃないのよ文也君
あなたとお付き合いをするのは無理だわ」




文也はかぶりを振った




「僕は今まで無理な事も可能に変えて来た
何がいけないんだい?
理由を聞かせてよ」




文也は腕組みをした
彼女は心を閉ざし
また文也を閉め出そうとしている




「藤子ちゃん・・・・ 」




文也は藤子の肩にそっと手を置いた
彼女はビクッとしたものの
その手を払いのけはしなかった





「文也君・・・本当にごめんなさい
あなたにちゃんと話すべきだったわ
私はもうすぐ30歳よ・・・ 」



「だから? 」





文也は静かに続きを待った






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