【R18】堅物敏腕ボスと初恋の君の運命的な再会～父の会社を買収した憎いアイツは幼い頃に一緒に暮らした大好きなお兄ちゃんだった～

chapter６ あいつは可愛い年下の男の子

１５

「差別だとは思わないわ
礼儀正しいと思っただけ
私の母に会ったらあなたを気に入りそうね」



「せめて駅まで送らせてくれ」



「あなた意外と頑固ね
どう言っても無駄みたい」　



そう言った矢先後ろから来た
男女６人組の女性のカバンが
藤子のお尻にあたって
藤子はよろめいた



文也はさっと手を伸ばし
藤子が転ぶ前に体を支えた




「気を付けて
タバコの吸い殻だらけだから転ぶと汚れる」




藤子を引き寄せると
彼女の手は思わず文也の胸のシャツを掴んだ



彼女の髪の毛からヘアオイルだろうか
甘いキャンディのような匂いが
文也の鼻孔をくすぐった



女性にキスをしたいと思ったことなど
長らくなかったが
今は藤子にキスしたかった




彼女の息もできないほど
曜日が分からなくなるほど
どうしてこのキス無しで生きてこれたか
思い出せなくなるほど
キスしたかった



先に離れたのは彼女の方だった
二人の視線がぶつかったが
まるで火傷するほど熱い火に
手をかざしてしまったかのように
彼女が慌てて目をそらした





「今週末何してる？」




文也の問いかけに
今度の藤子は楽しみだと言うように
顔を輝かせて言った




「週末は韓国に行くの
なかなか予約が取れなかった美容クリニックの
予約が取れて施術を受けるの」
　



「僕も一緒に行っていい？　」




「あなたが？何しに行くの？」




「僕も施術を受ける」






余りにも突拍子な文也の言葉に
藤子は目をパチクリさせた




文也は咄嗟に色々言い訳を考えた
どうしても彼女と週末を過ごしたかった




「実は・・・本当に敏感肌に悩んでるんだ
何かメンズ施術を受けたいな
藤子ちゃんプラン考えてくれる？」



「ずっと？あなたが？
敏感肌に悩んでいたの？　」





「うん・・・・
そう！そうなんだ！小さい頃から
どんな洗顔を使っても合わなくてさ
それで・・
その・・・なんだ・・・皮膚科にも通っていて
ニキビも酷くて毛穴も広がっていて
もう肌がゴジラ並みなんだよ！」




文也は必死でとにかく
この可愛い孤独なのに人のために一生懸命に
なる人の気を引きたくてたまらなかった



最も深刻に悩んでいるように聞こえるように
顔を歪めて辛そうな表情も作った