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chapter3 シングルマザーの秘密兵器
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「このままずっとバレないとでも思っていたのか?」
宗一郎は言った
「いいえ・・・・
この会社の買収計画が出た時・・・
私はすぐに麗華を保育園に入れました
でも・・・
今保育所は大変な事になっているんです
流行りのウィルスに侵された保育士さんが
皆体調不良でベビーシッターも・・・
どこも保育士不足なんです・・・
麗華の保育園も来週まで再園されないんです・・・」
「それでここに連れて来たのか?
他に見てくれる家族は?」
「そんなものがいたらとっくに預けています
私だって娘の生活リズムを崩したくありません
しかし・・・・
私はたった一人で娘を育てていますし
働かないことには家賃を払えません
私しか出来ない案件をかかえています
この会社は在宅ワークを禁止しています」
宗一郎は答えなかった
険しく細めた目で見つめられ
いたたまれなかったが
真紀は必死に踏ん張った
「・・・・連れて来るしかなかったんです・・・
会社の規則を破ったことは認めます
今日中には退職届を出します 」
とりあえず言うべきことは言った
あとは向こうがどう返してくるかだ
麗華は相変わらず真紀の膝の上で
クピクピと小さな声を漏らし
おしゃぶりを吸っている
よく泣くタイプだとこうはいかないけれど
麗華はとても育てやすい赤ん坊だ
真紀は麗華の頭をそっと撫でてやった
宗一郎は彼女の膝の上でうとうとしている
赤ん坊に目を落とした
その拍子に真紀の濃いまつ毛が揺れるのを見て
思わず彼女から目が離せなくなった
彼女のまなざしは愛しい我が子を
見つめる母親そのものだった
何かが自分の中からこみ上げてくる
彼女が立ち上がり
寝てしまった赤ん坊を
手際よくファイルボックスに寝かした
赤ん坊の名前を聞こうとしないのは
冷たいだろうかと宗一郎は思った
「オフィスは託児所ではない」
「ハイ・・・自覚しています 」
真紀が下を向いて目を閉じた
「しかし俺自身
働き者のシングルマザーの息子として
個人的に君を支援したいと思っている」
「え?」
真紀が言葉に詰まっているうちに
宗一郎が何やらガタガタと大きな荷物を
扉から資料室に運びこんできた
真紀の背丈ほどある
大きな段ボールを開封するとそこには
真っ白なベビーベッドのパーツが沢山入っていた
「しばらくここで作業するんだろ?
ファイルボックスはその子にはあまりにも可哀そうだし
ファイルボックスは資料を入れておくものだ」
え?・・・今笑った?
途端に真紀の心臓がはねた
そして信じられない事に彼が無言で
ベビーベッドを組み立て出した
まだ状況を飲み込めず
沢山の種類のネジがビニール袋に入れられてる
のを真紀が途方に暮れて見ている
「アイツらが君をかくまう理由を知ってるぞ
君はなかなかの経歴だな」
今度はハッキリ彼は笑って言った
「君こそ神崎広告代理店の秘密兵器なんだろ?
天才WEBデザイナーの山田真紀さん」
宗一郎は言った
「いいえ・・・・
この会社の買収計画が出た時・・・
私はすぐに麗華を保育園に入れました
でも・・・
今保育所は大変な事になっているんです
流行りのウィルスに侵された保育士さんが
皆体調不良でベビーシッターも・・・
どこも保育士不足なんです・・・
麗華の保育園も来週まで再園されないんです・・・」
「それでここに連れて来たのか?
他に見てくれる家族は?」
「そんなものがいたらとっくに預けています
私だって娘の生活リズムを崩したくありません
しかし・・・・
私はたった一人で娘を育てていますし
働かないことには家賃を払えません
私しか出来ない案件をかかえています
この会社は在宅ワークを禁止しています」
宗一郎は答えなかった
険しく細めた目で見つめられ
いたたまれなかったが
真紀は必死に踏ん張った
「・・・・連れて来るしかなかったんです・・・
会社の規則を破ったことは認めます
今日中には退職届を出します 」
とりあえず言うべきことは言った
あとは向こうがどう返してくるかだ
麗華は相変わらず真紀の膝の上で
クピクピと小さな声を漏らし
おしゃぶりを吸っている
よく泣くタイプだとこうはいかないけれど
麗華はとても育てやすい赤ん坊だ
真紀は麗華の頭をそっと撫でてやった
宗一郎は彼女の膝の上でうとうとしている
赤ん坊に目を落とした
その拍子に真紀の濃いまつ毛が揺れるのを見て
思わず彼女から目が離せなくなった
彼女のまなざしは愛しい我が子を
見つめる母親そのものだった
何かが自分の中からこみ上げてくる
彼女が立ち上がり
寝てしまった赤ん坊を
手際よくファイルボックスに寝かした
赤ん坊の名前を聞こうとしないのは
冷たいだろうかと宗一郎は思った
「オフィスは託児所ではない」
「ハイ・・・自覚しています 」
真紀が下を向いて目を閉じた
「しかし俺自身
働き者のシングルマザーの息子として
個人的に君を支援したいと思っている」
「え?」
真紀が言葉に詰まっているうちに
宗一郎が何やらガタガタと大きな荷物を
扉から資料室に運びこんできた
真紀の背丈ほどある
大きな段ボールを開封するとそこには
真っ白なベビーベッドのパーツが沢山入っていた
「しばらくここで作業するんだろ?
ファイルボックスはその子にはあまりにも可哀そうだし
ファイルボックスは資料を入れておくものだ」
え?・・・今笑った?
途端に真紀の心臓がはねた
そして信じられない事に彼が無言で
ベビーベッドを組み立て出した
まだ状況を飲み込めず
沢山の種類のネジがビニール袋に入れられてる
のを真紀が途方に暮れて見ている
「アイツらが君をかくまう理由を知ってるぞ
君はなかなかの経歴だな」
今度はハッキリ彼は笑って言った
「君こそ神崎広告代理店の秘密兵器なんだろ?
天才WEBデザイナーの山田真紀さん」
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