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chapter2 メビウスと猟奇的なキス
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あの時の蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った
一番先頭に藤子がいたのを思い出して
クスクス笑いながらジェニが言った
「仕方がなかったのよ!
みんな自分の運命がかかっているんですもの
それにあの役員達をぎゃふんと言わせた
社長も素敵だったわ!
案外買収されてよかったかもね 」
「やめてよ!」
「ねぇあの素敵な社長の両隣りにいた人達
誰かわかったわよ!
さっきカフェにテイクアウトを注文しに行った時
受付けの女の子達に聞いたの!」
「あの声の高い子?
本当に人と仲良くなるのが上手いのね」
ジェニが藤子に笑って肩をすくめた
「まずは社長の右隣にいた男性は社長のいとこさんで
松下文也って言うんだって
次に松下社長の左隣の人は財務部長の浜田宗一郎
経営幹部の一人で数字の神様って
言われているんだって
この会社の部長じゃなくてもどこかへの
ヘッジファンド会社のマネージャーになるか
独立でもすれば収入はいくらでも
増やせるだろうってみんな噂してる天才で
社長と財務部長はアメリカの大学で経営学を共に学んだ学友で
どういうわけか三人ともいい男ぶりで
三人合わせて「メビウスのセクシートリオ」って
呼ばれてるんだって
同性愛者でもないかぎりここで働く女性社員は
あの三人それぞれにいち推しがいるんだって
まって…息つぎさせて 」
一気に吐き捨てるように言ったので
藤子が息をきらしてハァハァ言う
「あなたコピーライターより
スパイになったほうがいいんじゃない?」
藤子の才能は本当にここにあるのだ
誰もが藤子と数分しゃべると信頼して何でも
かんでも話してしまうのだ
神崎広告代理店の大切な潤滑油だ
「熱帯魚とハムスターを会社で飼っているのか?」
その声に二人はピタリと一時停止した
嫌な予感しかしない
ふと振り返ると松下竜馬が佇んでいた
途端に藤子をはじめ
他の社員はジェニ一人残して
蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った
これまでのお祭りムードがいっきにしぼみ
緊張がみなぎった
黒い瞳が射るようにこちらを見ている
またしても彼の機嫌をそこねたらしい
今この状況の全説明権をジェニに押し付けたまま
逃げた社員達が恨めしい
やはり兄の下で長年仕事をしていると
危機を察知する能力が欠如してしまうのだろうか
ジェニはさりげなく竜馬のほうを見た
案の定こめかみに血管が浮いている
また彼に人員削減の要素を与えてしまったらしい
松下竜馬の目に激しい怒りが見える
新しいボスはいつも厳めしい顔つきで
こんなに怒りっぽい男性は見たことがない
「時間も守れないのか!
さっさと僕のオフィスに来い! 」
彼は怒鳴った
一番先頭に藤子がいたのを思い出して
クスクス笑いながらジェニが言った
「仕方がなかったのよ!
みんな自分の運命がかかっているんですもの
それにあの役員達をぎゃふんと言わせた
社長も素敵だったわ!
案外買収されてよかったかもね 」
「やめてよ!」
「ねぇあの素敵な社長の両隣りにいた人達
誰かわかったわよ!
さっきカフェにテイクアウトを注文しに行った時
受付けの女の子達に聞いたの!」
「あの声の高い子?
本当に人と仲良くなるのが上手いのね」
ジェニが藤子に笑って肩をすくめた
「まずは社長の右隣にいた男性は社長のいとこさんで
松下文也って言うんだって
次に松下社長の左隣の人は財務部長の浜田宗一郎
経営幹部の一人で数字の神様って
言われているんだって
この会社の部長じゃなくてもどこかへの
ヘッジファンド会社のマネージャーになるか
独立でもすれば収入はいくらでも
増やせるだろうってみんな噂してる天才で
社長と財務部長はアメリカの大学で経営学を共に学んだ学友で
どういうわけか三人ともいい男ぶりで
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呼ばれてるんだって
同性愛者でもないかぎりここで働く女性社員は
あの三人それぞれにいち推しがいるんだって
まって…息つぎさせて 」
一気に吐き捨てるように言ったので
藤子が息をきらしてハァハァ言う
「あなたコピーライターより
スパイになったほうがいいんじゃない?」
藤子の才能は本当にここにあるのだ
誰もが藤子と数分しゃべると信頼して何でも
かんでも話してしまうのだ
神崎広告代理店の大切な潤滑油だ
「熱帯魚とハムスターを会社で飼っているのか?」
その声に二人はピタリと一時停止した
嫌な予感しかしない
ふと振り返ると松下竜馬が佇んでいた
途端に藤子をはじめ
他の社員はジェニ一人残して
蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った
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緊張がみなぎった
黒い瞳が射るようにこちらを見ている
またしても彼の機嫌をそこねたらしい
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やはり兄の下で長年仕事をしていると
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ジェニはさりげなく竜馬のほうを見た
案の定こめかみに血管が浮いている
また彼に人員削減の要素を与えてしまったらしい
松下竜馬の目に激しい怒りが見える
新しいボスはいつも厳めしい顔つきで
こんなに怒りっぽい男性は見たことがない
「時間も守れないのか!
さっさと僕のオフィスに来い! 」
彼は怒鳴った
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