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chapter6あなたへの愛だけが私の誇り
22
しおりを挟む桃子がソファーに座り考えこむ新藤に
近寄ってきて膝に手を当てて言った
「私が帰る頃には
変わったことはありませんでしたよ 」
「え? 」
医学書から目線を桃子に向ける
彼女は可愛く笑った
「バイタルはすべて安定していますし
数値もオーケーです
出血もありませんし
私が出る時に見たがぎりでは顔色も
青白いものではなくほんのりピンク色で
首筋の脈も力強いものでした 」
新藤はその言葉を聞いて
大きく息を吐いた
そしてはじめて自分が息を
詰めていたことに気づいた
「そうか・・・・
よかった・・・・ 」
彼は言った
「見て来てくれたんだね
ありがとう安心したよ」
「手術は成功しましたね」
桃子は新藤にむかって
温かな笑みを浮かべた
新藤はやむくもに彼女にもたれかかって
泣きたい衝動にかられ
それを必死で堪えた
しかしまだ油断はできなかった
ERの看護師が新藤の
緊急呼び出しをしていないかと
ベッドボードの端末を確認しに行った
呼び出しはきていない
でも縫合の時のあの小さな盛り上がりが
化膿したら・・・・
新藤はもう一度書斎の医学書を手に取った
桃子は書斎とリビングをせわしなく
行き来している新藤を
ため息をついて見つめて言った
「ねぇ あなた
もしよかったらお風呂いただいて
よろしいですか?
外は寒かったもので・・・・ 」
新藤はその声でハッと桃子の
存在を忘れていたことに気付いた
「あ・・・ああ!
わるかったね
風呂は沸いてるから入ったらい―― 」
桃子に視線を向けて驚いた
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