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chapter1処女の憂い

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「僕はビールをもらおうかな
君は何にする?
ここは和食店だけど女性受けする
メニューもあるよ
カクテルとかどうかな?
それとももうアルコールはいらないかい?」



居酒屋で飲んできたのにすっかり酔いは
冷めていた桃子はピーチフィズを頼んだ



飲み物が運ばれてくると
二人で乾杯した




新藤が桃子に気を使いながら
食べ物を順番に注文する


「君は好き嫌いはないかい?
ここの店のお勧めは・・」





彼の完璧なエスコートにうっとりしながら
少しずつ緊張もほぐれてきた




実際彼との食事は楽しかった
最初は何気なく仕事の話題から入り
桃子がうろたえず話せる空気を
作ってくれた




桃子は新藤の勧められるまま
二杯目にカルーアミルクを頼んだ





新藤は桃子のことを何も知らなかった
目の前で頬を染めいつもの落ち着いた
雰囲気を出している彼女が
どうしてあんなに泣いていたのか
どうしても知りたくなった





「君のご家族は?」



「母と妹がいます
父は3年前に癌で亡くなりました・・・」




「それはすまないことを聞いたね」







新藤は胸がチクリと痛んだ
桃子はあわてて首を振った





「いえっ!大丈夫です
女三人でやかましく暮らしています 」



新藤は喉の奥で笑った



「ずいぶん前から君と一緒に
働いていたけど
何も知らなかったんだね僕たち」




彼が見つめると
桃子はまた頬を染めて一口飲んだ
よかったすっかり顔の色が良くなっている




「わたしは先生の事は知っています
車は白のBMW・・・・
ご自宅は・・・・芦屋・・・ 」




「おおっ!その通りだよ!
怖いなっ
調べたのかい?      」





桃子がぷくっと頬をふくらませた




「まぁ!
私はストーカーじゃありません!
これぐらい院内の人間なら誰でも
知ってます!
先生が人にあまり関心を抱かれないだけです」





「そうなのか? 」


「そうですっっ!」






二人の顔に笑顔が浮かんだ
いつの間にかぎこちなさもなくなっていた









「さっきどうして泣いていたんだい?」







新藤が挑むように瞳をきらめかせて聞いた






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