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本編

一緒に幸せに

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ケビンさんとは休みの日に一緒に出掛けるようになっていた。


ある日、彼と山にマロニエの花を見に行った時のこと…

「もうマロニエが満開ですね。春を感じます」

彼がマロニエの木を見ながら私に言った。

「聞かない方が良いのかもしれませんが…スコット君とはどうなったんですか…?もうずっと彼を見かけていないので、気になってしまって…」

「スコットとはだいぶ前に別れたんです。手紙を送ったけど返事は無かったですし、向こうもそう思ってますよ」

私は少し心がズキッと傷んだけど、何でもない風に言った。

「そうですか…失礼な事を聞きました…」

そう言って謝る彼に、私は慌てて首を振った。

「大丈夫です!もうずっと前の話ですし、こうしてケビンさんが色々と連れて行ってくれたおかげで吹っ切れましたから。元々一年に一回しか会ってなかったですし…」

「そうですか…サラさんの力になれて良かったです。それなら…もしサラさんさえ良ければなんですが…私と付き合う事も考えてくれませんか?」

彼が意を決したように、私に言ってくれた。


妹としか見られていないと思っていた私は驚いたけど、それと同時に、凄く嬉しかった。

彼と過ごす時間がとても心地良かったから…

「でも私歳下ですし…妹みたいなものなのかなってずっと思ってて…私なんかでも良いんですか?」

「サラさんが良いんです。良ければサラって呼んでもいいですか?」

ケビンさんの問いかけに「もちろんっ!」と答えた私の頭を、彼が撫でてくれた。

「実は初めて会ったときからサラに惹かれていたんですよ」

そう言ってくれた。


ケビンさんと付き合い始めてもうすぐ一年。

女将さんも常連さんも、孤児院のみんなも、最初はびっくりしていたけど、みんなも祝福してくれた。

小さな村だから、みんな私とスコットの事も知っていたし、彼が村に帰って来ない事も知っていた。

気付いていたけど、私を気遣って何も聞かなかったんだ。


初めて二人で行ったあの川岸を、綺麗に咲いたスイートピーを見ながらケビンさんと歩いている。

「もうすぐ一年ですね…早いものです」

「私も同じ事を考えていました」

私が思っていた事と同じ事を言った彼。なんだか嬉しかった。

「サラ、私はあなたといる時間がとても好きです。いつも幸せを感じます。僕と結婚してくれませんか?」

彼が私にプロポーズをしてくれた。

さらさらと流れる小川と咲き乱れるスイートピーを背後にする彼は、とても優しい顔をしていた。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

私は嬉しくなって泣いてしまった。

「大切にします。一緒に幸せになりましょう」

そう言って彼は私を抱きしめてくれた。
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