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再びルボワール王国へ
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船に乗って1週間。
はじめはノアとネージュに怯えていた船員達もだいぶ慣れたようだ。
狩った魔物を調理してくれていた料理人達とは特に打ち解けていて、こっそりおやつを貰ってはお礼にモフモフされているみたい。
「さあ、もうすぐ到着しますよ」
そう言われて目を凝らして先を見ると、すでに遠くに港が見えてきていた。
もう2度と帰ることがないと思っていたルボワール王国。しかも船で帰れるなんて、不思議な気分だわ。
「オレリア」
私の緊張を感じ取ってか、ウィルフレッド様が安心させるような微笑みを浮かべながらこちらへ来る。
「ウィルフレッド様……。見てください、あんなに迎えが」
港に集まる騎士たちの鎧が太陽の光に照らされキラキラと光って見える。
あんな風に私を追い出したというのに、隣国の王太子であるウィルフレッド様と戻るとなったらこの出迎えだ。
国に帰れるのは嬉しいけれど、それと同時にこの都合の良さに怒りも湧いてくる。
「お待ちしておりました。私はルボワール王国騎士団長のクズンと申します! 王城まで私達が責任を持ってお守りいたします」
そう言ってチラリとこちらを見る目をみれば、私を蔑んでいるのがありありと分かる。
手紙には国外追放は手違いだと書いてあったのに、こんな態度をされるなんてどうなっているのだろうか。
そんな空気を察してか、齧るか? 引っ掻くか? とボソボソ後ろから聞こえる。
ノア、ネージュ! 今そんなことしたら国際的な大問題になるよ!
でもクズンにもその声が聞こえたようで顔が青くなっていてちょっと気が晴れた。
騎士団長といってもグリフォンとフェルリルは怖いらしい。
「お出迎えいただき感謝します。ラルージュ帝国皇太子、ウィルフレッド・ラルージュです」
そう言うウィルフレッド様は上品な笑顔で微笑んでいるはずなのに、なぜか黒いオーラが見える。
「ラルージュ帝国からも騎士を連れてきていますので、クズン殿は城までの案内をお願いします」
そうウィルフレッド様に言われたクズンは不服そうだ。
護衛役から道案内になったんだものね。
でもウィルフレッド様も自国の騎士を遠ざけて他国の騎士を近づけるほど愚かではないのよ。
というかラルージュ帝国はルボワール王国より大きな国よ? それも隣国。そこの皇太子にただの騎士団長がそんな態度で良いのだろうか。きっと良くないわよね。
上に立つ人がアレだから騎士の質もよくないのね。
ルボワール王国にいた頃はなんとも思わなかったけれど、ラルージュ帝国の王宮で働く騎士や文官を見たらこの国がどれだけ酷いのかよく分かる。
馬車に乗り込みゾロゾロと騎士に囲ま王都を目指す。
夜には王城へと着くだろう。
「……はぁ」
馬車の窓から外を眺めていると、ふいに手に温もりを感じた。
気がつかないうちに緊張からか手を握りしめていたようで、それに気がついたウィルフレッド様がそっと手を重ねた。
「面倒なことが済んだら、オレリアの両親にも会いに行こう。挨拶もなしに急に婚約をすることになったから、1度きちんと話をしたいと思っていたんだ」
ウィルフレッド様がそう明るく言う。
そう、ね。考え込んでも仕方がない。暗くなるより楽しくなるようなことを考えなくちゃ。
「ありがとうございます。両親、そして兄も、久しぶりにウィルフレッド様に会えて喜びます」
それに私も……。何も言わずに出てしまったから、きっととても心配をかけてしまった。
家族に会ったらきちんと謝らなくては。
王城に行って国外追放の元凶に会うのは気が重いけれど、その後久しぶりに家族と会えると思うとなんだか頑張れる気がした。
はじめはノアとネージュに怯えていた船員達もだいぶ慣れたようだ。
狩った魔物を調理してくれていた料理人達とは特に打ち解けていて、こっそりおやつを貰ってはお礼にモフモフされているみたい。
「さあ、もうすぐ到着しますよ」
そう言われて目を凝らして先を見ると、すでに遠くに港が見えてきていた。
もう2度と帰ることがないと思っていたルボワール王国。しかも船で帰れるなんて、不思議な気分だわ。
「オレリア」
私の緊張を感じ取ってか、ウィルフレッド様が安心させるような微笑みを浮かべながらこちらへ来る。
「ウィルフレッド様……。見てください、あんなに迎えが」
港に集まる騎士たちの鎧が太陽の光に照らされキラキラと光って見える。
あんな風に私を追い出したというのに、隣国の王太子であるウィルフレッド様と戻るとなったらこの出迎えだ。
国に帰れるのは嬉しいけれど、それと同時にこの都合の良さに怒りも湧いてくる。
「お待ちしておりました。私はルボワール王国騎士団長のクズンと申します! 王城まで私達が責任を持ってお守りいたします」
そう言ってチラリとこちらを見る目をみれば、私を蔑んでいるのがありありと分かる。
手紙には国外追放は手違いだと書いてあったのに、こんな態度をされるなんてどうなっているのだろうか。
そんな空気を察してか、齧るか? 引っ掻くか? とボソボソ後ろから聞こえる。
ノア、ネージュ! 今そんなことしたら国際的な大問題になるよ!
でもクズンにもその声が聞こえたようで顔が青くなっていてちょっと気が晴れた。
騎士団長といってもグリフォンとフェルリルは怖いらしい。
「お出迎えいただき感謝します。ラルージュ帝国皇太子、ウィルフレッド・ラルージュです」
そう言うウィルフレッド様は上品な笑顔で微笑んでいるはずなのに、なぜか黒いオーラが見える。
「ラルージュ帝国からも騎士を連れてきていますので、クズン殿は城までの案内をお願いします」
そうウィルフレッド様に言われたクズンは不服そうだ。
護衛役から道案内になったんだものね。
でもウィルフレッド様も自国の騎士を遠ざけて他国の騎士を近づけるほど愚かではないのよ。
というかラルージュ帝国はルボワール王国より大きな国よ? それも隣国。そこの皇太子にただの騎士団長がそんな態度で良いのだろうか。きっと良くないわよね。
上に立つ人がアレだから騎士の質もよくないのね。
ルボワール王国にいた頃はなんとも思わなかったけれど、ラルージュ帝国の王宮で働く騎士や文官を見たらこの国がどれだけ酷いのかよく分かる。
馬車に乗り込みゾロゾロと騎士に囲ま王都を目指す。
夜には王城へと着くだろう。
「……はぁ」
馬車の窓から外を眺めていると、ふいに手に温もりを感じた。
気がつかないうちに緊張からか手を握りしめていたようで、それに気がついたウィルフレッド様がそっと手を重ねた。
「面倒なことが済んだら、オレリアの両親にも会いに行こう。挨拶もなしに急に婚約をすることになったから、1度きちんと話をしたいと思っていたんだ」
ウィルフレッド様がそう明るく言う。
そう、ね。考え込んでも仕方がない。暗くなるより楽しくなるようなことを考えなくちゃ。
「ありがとうございます。両親、そして兄も、久しぶりにウィルフレッド様に会えて喜びます」
それに私も……。何も言わずに出てしまったから、きっととても心配をかけてしまった。
家族に会ったらきちんと謝らなくては。
王城に行って国外追放の元凶に会うのは気が重いけれど、その後久しぶりに家族と会えると思うとなんだか頑張れる気がした。
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