10 / 113
グリフォンの提案
しおりを挟む
魔法をかけるとグリフォンが温かく優しい金の粒が輝く光に包まれる。
数秒経つと光が徐々に収まり、怪我も治り羽ツヤも良い立派なグリフォンが立っていた。
「な!? 治った……!?」
グリフォンは驚いたのか翼を広げたり脚を動かしたりして自身の身体をキョロキョロと見回している。
一通り身体を確認した後、こちらを向き頭を下げた。
「助けてもらっただけでなく傷まで治してもらい、本当に感謝する」
こんなに強そうなのに何故ここまで追い詰められたのかと聞くと、久しぶりに大森林の奥から出て来て散歩していた時に、遠出して疲れたので休憩していたらいつの間にかぐっすり寝入っていたらしい。
それで人間が近づいていたのに気がつかず、気づいた頃には魔道具で一斉攻撃を受けていたということだ。
もともとグリフォンは強い魔物でこのグリフォンはその中でもかなり強いほうらしい。
なので普段は気をつけなくても何かに襲われるようなことはないので油断してしまったということだ。
偶然でも私が居合わせて助けられてよかった。
グリフォンを襲っていた8人はまだ気を失って転がっている。
……この人たちどうしよう。
知能があるとはいえ別に魔物を倒したり捕まえたりするのは犯罪じゃないのよね。
とりあえず起きて追いかけられても嫌なので手は縛っておこう。
「【植物生成】」
魔法で蔦を創り出し8人の両手首を縛る。
「さ、これで時間稼ぎはできるでしょう。怪我も無くなったんだし今のうちに逃げなさい」
「翼も治ったから空も飛べるし、空を逃げればもうこの人たちに捕まることはないでしょ」。そう伝えるがグリフォンはなかなか逃げない。
「助けがなければあのまま捕まり、魔道具で自由を奪われ戦争の道具にされていたかもしれん。こんな大恩を受けたまま立ち去ることはできない。側にいて恩を返したいのだ」
えぇ!?
「そばにいるって……、それって従魔になるってこと!?」
「恩が返せるのならそれでいい。それに旅をしているなら私に乗って進んだ方が速いぞ」
ええー。
すごく強そうだし嬉しいんだけど、グリフォンなんて連れてたら目立ってしょうがないんだけど。
それにグリフォンに乗って向かうにしてもそんなにすぐ国境に着いたら時系列が合わなくなっちゃうし、町を通った形跡がなくて急に国境に現れたら不審だ。
国境を通ったのは本当にオレリア本人か? なんて話しになったら大変なことになる。
「申し訳ないんだけど、今は事情があって目立つわけにはいかないの」
「ではこれならどうだ?」
そうグリフォンは言うと身体がどんどん小さくなり、最終的には肩にギリギリ乗るくらいの大きさの鳥になった。
なんの鳥だろう? ミミズクみたいに頭の上にピョコっと羽が生えていてかわいい。
これなら目立たないから大丈夫かな。
「グリフォンとバレなければ大丈夫だけど、でも従魔になるって本当にいいの?」
こんなに強い魔物なのに人に従うなんて、本当にいいのだろうか?
「男に二言はない。恩人には恩を返す」
何度聞いても着いてくると言うので、とりあえず従魔にすることにする。
もしこの子が嫌になったらその時お別れすればいいわよね。
「じゃあとりあえずはこいつらが起きる前に出発しちゃいましょ!」
街道を国境に向けて走り出す。
きっとこいつらが気がついたら追ってくるだろうから、身体強化とヒールを使い出来るだけ先に進んでおく。
「ねぇ、これから一緒に過ごすわけだから聞きたいんだけどあなた名前はなんて言うの? 私はオレリア。でも今はリアって名乗ってるからリアって呼んでね」
「リアか。これからよろしく頼む。私は大森林の中で魔物ばかりの環境だったのだ、名前などない」
そう言うがこれからずっとグリフォンって呼ぶわけにもいかないし……。
「主人になったのだからリアが名前をつけてくれ」
ええ! 名付けって、重大任務じゃないの!
うーん、そうね。この立派なグリフォンにぴったりな名前がいいわ。
「……ノアはどうかしら? “自由”って意味なの。空を自由に飛び回れるあなたにピッタリでしょう?それに私とお揃いみたいだわ!」
「ノア、か。気に入った! それに私は今日リアに自由を貰ったのだ。この出会いにもピッタリな名だ」
よかった。気に入ってもらえたみたいだ。
あれから1人と1匹で街道を爆走。
グリフォン事件で時間を取られた分は取り返せたかな。
食事は私は今まで通り。
ノアは一応なんでも食べれるが、今までは自分で魔物を狩って食べてたというので肉を少し焼いてレアで出してあげた。
ただ食べる量が多いのでこれからはノアにも魔物を狩ってもらわないとね。
そう伝えたらノアが張り切って魔物を倒してくれたので3日間でものすごい量の魔物が狩れた。
今までは街道に出てきた魔物だけ狩っていたけど、ノアは近くに魔物の気配があると「ちょっと行ってくる」と言って狩りに出かけてしまう。
まぁ数分したら周りに人がいない時を見計らって獲物を持って私のところに戻ってくるからいいんだけどね。
「もうそろそろフィリベールに到着するわ。ノアは念話もできる? せっかく鳥に擬態しても喋ったら目立ってしまうから」
『できるぞ、この通りだ』
これなら一緒に町に入っても大丈夫そうだ。
数秒経つと光が徐々に収まり、怪我も治り羽ツヤも良い立派なグリフォンが立っていた。
「な!? 治った……!?」
グリフォンは驚いたのか翼を広げたり脚を動かしたりして自身の身体をキョロキョロと見回している。
一通り身体を確認した後、こちらを向き頭を下げた。
「助けてもらっただけでなく傷まで治してもらい、本当に感謝する」
こんなに強そうなのに何故ここまで追い詰められたのかと聞くと、久しぶりに大森林の奥から出て来て散歩していた時に、遠出して疲れたので休憩していたらいつの間にかぐっすり寝入っていたらしい。
それで人間が近づいていたのに気がつかず、気づいた頃には魔道具で一斉攻撃を受けていたということだ。
もともとグリフォンは強い魔物でこのグリフォンはその中でもかなり強いほうらしい。
なので普段は気をつけなくても何かに襲われるようなことはないので油断してしまったということだ。
偶然でも私が居合わせて助けられてよかった。
グリフォンを襲っていた8人はまだ気を失って転がっている。
……この人たちどうしよう。
知能があるとはいえ別に魔物を倒したり捕まえたりするのは犯罪じゃないのよね。
とりあえず起きて追いかけられても嫌なので手は縛っておこう。
「【植物生成】」
魔法で蔦を創り出し8人の両手首を縛る。
「さ、これで時間稼ぎはできるでしょう。怪我も無くなったんだし今のうちに逃げなさい」
「翼も治ったから空も飛べるし、空を逃げればもうこの人たちに捕まることはないでしょ」。そう伝えるがグリフォンはなかなか逃げない。
「助けがなければあのまま捕まり、魔道具で自由を奪われ戦争の道具にされていたかもしれん。こんな大恩を受けたまま立ち去ることはできない。側にいて恩を返したいのだ」
えぇ!?
「そばにいるって……、それって従魔になるってこと!?」
「恩が返せるのならそれでいい。それに旅をしているなら私に乗って進んだ方が速いぞ」
ええー。
すごく強そうだし嬉しいんだけど、グリフォンなんて連れてたら目立ってしょうがないんだけど。
それにグリフォンに乗って向かうにしてもそんなにすぐ国境に着いたら時系列が合わなくなっちゃうし、町を通った形跡がなくて急に国境に現れたら不審だ。
国境を通ったのは本当にオレリア本人か? なんて話しになったら大変なことになる。
「申し訳ないんだけど、今は事情があって目立つわけにはいかないの」
「ではこれならどうだ?」
そうグリフォンは言うと身体がどんどん小さくなり、最終的には肩にギリギリ乗るくらいの大きさの鳥になった。
なんの鳥だろう? ミミズクみたいに頭の上にピョコっと羽が生えていてかわいい。
これなら目立たないから大丈夫かな。
「グリフォンとバレなければ大丈夫だけど、でも従魔になるって本当にいいの?」
こんなに強い魔物なのに人に従うなんて、本当にいいのだろうか?
「男に二言はない。恩人には恩を返す」
何度聞いても着いてくると言うので、とりあえず従魔にすることにする。
もしこの子が嫌になったらその時お別れすればいいわよね。
「じゃあとりあえずはこいつらが起きる前に出発しちゃいましょ!」
街道を国境に向けて走り出す。
きっとこいつらが気がついたら追ってくるだろうから、身体強化とヒールを使い出来るだけ先に進んでおく。
「ねぇ、これから一緒に過ごすわけだから聞きたいんだけどあなた名前はなんて言うの? 私はオレリア。でも今はリアって名乗ってるからリアって呼んでね」
「リアか。これからよろしく頼む。私は大森林の中で魔物ばかりの環境だったのだ、名前などない」
そう言うがこれからずっとグリフォンって呼ぶわけにもいかないし……。
「主人になったのだからリアが名前をつけてくれ」
ええ! 名付けって、重大任務じゃないの!
うーん、そうね。この立派なグリフォンにぴったりな名前がいいわ。
「……ノアはどうかしら? “自由”って意味なの。空を自由に飛び回れるあなたにピッタリでしょう?それに私とお揃いみたいだわ!」
「ノア、か。気に入った! それに私は今日リアに自由を貰ったのだ。この出会いにもピッタリな名だ」
よかった。気に入ってもらえたみたいだ。
あれから1人と1匹で街道を爆走。
グリフォン事件で時間を取られた分は取り返せたかな。
食事は私は今まで通り。
ノアは一応なんでも食べれるが、今までは自分で魔物を狩って食べてたというので肉を少し焼いてレアで出してあげた。
ただ食べる量が多いのでこれからはノアにも魔物を狩ってもらわないとね。
そう伝えたらノアが張り切って魔物を倒してくれたので3日間でものすごい量の魔物が狩れた。
今までは街道に出てきた魔物だけ狩っていたけど、ノアは近くに魔物の気配があると「ちょっと行ってくる」と言って狩りに出かけてしまう。
まぁ数分したら周りに人がいない時を見計らって獲物を持って私のところに戻ってくるからいいんだけどね。
「もうそろそろフィリベールに到着するわ。ノアは念話もできる? せっかく鳥に擬態しても喋ったら目立ってしまうから」
『できるぞ、この通りだ』
これなら一緒に町に入っても大丈夫そうだ。
36
お気に入りに追加
4,195
あなたにおすすめの小説
夫に離婚を切り出したら、物語の主人公の継母になりました
魚谷
恋愛
「ギュスターブ様、離婚しましょう!」
8歳の頃に、15歳の夫、伯爵のギュスターブの元に嫁いだ、侯爵家出身のフリーデ。
その結婚生活は悲惨なもの。一度も寝室を同じくしたことがなく、戦争狂と言われる夫は夫婦生活を持とうとせず、戦場を渡り歩いてばかり。
堪忍袋の緒が切れたフリーデはついに離婚を切り出すも、夫は金髪碧眼の美しい少年、ユーリを紹介する。
理解が追いつかず、卒倒するフリーデ。
その瞬間、自分が生きるこの世界が、前世大好きだった『凍月の刃』という物語の世界だということを思い出す。
紹介された少年は隠し子ではなく、物語の主人公。
夫のことはどうでもいいが、ユーリが歩むことになる茨の道を考えれば、見捨てることなんてできない。
フリーデはユーリが成人するまでは彼を育てるために婚姻を継続するが、成人したあかつきには離婚を認めるよう迫り、認めさせることに成功する。
ユーリの悲劇的な未来を、原作知識回避しつつ、離婚後の明るい未来のため、フリーデは邁進する。
兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜
藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。
__婚約破棄、大歓迎だ。
そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った!
勝負は一瞬!王子は場外へ!
シスコン兄と無自覚ブラコン妹。
そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。
周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!?
短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています
カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
不死王はスローライフを希望します
小狐丸
ファンタジー
気がついたら、暗い森の中に居た男。
深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。
そこで俺は気がつく。
「俺って透けてないか?」
そう、男はゴーストになっていた。
最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。
その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。
設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
ありあまるほどの、幸せを
十時(如月皐)
BL
アシェルはオルシア大国に並ぶバーチェラ王国の侯爵令息で、フィアナ王妃の兄だ。しかし三男であるため爵位もなく、事故で足の自由を失った自分を社交界がすべてと言っても過言ではない貴族社会で求める者もいないだろうと、早々に退職を決意して田舎でのんびり過ごすことを夢見ていた。
しかし、そんなアシェルを凱旋した精鋭部隊の連隊長が褒美として欲しいと式典で言い出して……。
静かに諦めたアシェルと、にこやかに逃がす気の無いルイとの、静かな物語が幕を開ける。
「望んだものはただ、ひとつ」に出てきたバーチェラ王国フィアナ王妃の兄のお話です。
このお話単体でも全然読めると思います!
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる