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第三章 勝負の三年間 二年生編
第十一話 「二年生の一ノ瀬…」
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六月一日の二回戦。綾乃はスターティングメンバーとして出場。
左サイドからの攻撃の起点となり、幾度となくチャンスを演出。
そして、迎えた後半十七分。瑞穂からボールを受けた綾乃に相手選手がマークに走る。
綾乃その瞬間、ワンタッチで前線に長いパスを供給。ボールは混戦のゴール前へ。
高く跳ね上がったボールはペナルティーエリアの外へ流れる。ボールを追う両校の選手。
綾乃はその瞬間、左サイドからピッチ中央へ、
ボールに最初に触ったのは相手選手。右足でボールを収めると、そのままドリブルを仕掛ける。
すると。
「いいぞ!」
ベンチから宮城の声。彼の声からすぐに、ボールを持った山取東高校の選手が舞子へパスを送る。舞子は中央を駆け上がると、槙原香奈へパスを送る。香奈はボールを受けるとディフェンスを一人かわし、右足を振り抜く。
それから間もなくして、山取東高校応援スタンドとベンチが沸き立つ。
「もう、ほんとに頼りになるよ、綾乃ちゃん!」
笑顔の香奈。
綾乃は彼女の言葉に謙遜するように首を横に振る。
「私はまだまだですから」
「またまたあ!」
綾乃の言葉に笑顔で応える香奈。
この七分後に山取東高校は追加点を上げ、二対〇で勝利。
試合終了後、綾乃はベンチに腰掛け、水筒を傾けながらピッチを眺める。
来週、三回戦…。相手は前年の準優勝校。今の私はどれくらい通用するのでしょう…。
そのようなことを思い、水筒のミネラルウォーターを飲み干した綾乃は立ち上がる。そして、左手に握り拳を作る。
「今の私にできることを…!」
綾乃は気を引き締めるように頷くと、ロッカールームへと歩を進めた。
ロッカールームの数メートル前、綾乃の目に二人の人物の姿が映る。
「宮城先生と…」
ネクタイ姿の男性だった。彼は笑顔を交えながら宮城の談笑する。綾乃は特に気にすることなく、ロッカールームへ足を踏み入れる。
その時。
「二年生の一ノ瀬…」
男性の言葉に立ち止まる綾乃。だか、その先の言葉は綾乃の耳に届いていない。
「私…?」
二人は何を話していたのだろう。
左サイドからの攻撃の起点となり、幾度となくチャンスを演出。
そして、迎えた後半十七分。瑞穂からボールを受けた綾乃に相手選手がマークに走る。
綾乃その瞬間、ワンタッチで前線に長いパスを供給。ボールは混戦のゴール前へ。
高く跳ね上がったボールはペナルティーエリアの外へ流れる。ボールを追う両校の選手。
綾乃はその瞬間、左サイドからピッチ中央へ、
ボールに最初に触ったのは相手選手。右足でボールを収めると、そのままドリブルを仕掛ける。
すると。
「いいぞ!」
ベンチから宮城の声。彼の声からすぐに、ボールを持った山取東高校の選手が舞子へパスを送る。舞子は中央を駆け上がると、槙原香奈へパスを送る。香奈はボールを受けるとディフェンスを一人かわし、右足を振り抜く。
それから間もなくして、山取東高校応援スタンドとベンチが沸き立つ。
「もう、ほんとに頼りになるよ、綾乃ちゃん!」
笑顔の香奈。
綾乃は彼女の言葉に謙遜するように首を横に振る。
「私はまだまだですから」
「またまたあ!」
綾乃の言葉に笑顔で応える香奈。
この七分後に山取東高校は追加点を上げ、二対〇で勝利。
試合終了後、綾乃はベンチに腰掛け、水筒を傾けながらピッチを眺める。
来週、三回戦…。相手は前年の準優勝校。今の私はどれくらい通用するのでしょう…。
そのようなことを思い、水筒のミネラルウォーターを飲み干した綾乃は立ち上がる。そして、左手に握り拳を作る。
「今の私にできることを…!」
綾乃は気を引き締めるように頷くと、ロッカールームへと歩を進めた。
ロッカールームの数メートル前、綾乃の目に二人の人物の姿が映る。
「宮城先生と…」
ネクタイ姿の男性だった。彼は笑顔を交えながら宮城の談笑する。綾乃は特に気にすることなく、ロッカールームへ足を踏み入れる。
その時。
「二年生の一ノ瀬…」
男性の言葉に立ち止まる綾乃。だか、その先の言葉は綾乃の耳に届いていない。
「私…?」
二人は何を話していたのだろう。
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