Toward a dream 〜とあるお嬢様の挑戦〜

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第三章 勝負の三年間 二年生編

第十話 「真っすぐに…!」

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 試合終了後、ロッカールームを出た綾乃は最寄り駅の利堂りどう駅へと歩く。券売機で切符を購入し、ホームで列車を待つ。


 何気なく数位を見渡すあ綾乃。すると、ある人物の姿に気付く。

 その人物は。


 「スタンドにいらした…」



 その男性だった。



 彼は反対側のホームで列車を待ちながら右手に携帯電話を持ち、通話していた。時折、電光掲示板へ視線を向け、左手に携えた書類へ目を通す。

 綾乃がしばらく彼の姿を見つめていると、台府駅行き列車の接近を知らせるアナウンスが。その瞬間、綾乃は列車の進行方向へ視線を向ける。


 同時に、綾乃は何かを悟ったように口を小さく開く。

 それからすぐに、列車がホームへ入る。減速し、停車。

 綾乃が車体へ視線を向けると、ドアが開いた。

 乗客が降車したことを確認し、綾乃は車内へ。そして、長いシートの真ん中へ腰掛けた十秒後に、列車は次の駅へと出発した。




 
 「ただ今戻りました」


 午後二時過ぎに綾乃は帰宅。玄関のドアを閉めると同時に、晴義が綾乃を出迎える。


 「お帰りなさいませ。お食事は?」

 「いただきます」


 晴義の問いに笑顔で答え、綾乃は寝室へ。バッグを置くと寝室を出て、食堂へと向かった。



 「帰ったか」


 綾乃が食堂のドアを開けると、浩平が腕を組み、椅子でどっしりと構えていた。


 「ただ今戻りました」


 綾乃は応えると、浩平の正面の椅子へ腰掛ける。


 すると、綾乃の目には普段見ることのない浩平の表情が。



 「どうされたんですか?お父様」



 綾乃が尋ねると、浩平は腕組みを解く。

 そして。



 「この調子で進んでいけ」



 笑顔に近い表情で綾乃に言葉を贈った。

 綾乃は浩平の言葉に小さく頷く。

 そして。


 「はい。真っすぐに…!」


 やさしさの中に凛々しさが感じられる表情でそう答え、翌日の二回戦に向けて、気を引き締めた。
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