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第三章 勝負の三年間 二年生編

第二話 「現段階の私の評価はどのくらいでしょうか?」

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 「おかえりなさいませ」

 「ただ今戻りました」


 晴義の言葉に笑顔で応え、階段を上る綾乃。寝室のドアの間に立つと同時に、浩平の声が。


 
 「戻ったか」

 「ただ今戻りました」


 綾乃は浩平と正対。

 浩平は小さく頷く。


 「今年の一年生も良い選手ばかりだと聞いている。負けないように頑張れよ」

 「はい」


 綾乃は力強く頷く。

 彼女の姿を見た浩平は僅かに口元を緩め、書斎へと歩を進めた。

 浩平が書斎のドアを閉めたと同時に、綾乃はドアノブに手を掛けた。


 寝室の椅子へ腰掛ける綾乃。すると、綾乃の耳に台府駅で聞こえたあの言葉が届く。その瞬間、綾乃は目を閉じ、口元を緩める。


 「でも、嬉しかったです…。そう言っていただけて…。選手として認知されているという証拠ですから」


 
 台府駅で綾乃の耳に届いたのは男性の声だった。まだ若く、二十代と思われる男性の。しかし、男性の姿は綾乃の目には映っていなかった。

 まさかそのようなことが…?と綾乃は一瞬考えた。しかし、そのようなことがあるわけないと考えを改めるように首を数回横に振る。


 目を開けた綾乃は寝室に飾ってあるサッカーボールへ視線を向け、天に尋ねるように言葉を発する。


 「現段階の私の評価はどのくらいでしょうか?」



 その言葉の二分後、綾乃の携帯電話に真希からのメールが届いた。綾乃はメール画面を開き、文面を眺めると、微笑む。そして、真希へメールを返信。

 携帯電話を机の上に置いた綾乃の表情は向上心に満ち溢れていた。右手に握り拳を作った綾乃はこう言葉を発する。

 
 「ここからもっと上を目指していけるように…!」


 その言葉からすぐに、寝室の照明が僅かに明るさを増した。

 それは何を意味しているのだろう…。
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