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06 夢の終わり
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ぼくが魔術学院に入学して、もうすぐ1年になる。
成績は問題ない、次の課程……2年生には進めるだろう。
ただ、なんというか、このところアリエルとはぎくしゃくしちゃってる。
その原因はぼくにあって、ぼくがアリエルのことを好きになりすぎちゃったのが問題なんだ。
アリエルはこの国の第六王子さまで、平民のぼくとは身分が違いすぎる。
最初は、遊びでいいと思ってた。ぼくは本気だけど、アリエルはぼくと遊んでくれている。それでいいと思ってたんだ。
でもだんだんと、アリエルもぼくへと想いを向けてくれるようになって、ぼくはその想いをムシできなくなってしまった。
もしかしたら……と。
持ってはいけない期待を、ぼくのココロはごまかせないほどに大きくしてしまった。
だからこのところ、ぼくはアリエルを避けている。
これ以上ぼくが彼を求めてしまったら、彼に「余計な悩み」を押しつけてしまうんじゃないかと不安になるから。
進級のための勉強が忙しい。そういい訳したけどぼくの成績はアリエルよりも上で、アリエルが進級ラインをクリアしている以上、そのいい訳は苦しいものだった。
だけど進級の最終試験も終わって、ぼくはいい訳が使えなくなった。そして今日は久しぶりに、ぼくたちはアリエルの寝室で抱き合っていた。
14日ぶりに感じるアリエルの体温。たくさんのキスと、たくさんの触れ合い。
やっぱり、幸せだ。
幸せだとしか感じられない。
後ろからぼくに合体してくるアリエル。久しぶりに広がったぼくの入り口と内部は、ぼくがアリエルに可愛がってもらうために生まれてきたのだと主張してくる。
そうでないなら、こんなに気持ちよくて幸せなわけがない。
「リップ」
優しい声。だけど激しく動くアリエル。彼の動きに揺らされるぼくは、ただ喘ぎながら与えられる快感を貪った。
やがて、
「うっ」
アリエルの呻きとともに、彼が気持ちよくなってくれた証拠が、ぼくのお腹に中にたさくん溢れてきた。
本当にたくさん。どくっ、どくって……いっぱい溜めててくれたんだね。
自分でしなかったの? それとも、誰ともしてないと、ぼくに証明するため?
そんな変な期待を持ってしまう。
繋がったまま、アリエルがぼくの背中に胸を当てて覆いかぶさる。
でも体重がかからないように、気をつけてくれているのもわかった。
密着するぼくら。無言で、お互いの体温を感じる。
ぼくは自分の中に留まったままの彼を感じていたけど、彼の大きさはまったく変わることなく、
「このまま、もう一回するよ」
アリエルが再び腰を動かし始めた。
二回目の放出を終えて、アリエルはぼくから離れた。
疲れたのかな? ベッドに仰向けになるアリエル。ぼくは彼の右側に寄り添うようにして身体をくっつけた。
幸せだな。そう思うんだけど、以前とは違ってココロのどこかが苦しいんだ。
「ねぇ、アリエル。ぼくはアリエルが好きだよ? 初めていうけど、気持ち悪かったらごめんね」
そしてぼくはアリエルの顔を覗きこんで、自分の中の大切な想いを彼につげた。
「ぼくは、アリエルを愛しています」
好きだとか大切だとか、そういう言葉は何度もつげたけど、ぼくはこれまで彼に「愛している」をつげたことはなかった。
それは、「最後の言葉」のように思っていたから。
もう、行き止まりの言葉だと。
「ごめんね、気持ち悪いよね、ぼくたち、男の子どうしなのに……」
アリエルが遊びならそれでいい。そのほうがいいんだ。
「だから、ね?」
失恋なんて、ありふれたものでしょ?
「もう……終わりにしよ?」
なのに……。
喉が、唇が震える。
感情が溢れ、涙となってこぼれる。
泣くつもりなんてなかった。
こんな強い想いを、彼にぶつけるつもりなんてなかった。
嬉しかった。
楽しかった。
幸せだった。
それで、いいと思った。
彼にはもう、十分もらったはずだから。
夢の終わり。
目がさめて、元の世界に帰る。
それだけのこと。
ぼくが腕で涙を拭おうとすると、アリエルがぼくの腕を掴んでその動きを止めさせる。
涙で濡れた顔を、彼が見ている。
そしてぼくの溢れる涙で湿った唇に、彼の唇が押しつけられた。
「んくっ、ンっ……ぅうンッ」
強く、激しく。
ぼくを攻めてくるアリエル。
彼の唇と舌が、ぼくのお口の全てを奪いにくる。胸を、股間を、アリエルが強く弄ってくる。
「やっ、ンくぅっ!」
股間を揉まれながら、唇を奪われながら、アリエルがぼくにしてくれる全てを嬉しいと感じてしまう。
アリエルに抱かれる。それ以上に嬉しくて幸せで気持ちいいことは、この世界にないと理解してしまう。
唇、首筋、そして唇。
キスを繰り返したアリエルがぼくを見て、
「これでも、おれを忘れられるのか!?」
どうして、なんで……。
「ず、ずるいよ……やめてよ」
ぼくは泣きながら抗議した。
こんなことされたら、ぼくは。
「忘れられるわけないだろっ!」
今度はぼくがアリエルを押し倒し、唇を奪う。
強くキスをして、彼に抱きついた。
顔に、首に、唇に。繰り返してキスする。
「だ、だってアリエルは、王子さまじゃないかッ!」
「王子だからなんだ」
は、はぁ!?
「なんだって、なにそれ。じゃあどうるするの!? ぼくはもっともっとアリエルを好きなっていくよ? 大好きになって、愛して愛して愛して、アリエルなしじゃ生きていけなくなるよ!?」
「なら、そうなればいい」
「そんなことできるわけないでしょ!? アリエルはぼくをお嫁さんにしてくれるの!? ぼくをきみの妻にできるの!? ぼくはきみを……ずっと、愛していてもいいの……?」
止まることなく涙が溢れてくる。
かっこ悪い。可愛くない。
ぼくはむちゃくちゃなことをいって、わがままでアリエルを困らせている。
こんな関係にならなければよかった?
いや、それは思わない。
ぼくはもう一生分の幸せを、アリエルにもらったんだ。
その幸せの時間が終わろうとしてるだけ。
出会えてよかった。
好きになってよかった。
愛することができて、嬉しかった。
これからもずっと、ぼくはきみを愛し続けるよ。
「リップは、終わらせたいのか」
ぼくの心臓に杭が打たれた。
言葉にできない。
でも、ここで頷くべきた。
アリエルのこれからを願うのなら。
ぼくは頷いた。
必死で、ココロを殺して。
大好きだよアリエル。
本当に、きみが大切なんだ。
だからこれ以上、ぼくはきみの側にいてはいけないと思う。
きっとぼくは、きみの未来を悪いように歪めてしまう。
緑の瞳。きれいなその場所に、ぼくはずっと写されていたかったけど、
「……わかったよ、リップの気持ちは」
どこか諦めたような顔で、アリエルがいった。
そしてぼくのココロは、割れて壊れた。
身体はくっつけたまま、視線を合わすことなく黙るぼくら。
しばらくの沈黙のあと、唐突にアリエルが呟いた。
「……おれのを、リップにもらってほしいんだ」
意味は、わかった。
「嫌か?」
ぼくはアリエルにしてもらうのは好きだ。お尻に彼を受け入れて、たくさん気持ち良くなってもらって、ぼくも気持ち良くしてもらう。
だけどぼくは、アリエルに埋まりたいと思ったことはなかった。
確かに、なんでだろう?
ぼくだって男なんだから、男の部分で気持ち良くなりたいと思ってもいいものなのに。
ぼくは少し考えてから、こう答えた。
「いいよ、してあげる。最後にぼくが、アリエルを可愛がってあげる」
そう、これが最後だから。
いつものぼくの格好。アリエルがうつ伏せ立て膝で、お尻を持ち上げる。
だけどすぐには繋がれない。ぼくのものは緩んでしまっていたし、それにほぐさないと痛いよ。ぼくは、それをよく知っている。
アリエルのお尻。こんなにじっくり見るのは初めてだ。ぼくはいつも、アリエルにこんな姿を見られているんだな。
恥ずかしいけど、とても嬉しい。
ぼくはアリエルのお尻に顔を寄せて、入り口にキスをする。
ピクッと、アリエルが震える。
わかるよ。くすぐったくて、気持ちいいんだよね。
くちゅ……ちゅぷっ
舌を伸ばして、入り口を濡らしながら刺激する。これ、アリエルもたくさんしてくれたよね。気持ちよかったよ。ぼくね、これ好きだったんだ。
だから、アリエルにもしてあげる。
ぼくはしゃぶりつくすように、アリエルを刺激していく。エッチな音を立てて、たくさん舌を使って、「気持ちよくなってね」を伝える。
たっぷりとアリエルを味わって、アリエルの入り口に緩みを感じてから、ぼくは身体ごと顔を上げた。
アリエルの準備はこれで大丈夫だし、ぼくのも硬くなっている。入り口へのキスって、するのもされるのも気持ちいいんだな。
ぼくは身体を持ち上げて位置を整えると、大きくなっても半分ほどが皮に包まれた先端をアリエルの入り口にあてがう。
ぼくのはきみのほど大きくないから、そんなに苦しくないと思うよ。
少し押しつけただけで、
(これ、いけるな)
とわかった。
アリエルの入り口は、自分からぼくを受け入れる動きをしている。ぼくが欲しくて仕方ないなんだね。
「いくよ、アリエル」
無言でうなずくアリエル。
「大丈夫だよ、怖くないって」
ぼくは腰を落とすようにして、
ぐっ、ぐいぃ……
「ぅぐっ」
声を上げるアリエルを広げながら、奥へと埋まっていく。
アリエルを受け入れたことは何度もあるけど、アリエルに入るのはこれが初めて。
そしてきっと、これが最後になるんだろう。
ぼくのも、こんな感じだったのかな?
アリエルの中、気持ちいいな……。
「アリエル、痛くない?」
「痛くない。リップはいつも、おれのが痛いのか?」
「ううん。痛くないよ? 気持ちいいし、幸せだよ」
「おれも……同じだ」
アリエルの身体から力抜ける。ぼくに身体を任せようとしているんだろう。
初めてだから、どう動いていいかわからない。
だけどアリエルがぼくにしてくれたように、ぼくも腰を動かしていく。
ぎゅっ、ぐちゅっ
締めつけて絡まってくる、アリエル。
入れてもらうのとは全然違うな。
「気持ち……いい?」
ぼくの問いに彼は、
「あぁ。これも、いいな。イッちゃいそうになる」
確かにいれてもらうと、自分も気持ちよくてイッちゃいそうになるよね。
ぼくも何度か、イッちゃったことあるよ。知ってるでしょ?
アリエルの内部の蠢きが、ぼくを昇らせていく。
「ごめんね。ぼく、ダメだ……やっぱり、ダメだよ」
なにがダメなのか自分でもわからなかったけど、でも「ダメ」なのはわかった。
感情が壊れる。自分で制御できない。
ぼくの動きは激しくなり、それと同時に得られる快感も増していく。
夢中で、なにも考えることもできずに、ただアリエルがくれる快感に飲まれるだけの時間。
出ちゃった? よくわからないな。
でもぼくのは硬いままで、彼を突き刺し続ける。
「うっ、くぅ……っ」
呻くアリエル。痛い? それとも、気持ちいいの?
アリエルの身体が震え、ぼくのを強く締めつけてくる。それでもぼくは何度もアリエルを突き、自分の想いの全てを彼に注いでいった。
そして、いつの間にか……。
ぼくは全てを出し切ったのか、眠ってしまっていたらしい。
どうなったんだろう? よくおぼえてない。
ただアリエルの体温と感触は、はっきりおぼえている。
「アリエル?」
ぼくだけが残された室内に、ぼくの声だけがむなしく響く。
「アリ……エル?」
アリエルはベッドからも部屋からもぼくの側からも、そして学院からもいなくなっていた。
成績は問題ない、次の課程……2年生には進めるだろう。
ただ、なんというか、このところアリエルとはぎくしゃくしちゃってる。
その原因はぼくにあって、ぼくがアリエルのことを好きになりすぎちゃったのが問題なんだ。
アリエルはこの国の第六王子さまで、平民のぼくとは身分が違いすぎる。
最初は、遊びでいいと思ってた。ぼくは本気だけど、アリエルはぼくと遊んでくれている。それでいいと思ってたんだ。
でもだんだんと、アリエルもぼくへと想いを向けてくれるようになって、ぼくはその想いをムシできなくなってしまった。
もしかしたら……と。
持ってはいけない期待を、ぼくのココロはごまかせないほどに大きくしてしまった。
だからこのところ、ぼくはアリエルを避けている。
これ以上ぼくが彼を求めてしまったら、彼に「余計な悩み」を押しつけてしまうんじゃないかと不安になるから。
進級のための勉強が忙しい。そういい訳したけどぼくの成績はアリエルよりも上で、アリエルが進級ラインをクリアしている以上、そのいい訳は苦しいものだった。
だけど進級の最終試験も終わって、ぼくはいい訳が使えなくなった。そして今日は久しぶりに、ぼくたちはアリエルの寝室で抱き合っていた。
14日ぶりに感じるアリエルの体温。たくさんのキスと、たくさんの触れ合い。
やっぱり、幸せだ。
幸せだとしか感じられない。
後ろからぼくに合体してくるアリエル。久しぶりに広がったぼくの入り口と内部は、ぼくがアリエルに可愛がってもらうために生まれてきたのだと主張してくる。
そうでないなら、こんなに気持ちよくて幸せなわけがない。
「リップ」
優しい声。だけど激しく動くアリエル。彼の動きに揺らされるぼくは、ただ喘ぎながら与えられる快感を貪った。
やがて、
「うっ」
アリエルの呻きとともに、彼が気持ちよくなってくれた証拠が、ぼくのお腹に中にたさくん溢れてきた。
本当にたくさん。どくっ、どくって……いっぱい溜めててくれたんだね。
自分でしなかったの? それとも、誰ともしてないと、ぼくに証明するため?
そんな変な期待を持ってしまう。
繋がったまま、アリエルがぼくの背中に胸を当てて覆いかぶさる。
でも体重がかからないように、気をつけてくれているのもわかった。
密着するぼくら。無言で、お互いの体温を感じる。
ぼくは自分の中に留まったままの彼を感じていたけど、彼の大きさはまったく変わることなく、
「このまま、もう一回するよ」
アリエルが再び腰を動かし始めた。
二回目の放出を終えて、アリエルはぼくから離れた。
疲れたのかな? ベッドに仰向けになるアリエル。ぼくは彼の右側に寄り添うようにして身体をくっつけた。
幸せだな。そう思うんだけど、以前とは違ってココロのどこかが苦しいんだ。
「ねぇ、アリエル。ぼくはアリエルが好きだよ? 初めていうけど、気持ち悪かったらごめんね」
そしてぼくはアリエルの顔を覗きこんで、自分の中の大切な想いを彼につげた。
「ぼくは、アリエルを愛しています」
好きだとか大切だとか、そういう言葉は何度もつげたけど、ぼくはこれまで彼に「愛している」をつげたことはなかった。
それは、「最後の言葉」のように思っていたから。
もう、行き止まりの言葉だと。
「ごめんね、気持ち悪いよね、ぼくたち、男の子どうしなのに……」
アリエルが遊びならそれでいい。そのほうがいいんだ。
「だから、ね?」
失恋なんて、ありふれたものでしょ?
「もう……終わりにしよ?」
なのに……。
喉が、唇が震える。
感情が溢れ、涙となってこぼれる。
泣くつもりなんてなかった。
こんな強い想いを、彼にぶつけるつもりなんてなかった。
嬉しかった。
楽しかった。
幸せだった。
それで、いいと思った。
彼にはもう、十分もらったはずだから。
夢の終わり。
目がさめて、元の世界に帰る。
それだけのこと。
ぼくが腕で涙を拭おうとすると、アリエルがぼくの腕を掴んでその動きを止めさせる。
涙で濡れた顔を、彼が見ている。
そしてぼくの溢れる涙で湿った唇に、彼の唇が押しつけられた。
「んくっ、ンっ……ぅうンッ」
強く、激しく。
ぼくを攻めてくるアリエル。
彼の唇と舌が、ぼくのお口の全てを奪いにくる。胸を、股間を、アリエルが強く弄ってくる。
「やっ、ンくぅっ!」
股間を揉まれながら、唇を奪われながら、アリエルがぼくにしてくれる全てを嬉しいと感じてしまう。
アリエルに抱かれる。それ以上に嬉しくて幸せで気持ちいいことは、この世界にないと理解してしまう。
唇、首筋、そして唇。
キスを繰り返したアリエルがぼくを見て、
「これでも、おれを忘れられるのか!?」
どうして、なんで……。
「ず、ずるいよ……やめてよ」
ぼくは泣きながら抗議した。
こんなことされたら、ぼくは。
「忘れられるわけないだろっ!」
今度はぼくがアリエルを押し倒し、唇を奪う。
強くキスをして、彼に抱きついた。
顔に、首に、唇に。繰り返してキスする。
「だ、だってアリエルは、王子さまじゃないかッ!」
「王子だからなんだ」
は、はぁ!?
「なんだって、なにそれ。じゃあどうるするの!? ぼくはもっともっとアリエルを好きなっていくよ? 大好きになって、愛して愛して愛して、アリエルなしじゃ生きていけなくなるよ!?」
「なら、そうなればいい」
「そんなことできるわけないでしょ!? アリエルはぼくをお嫁さんにしてくれるの!? ぼくをきみの妻にできるの!? ぼくはきみを……ずっと、愛していてもいいの……?」
止まることなく涙が溢れてくる。
かっこ悪い。可愛くない。
ぼくはむちゃくちゃなことをいって、わがままでアリエルを困らせている。
こんな関係にならなければよかった?
いや、それは思わない。
ぼくはもう一生分の幸せを、アリエルにもらったんだ。
その幸せの時間が終わろうとしてるだけ。
出会えてよかった。
好きになってよかった。
愛することができて、嬉しかった。
これからもずっと、ぼくはきみを愛し続けるよ。
「リップは、終わらせたいのか」
ぼくの心臓に杭が打たれた。
言葉にできない。
でも、ここで頷くべきた。
アリエルのこれからを願うのなら。
ぼくは頷いた。
必死で、ココロを殺して。
大好きだよアリエル。
本当に、きみが大切なんだ。
だからこれ以上、ぼくはきみの側にいてはいけないと思う。
きっとぼくは、きみの未来を悪いように歪めてしまう。
緑の瞳。きれいなその場所に、ぼくはずっと写されていたかったけど、
「……わかったよ、リップの気持ちは」
どこか諦めたような顔で、アリエルがいった。
そしてぼくのココロは、割れて壊れた。
身体はくっつけたまま、視線を合わすことなく黙るぼくら。
しばらくの沈黙のあと、唐突にアリエルが呟いた。
「……おれのを、リップにもらってほしいんだ」
意味は、わかった。
「嫌か?」
ぼくはアリエルにしてもらうのは好きだ。お尻に彼を受け入れて、たくさん気持ち良くなってもらって、ぼくも気持ち良くしてもらう。
だけどぼくは、アリエルに埋まりたいと思ったことはなかった。
確かに、なんでだろう?
ぼくだって男なんだから、男の部分で気持ち良くなりたいと思ってもいいものなのに。
ぼくは少し考えてから、こう答えた。
「いいよ、してあげる。最後にぼくが、アリエルを可愛がってあげる」
そう、これが最後だから。
いつものぼくの格好。アリエルがうつ伏せ立て膝で、お尻を持ち上げる。
だけどすぐには繋がれない。ぼくのものは緩んでしまっていたし、それにほぐさないと痛いよ。ぼくは、それをよく知っている。
アリエルのお尻。こんなにじっくり見るのは初めてだ。ぼくはいつも、アリエルにこんな姿を見られているんだな。
恥ずかしいけど、とても嬉しい。
ぼくはアリエルのお尻に顔を寄せて、入り口にキスをする。
ピクッと、アリエルが震える。
わかるよ。くすぐったくて、気持ちいいんだよね。
くちゅ……ちゅぷっ
舌を伸ばして、入り口を濡らしながら刺激する。これ、アリエルもたくさんしてくれたよね。気持ちよかったよ。ぼくね、これ好きだったんだ。
だから、アリエルにもしてあげる。
ぼくはしゃぶりつくすように、アリエルを刺激していく。エッチな音を立てて、たくさん舌を使って、「気持ちよくなってね」を伝える。
たっぷりとアリエルを味わって、アリエルの入り口に緩みを感じてから、ぼくは身体ごと顔を上げた。
アリエルの準備はこれで大丈夫だし、ぼくのも硬くなっている。入り口へのキスって、するのもされるのも気持ちいいんだな。
ぼくは身体を持ち上げて位置を整えると、大きくなっても半分ほどが皮に包まれた先端をアリエルの入り口にあてがう。
ぼくのはきみのほど大きくないから、そんなに苦しくないと思うよ。
少し押しつけただけで、
(これ、いけるな)
とわかった。
アリエルの入り口は、自分からぼくを受け入れる動きをしている。ぼくが欲しくて仕方ないなんだね。
「いくよ、アリエル」
無言でうなずくアリエル。
「大丈夫だよ、怖くないって」
ぼくは腰を落とすようにして、
ぐっ、ぐいぃ……
「ぅぐっ」
声を上げるアリエルを広げながら、奥へと埋まっていく。
アリエルを受け入れたことは何度もあるけど、アリエルに入るのはこれが初めて。
そしてきっと、これが最後になるんだろう。
ぼくのも、こんな感じだったのかな?
アリエルの中、気持ちいいな……。
「アリエル、痛くない?」
「痛くない。リップはいつも、おれのが痛いのか?」
「ううん。痛くないよ? 気持ちいいし、幸せだよ」
「おれも……同じだ」
アリエルの身体から力抜ける。ぼくに身体を任せようとしているんだろう。
初めてだから、どう動いていいかわからない。
だけどアリエルがぼくにしてくれたように、ぼくも腰を動かしていく。
ぎゅっ、ぐちゅっ
締めつけて絡まってくる、アリエル。
入れてもらうのとは全然違うな。
「気持ち……いい?」
ぼくの問いに彼は、
「あぁ。これも、いいな。イッちゃいそうになる」
確かにいれてもらうと、自分も気持ちよくてイッちゃいそうになるよね。
ぼくも何度か、イッちゃったことあるよ。知ってるでしょ?
アリエルの内部の蠢きが、ぼくを昇らせていく。
「ごめんね。ぼく、ダメだ……やっぱり、ダメだよ」
なにがダメなのか自分でもわからなかったけど、でも「ダメ」なのはわかった。
感情が壊れる。自分で制御できない。
ぼくの動きは激しくなり、それと同時に得られる快感も増していく。
夢中で、なにも考えることもできずに、ただアリエルがくれる快感に飲まれるだけの時間。
出ちゃった? よくわからないな。
でもぼくのは硬いままで、彼を突き刺し続ける。
「うっ、くぅ……っ」
呻くアリエル。痛い? それとも、気持ちいいの?
アリエルの身体が震え、ぼくのを強く締めつけてくる。それでもぼくは何度もアリエルを突き、自分の想いの全てを彼に注いでいった。
そして、いつの間にか……。
ぼくは全てを出し切ったのか、眠ってしまっていたらしい。
どうなったんだろう? よくおぼえてない。
ただアリエルの体温と感触は、はっきりおぼえている。
「アリエル?」
ぼくだけが残された室内に、ぼくの声だけがむなしく響く。
「アリ……エル?」
アリエルはベッドからも部屋からもぼくの側からも、そして学院からもいなくなっていた。
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