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第2章

41話

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 話はとんとん拍子に進んだ。
 アームストロング侯爵家はギリギリまで追い込まれていた。
 それでも、ロイと言う若君が産まれていなければ、決断出来なかっただろう。
 家臣領民の心を掴んだ若君がいて、初めて重大な決断が出来たのだ。

 ロイは大公国に人質に入る心算だった。
 だが大公国の同盟条件は違っていた。
 大公国には第二公子が連絡要員として入る事になった。
 ロイはアームストロング軍を率いて参陣することになった。
 全てはアローンの献策を受けたレーナ姫の決断だった。

「それで、私はどうすればいいのかな?」

「ロイ殿には、このまま私達の陣に留まってもらいます」

「アームストロング軍の指揮は誰が取るのかな?」

「伝令を使って指揮して頂きます。
 元々本陣から伝令を使って前線の指揮を執るのです。
 そう違いはないでしょう」

「私の身分はどうなるのかな?
 人質と言うのでは外聞が悪いのだが」

「そんな些細な事を気にするロイ殿ではないでしょう。
 ですがどうしても気になると言うのなら、私の婚約者と言う事にしましょう」

 ロイは重臣団と話し合い、大公家との同盟を結んだ。
 だが大公家もレーナ姫も簡単に同盟を結ぶ気がなかった。
 特にレーナ姫は、無理に同盟を組まなくても勝てる気でいた。
 だから厳しい条件を付けた。
 それがロイの陣中人質と、第二公子の大公領人質だった。

 最初アームストロング家の家臣は激怒した。
 このような恥をかくくらいなら、帝国に残った方がマシだと諫言した。
 代わる代わるロイに諫言した。
 だがロイは、諫言してくれる家臣に丁寧に説明した。
 アームストロング家の現状と将来を説いた。

 アームストロング家の家臣、特に重臣は現状をよく理解していた。
 家を護るためなら、命を賭けて帝国に立ち向かう覚悟もあった。
 だからレーナ姫に、アームストロング家の面目を立ててくれるように、直談判しようとした。
 だがそれは不可能だった。
 暁の騎士団や暁の徒士団が、そんな事を許すはずがなかった。

 だからロイがやんわりと願い出た。
 大公軍の陣中にいる体裁を整えてくれと。
 早い話が、レーナ姫の婚約者にしてくれと。
 婚約者となれば、姫を護るためと言う表向きの理由で、人質になっている恥を隠すことが出来る。

 だからレーナ姫は簡単に認めたのだ。
 自分の結婚と言う重大事だと言うのに、昼食を共に食べるように簡単に。
 だがそれだけではなかった。
 両家の重臣が驚愕するような内容を、レーナ姫は口にした。
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