110 / 111
第三章
109話
しおりを挟む
「御嬢様、幸運でございます。
大理石の山が発見されました。
これで石材の心配がなくなりました」
白々しい御芝居です。
全てを理解している戦闘侍女達は、笑いをこらえるために厳めしい表情です。
王家や有力貴族家から入り込んだ密偵を騙すために、偽情報を広めさせるために召し抱えた侍女達が、私の運のよさに眼を見開いています。
それもそうでしょう。
半砂漠を奥地に進めば進むほど、多くの鉱山が発見されるのですから。
ですが全部自作自演の芝居です。
発見したのではなく、中級精霊達の複合精霊術によって創り出したのです。
金銀銅鉄といった鉱山に加え、金剛石や青鋼玉に赤鋼玉といった宝石の鉱山まで、連日のように発見されるのです。
砂漠領に入植してから一年少し、地下用水路を利用した農業は順調です。
今年は三万人の領民を養えるだけの収穫があるでしょう。
魔犬達も二度目の出産を終え、最低限の育児も終わっています。
新たに仲間に加えた野生の魔犬や魔虎も沢山いるので、五百頭を超える魔犬と魔虎が仲間なっています。
彼らによる狩りで、莫大な量の獣や魔獣が手に入るようになっています。
純粋な戦闘力で考えれば、もうゴードン王家王国は私達に手出しできません。
魔犬達だけでなく、人間の数も急速に増えました。
最初に移民させた犯罪者奴隷が五千人。
周辺の貴族達が追い払った難民奴隷が二万人。
シーモア公爵家から連れてきた農民が五千人。
シーモア公爵家や王都から集めた難民奴隷が五万人。
土地の自力開拓を条件に騎士や徒士の位を約束した冒険者が五千人。
シーモア公爵家から分家してきた家臣が五千人。
その全員が剣や槍をとったら、王家王国が侵攻してきても、人間戦力だけでも十分防衛戦争が可能です。
ヘンリー様もヘンリー様の側近達も馬鹿ではありませんから、勝てない戦争を仕掛けてくることは、普通はありません。
普通はありませんが、人間は摩訶不思議なモノで、常に理性的に行動できず、時に面目をかけて、死を覚悟して戦うようなところがあるのです。
戦い自体を恐れるわけではありませんが、人間を虐殺したいわけでもありません。
だがら面目を立ててあげることにしました。
私を優遇しても恥ずかしくないようにしてあげました。
自分で自分の伝説を作るのは恥ずかしいですが、リリアンと相談して聖女伝説を創り上げることにしたのです。
軽微な罪の犯罪者奴隷には、恩赦を与えて自由民にしました。
難民奴隷も罪のないモノは恩赦で自由民にしました。
シーモア公爵家や王都からだけでなく、各貴族領の難民や貧民を移民として受け入れると宣言しました。
聖女らしい態度をとるように気を付けました。
王家の直臣や貴族家の陪臣の中で、性格のよい者を新規召し抱えてして、高家や貴族家との絆を深めました。
大理石の山が発見されました。
これで石材の心配がなくなりました」
白々しい御芝居です。
全てを理解している戦闘侍女達は、笑いをこらえるために厳めしい表情です。
王家や有力貴族家から入り込んだ密偵を騙すために、偽情報を広めさせるために召し抱えた侍女達が、私の運のよさに眼を見開いています。
それもそうでしょう。
半砂漠を奥地に進めば進むほど、多くの鉱山が発見されるのですから。
ですが全部自作自演の芝居です。
発見したのではなく、中級精霊達の複合精霊術によって創り出したのです。
金銀銅鉄といった鉱山に加え、金剛石や青鋼玉に赤鋼玉といった宝石の鉱山まで、連日のように発見されるのです。
砂漠領に入植してから一年少し、地下用水路を利用した農業は順調です。
今年は三万人の領民を養えるだけの収穫があるでしょう。
魔犬達も二度目の出産を終え、最低限の育児も終わっています。
新たに仲間に加えた野生の魔犬や魔虎も沢山いるので、五百頭を超える魔犬と魔虎が仲間なっています。
彼らによる狩りで、莫大な量の獣や魔獣が手に入るようになっています。
純粋な戦闘力で考えれば、もうゴードン王家王国は私達に手出しできません。
魔犬達だけでなく、人間の数も急速に増えました。
最初に移民させた犯罪者奴隷が五千人。
周辺の貴族達が追い払った難民奴隷が二万人。
シーモア公爵家から連れてきた農民が五千人。
シーモア公爵家や王都から集めた難民奴隷が五万人。
土地の自力開拓を条件に騎士や徒士の位を約束した冒険者が五千人。
シーモア公爵家から分家してきた家臣が五千人。
その全員が剣や槍をとったら、王家王国が侵攻してきても、人間戦力だけでも十分防衛戦争が可能です。
ヘンリー様もヘンリー様の側近達も馬鹿ではありませんから、勝てない戦争を仕掛けてくることは、普通はありません。
普通はありませんが、人間は摩訶不思議なモノで、常に理性的に行動できず、時に面目をかけて、死を覚悟して戦うようなところがあるのです。
戦い自体を恐れるわけではありませんが、人間を虐殺したいわけでもありません。
だがら面目を立ててあげることにしました。
私を優遇しても恥ずかしくないようにしてあげました。
自分で自分の伝説を作るのは恥ずかしいですが、リリアンと相談して聖女伝説を創り上げることにしたのです。
軽微な罪の犯罪者奴隷には、恩赦を与えて自由民にしました。
難民奴隷も罪のないモノは恩赦で自由民にしました。
シーモア公爵家や王都からだけでなく、各貴族領の難民や貧民を移民として受け入れると宣言しました。
聖女らしい態度をとるように気を付けました。
王家の直臣や貴族家の陪臣の中で、性格のよい者を新規召し抱えてして、高家や貴族家との絆を深めました。
0
お気に入りに追加
850
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~
薄味メロン
恋愛
HOTランキング 1位 (2019.9.18)
お気に入り4000人突破しました。
次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。
だが、誰も知らなかった。
「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」
「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」
メアリが、追放の準備を整えていたことに。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
貧乏男爵令嬢のシンデレラストーリー
光子
恋愛
私の家は、貧乏な男爵家だった。
ツギハギだらけの服、履き潰した靴、穴の空いた靴下、一日一食しか出ない食事……でも、私は優しい義両親と、笑顔の可愛い義弟に囲まれて、幸せだった。
――――たとえ、家の為に働きに出ている勤め先で、どんな理不尽な目に合おうと、私は家族のために一生懸命働いていた。
貧乏でも、不幸だと思ったことなんて無い。
本当の両親を失い、孤独になった私を引き取ってくれた優しい義両親や義弟に囲まれて、私は幸せ。だけど……ほんの少しだけ、悔しいと……思ってしまった。
見返したい……誰か、助けて欲しい。なんて、思ってしまったの。
まさかその願いが、現実に叶うとは思いもしなかったのに――
いかにも高級で綺麗なドレスは、私だけに作られた一点もの。シンデレラのガラスの靴のような光輝く靴に、身につけるのはどれも希少で珍しい宝石達で作られたアクセサリー。
いつもと違う私の装いを見たご令嬢は、目を丸くして、体を震わせていた。
「な……なんなんですか、その格好は……!どうして、キアナが……貴女なんて、ただの、貧乏男爵令嬢だったのに―――!」
そうですね。以前までの私は、確かに貧乏男爵令嬢でした。
でも、今は違います。
「今日ここに、我が息子フィンと、エメラルド公爵令嬢キアナの婚約を発表する!」
貧乏な男爵令嬢は、エメラルド公爵令嬢、そして、この国の第二王子であるフィン殿下の婚約者になって、貴方達とは住む世界が違ってしまいました。
どうぞ、私には二度と関わらないで下さい。
そして――――罪を認め、心から反省して下さい。
私はこのまま、華麗なシンデレラストーリーを歩んでいきます。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。魔物もいます。魔法も使います。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
傷物令嬢シャルロットは辺境伯様の人質となってスローライフ
悠木真帆
恋愛
侯爵令嬢シャルロット・ラドフォルンは幼いとき王子を庇って右上半身に大やけどを負う。
残ったやけどの痕はシャルロットに暗い影を落とす。
そんなシャルロットにも他国の貴族との婚約が決まり幸せとなるはずだった。
だがーー
月あかりに照らされた婚約者との初めての夜。
やけどの痕を目にした婚約者は顔色を変えて、そのままベッドの上でシャルロットに婚約破棄を申し渡した。
それ以来、屋敷に閉じこもる生活を送っていたシャルロットに父から敵国の人質となることを命じられる。
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
もしもし、王子様が困ってますけど?〜泣き虫な悪役令嬢は強気なヒロインと張り合えないので代わりに王子様が罠を仕掛けます〜
矢口愛留
恋愛
公爵令嬢エミリア・ブラウンは、突然前世の記憶を思い出す。
この世界は前世で読んだ小説の世界で、泣き虫の日本人だった私はエミリアに転生していたのだ。
小説によるとエミリアは悪役令嬢で、婚約者である王太子ラインハルトをヒロインのプリシラに奪われて嫉妬し、悪行の限りを尽くした挙句に断罪される運命なのである。
だが、記憶が蘇ったことで、エミリアは悪役令嬢らしからぬ泣き虫っぷりを発揮し、周囲を翻弄する。
どうしてもヒロインを排斥できないエミリアに代わって、実はエミリアを溺愛していた王子と、その側近がヒロインに罠を仕掛けていく。
それに気づかず小説通りに王子を籠絡しようとするヒロインと、その涙で全てをかき乱してしまう悪役令嬢と、間に挟まれる王子様の学園生活、その意外な結末とは――?
*異世界ものということで、文化や文明度の設定が緩めですがご容赦下さい。
*「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる