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第二章

55話

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 デビルイン城での編成替えをしてから一ケ月、ようやく戦闘侍女隊も以前に近い狩りの成果が得られるようになりました。
 全く同じという訳にはいけませんが、デビル魔境内で上手く馬を操れるようになり、魔獣を追いこめるようになってきたのです。
 それと、薬草や薬木の見分けが早くなったのです。

 続々と新たな見習侍女が送られてきます。
 戦闘侍女もいますが、普通の侍女も多いです。
 普通の侍女といっても、何かあった場合は自衛くらいはできるように、多少の武芸は学んでいますし、何より私がケガをした場合に治療ができるように、回復薬や解毒薬の調合ができる事が条件です。
 ただ側にいて、着替えの手伝いや食事の世話ができるだけでは駄目なのです。

 ですがそのような事は些細な事です。
 もっとも大きな変化は、ムク達の事です。
 徐々に強くなったムク達は、単に魔獣を狩るだけではなく、私が絆を結べる新たな魔獣を追い込んで来てくれたのです。
 相手を殺すことなく追い込むために、弱くて数の少ない群れを選んで、四回に分けて追い込んでくれました。

 デビル魔境内の魔犬は一種なのか、それとも今のムク達が殺し合う事なく群れに迎えられるのが彼らだけなのか、魔犴と呼ばれる魔犬だけでした。
 魔犴は体長一〇〇センチ前後で体重二〇キロ前後。
 毛色は背面が赤橙色、尻尾が黒、喉と胸部と腹部と腹面が白、でも前胸部に特徴的な暗色の横帯が二本入っています。
 最終的に二〇頭の魔犴と新たに絆を結ぶ事ができました。

 ですがそれが直ぐに戦力増にはつながりませんでした。
 先に絆を結んでいた魔豺の雌と銀狼の雌が、次々と出産したのです。
 それも二〇頭がそれぞれ五頭前後の子供を産んでくれたのです。
 純粋に二〇頭が戦線を離れて、二〇頭の戦力が加わりました。
 でも先々がとても楽しみです。
 一年後二年後には、一〇〇頭の戦力が新たに加わるのです。
 とてもとても楽しみです!

 それと、コックスが新たに魔犴二頭と絆を結びました。
 ムクが集めてきた魔犴の群れから二頭を切り離し、コックスに絆を結ぶように勧めたのです。
 正確には、ムクは人間の言葉を話せませんし、すでにコックスとの絆はなくなっていますから、私に伝えてきたのです。
 最初はムクが私と絆を結んだ代償に、コックスが新たな魔獣と絆を結べるように、集めてきた魔犴を分けたのだと思いました。

 ですが直ぐに別の理由が分かりました。
 代償と言うのも含まれているのかもしれませんが、多くの人が見てよく分かるのは、コックスの魔犬二頭が妊娠出産したのです。
 魔犬の育児期間は、コックスも戦力にならなくなります。
 それを防ぐために、雄魔犴二頭をコックスに分け与えたのでしょう。

 まあ、それもムクの責任ではあります。
 絶対とは言えませんが、でもまず間違いないと思います。
 コックスの魔犬を妊娠出産させたのはムクです。
 子魔犬の多くが特徴的な巻き毛なのです。
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