25 / 43
第1章
第25話:カキフライ、エビフライ、イカフライ……
しおりを挟む
1年目の夏
「かぁあああああ、うまい、美味すぎる!」
エンシェントドワーフのヴァルタルが我を忘れて叫んでいる。
「こんな料理法は知りませんでした!
1000年生きて、世界中を渡り歩きましたが、生まれて初めてです!
料理法だけではありません、このソースは何ですか?!
甘くて、酸っぱくて、まろやかで、旨味たっぷりで美味しい!」
料理妖精のシェイマシーナが大絶賛してくれる。
カキフライを揚げる前に、タルタルソースを教えた。
最初は卵をほぼ生で使うので嫌がっていた。
だが俺が真剣に説明したのと、ジャンヌが浄化魔術を使ったので納得してくれた。
シェイマシーナは酢が食べ物を腐り難くするのも経験的に知っていた。
それでも、最初はほんの少ししかつけていなかったのだが……
「美味しいです、もの凄く美味しいです、覚えます、必ず覚えます」
シェイマシーナはそう言いながら、てんこ盛りのタルタルソースをかけたエビフライをほおばっている。
「本当に美味しいな、肉も魚も好きじゃないのに、これは美味しく食べられる!」
サ・リも美味しそうに各種フライを食べている。
カキフライをタルタルソースと一緒に料理妖精に教えるなら、他も教えようとエビもイカもアジもイワシもサーモンも揚げて試食させてみた。
「本当に美味しいですわ。
私はサーモンのフライをタルタルソースで食べるのが好きですわ」
「信じられん、儂が、エンシェントドワーフの儂が、酒精の弱いエールの方が美味しいと思うなんて、幻でも見ているのか?!」
熱々のカキフライを食べた後でエールを飲む美味しさに、ヴァルタルばぼうぜんとつぶやいているが、止めを刺してやろう。
「ヴァルタル、魔術でラガーを冷やせるか?」
「あ、え、冷やす、ラガーを、できるが……」
「冷やしてから飲むんだ、熱々のカキフライを食べた後で飲むんだ」
俺は揚げたて熱々のカキフライをヴァルタルの皿に入れてやった。
「うぉおおおお、うまい、とんでもなく美味い!
フライの油が一瞬でなくなって、またカキフライの味が引き立つ。
そのカキフライの美味さと油がエールをひきたてる、無限ループだ!」
ヴァルタルが料理コメントを口にしている。
給仕役の妖精がヴァルタルのコメントを聞いてラガーを冷やしてだしている。
それを試食試飲役の妖精と金猿獣人族が食べている。
「エビや魚だけだと、長く美味しく食べられないだろう。
野菜と果物もフライにしてやる。
タルタルソースだけでなく塩やソースで食べてみろ」
俺はこの日のためにウスターソースととんかつソースも醸造していた。
肉や魚がそれほど好きではない者のために、野菜と果物も仕込んである。
「これはナスのフライ、こっちはパンプキンのフライ、ゴーヤは好きだったよな?
これがゴーヤのフライでこっちがオクラのフライ。
蒸したジャガイモを潰して固めて揚げたのがコロッケだ」
「ナスがトロトロになっていて美味しい!」
「パンプキンが、普通に焼くよりも煮るよりも甘く美味しくなっている!」
「ゴーヤの苦味が無くなっている?!」
「オクラフライ大好き、マヨネーズにつけて食べるのが好き!
「すっご~い、ジャガイモ揚げたの美味しい、とんかつソース最高!」
金猿獣人族が大さわぎしている。
普通に焼いたり蒸したり煮たりするよりも美味しくなっているのだろう。
これまでの料理も美味しいが、生まれて初めての味が衝撃だったのだな。
「「「「「わん、わん、わん、わん、わん」」」」」
「分かっている、分かっている、分かっているぞ。
お前たちの事を忘れる訳ないじゃないか」
キンモウコウたちがお代わりを求めている。
俺が想像していたよりも食べるのが早くて揚げるのが追いつかない。
これまで試食試飲役だった妖精が料理役と給仕役に加わった。
料理役と給仕役が試食試飲役になるかと思ったら、料理役と給仕役を続けている。
彼女らには後でゆっくり食べてもらおう。
「キンモウコウ、これが豚を揚げたとんかつだぞ、甘いとんかつソースをかけてな。
こっちが牛を揚げた牛かつで、こっちが鶏を揚げたチキンカツな」
「豚、牛、鶏、どれもとんでもなく美味しくなっています!」
俺が揚げた物を全部試食しているシェイマシーナが食べる度に驚いている。
そんなに食べて苦しくないのか?
もう妖精族の小さな身体の体積を超えていると思うのだが?
「豚、牛、鶏でも部位によって味が全く違う。
ロース、ヘレ、薄切り肉を重ねたミルフィーユ、それぞれの美味しさがある」
「本当です、どれも美味しい、いくらでも食べられます!」
「肩ロースやバラも美味しいが、下ごしらえに手間と時間がかかる。
どうせ手間と時間をかけるのなら、他の料理にした方が良い。
というのは料理屋やいそがしい者の考えだ。
手間と時間をかけてでも美味しい物を作りたい者は、やってみるといい」
「はい、試作を重ねて村長以上の美味しい料理を作って見せます!」
「鶏の場合はモモとムネが多いけど、手羽中も手羽元もどくとくの美味しさがある。
首の肉を1本にして揚げても美味い。
キモやスナギモをフライしても美味しい。
何なら丸のまま姿揚げにしてもいいし、半身にして揚げてもいい」
「「「「「わん、わん、わん」」」」」
キンモウコウが姿揚げにかぶりつきたいといっている。
「よし、よし、よし、直ぐに揚げてやるからな」
「かぁあああああ、うまい、美味すぎる!」
エンシェントドワーフのヴァルタルが我を忘れて叫んでいる。
「こんな料理法は知りませんでした!
1000年生きて、世界中を渡り歩きましたが、生まれて初めてです!
料理法だけではありません、このソースは何ですか?!
甘くて、酸っぱくて、まろやかで、旨味たっぷりで美味しい!」
料理妖精のシェイマシーナが大絶賛してくれる。
カキフライを揚げる前に、タルタルソースを教えた。
最初は卵をほぼ生で使うので嫌がっていた。
だが俺が真剣に説明したのと、ジャンヌが浄化魔術を使ったので納得してくれた。
シェイマシーナは酢が食べ物を腐り難くするのも経験的に知っていた。
それでも、最初はほんの少ししかつけていなかったのだが……
「美味しいです、もの凄く美味しいです、覚えます、必ず覚えます」
シェイマシーナはそう言いながら、てんこ盛りのタルタルソースをかけたエビフライをほおばっている。
「本当に美味しいな、肉も魚も好きじゃないのに、これは美味しく食べられる!」
サ・リも美味しそうに各種フライを食べている。
カキフライをタルタルソースと一緒に料理妖精に教えるなら、他も教えようとエビもイカもアジもイワシもサーモンも揚げて試食させてみた。
「本当に美味しいですわ。
私はサーモンのフライをタルタルソースで食べるのが好きですわ」
「信じられん、儂が、エンシェントドワーフの儂が、酒精の弱いエールの方が美味しいと思うなんて、幻でも見ているのか?!」
熱々のカキフライを食べた後でエールを飲む美味しさに、ヴァルタルばぼうぜんとつぶやいているが、止めを刺してやろう。
「ヴァルタル、魔術でラガーを冷やせるか?」
「あ、え、冷やす、ラガーを、できるが……」
「冷やしてから飲むんだ、熱々のカキフライを食べた後で飲むんだ」
俺は揚げたて熱々のカキフライをヴァルタルの皿に入れてやった。
「うぉおおおお、うまい、とんでもなく美味い!
フライの油が一瞬でなくなって、またカキフライの味が引き立つ。
そのカキフライの美味さと油がエールをひきたてる、無限ループだ!」
ヴァルタルが料理コメントを口にしている。
給仕役の妖精がヴァルタルのコメントを聞いてラガーを冷やしてだしている。
それを試食試飲役の妖精と金猿獣人族が食べている。
「エビや魚だけだと、長く美味しく食べられないだろう。
野菜と果物もフライにしてやる。
タルタルソースだけでなく塩やソースで食べてみろ」
俺はこの日のためにウスターソースととんかつソースも醸造していた。
肉や魚がそれほど好きではない者のために、野菜と果物も仕込んである。
「これはナスのフライ、こっちはパンプキンのフライ、ゴーヤは好きだったよな?
これがゴーヤのフライでこっちがオクラのフライ。
蒸したジャガイモを潰して固めて揚げたのがコロッケだ」
「ナスがトロトロになっていて美味しい!」
「パンプキンが、普通に焼くよりも煮るよりも甘く美味しくなっている!」
「ゴーヤの苦味が無くなっている?!」
「オクラフライ大好き、マヨネーズにつけて食べるのが好き!
「すっご~い、ジャガイモ揚げたの美味しい、とんかつソース最高!」
金猿獣人族が大さわぎしている。
普通に焼いたり蒸したり煮たりするよりも美味しくなっているのだろう。
これまでの料理も美味しいが、生まれて初めての味が衝撃だったのだな。
「「「「「わん、わん、わん、わん、わん」」」」」
「分かっている、分かっている、分かっているぞ。
お前たちの事を忘れる訳ないじゃないか」
キンモウコウたちがお代わりを求めている。
俺が想像していたよりも食べるのが早くて揚げるのが追いつかない。
これまで試食試飲役だった妖精が料理役と給仕役に加わった。
料理役と給仕役が試食試飲役になるかと思ったら、料理役と給仕役を続けている。
彼女らには後でゆっくり食べてもらおう。
「キンモウコウ、これが豚を揚げたとんかつだぞ、甘いとんかつソースをかけてな。
こっちが牛を揚げた牛かつで、こっちが鶏を揚げたチキンカツな」
「豚、牛、鶏、どれもとんでもなく美味しくなっています!」
俺が揚げた物を全部試食しているシェイマシーナが食べる度に驚いている。
そんなに食べて苦しくないのか?
もう妖精族の小さな身体の体積を超えていると思うのだが?
「豚、牛、鶏でも部位によって味が全く違う。
ロース、ヘレ、薄切り肉を重ねたミルフィーユ、それぞれの美味しさがある」
「本当です、どれも美味しい、いくらでも食べられます!」
「肩ロースやバラも美味しいが、下ごしらえに手間と時間がかかる。
どうせ手間と時間をかけるのなら、他の料理にした方が良い。
というのは料理屋やいそがしい者の考えだ。
手間と時間をかけてでも美味しい物を作りたい者は、やってみるといい」
「はい、試作を重ねて村長以上の美味しい料理を作って見せます!」
「鶏の場合はモモとムネが多いけど、手羽中も手羽元もどくとくの美味しさがある。
首の肉を1本にして揚げても美味い。
キモやスナギモをフライしても美味しい。
何なら丸のまま姿揚げにしてもいいし、半身にして揚げてもいい」
「「「「「わん、わん、わん」」」」」
キンモウコウが姿揚げにかぶりつきたいといっている。
「よし、よし、よし、直ぐに揚げてやるからな」
35
お気に入りに追加
199
あなたにおすすめの小説
【R18】翡翠の鎖
環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。
※R18描写あり→*
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
【完結】悪役令嬢を期待されたので完璧にやり遂げます!
櫻野くるみ
恋愛
公爵令嬢のマリアンヌには第一王子ジャルダンという婚約者がいた。
しかし、ジャルダンは男爵令嬢のロザリーこそが運命の相手だと豪語し、人目も憚らずに学園でイチャイチャしている。
ジャルダンのことなど好きではないマリアンヌにとってはどうでもいいことだったが、怒った父の公爵が婚約破棄の準備を進める中、マリアンヌは自分の噂話の現場に出くわしてしまう。
思わず聞き耳を立てると、最初はジャルダンとロザリーの非常識な振舞いに腹を立てているありきたりな内容は、次第にマリアンヌが悪役令嬢となってロザリーにお灸をすえて欲しいという要望に変わっていき――
公爵令嬢として周囲の期待に応えることをモットーとして生きてきたマリアンヌは、完璧な悪役令嬢となってロザリーに嫌がらせを行うことを決意する。
人並み外れた脚力と腕力を活かしてヒロインに嫌がらせを行い、自分のアリバイをばっちり作って断罪返しをする悪役令嬢……を期待された公爵令嬢のお話です。
ゆるい短編なので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
完結しました。
壁の花令嬢の最高の結婚
晴 菜葉
恋愛
壁の花とは、舞踏会で誰にも声を掛けてもらえず壁に立っている適齢期の女性を示す。
社交デビューして五年、一向に声を掛けられないヴィンセント伯爵の実妹であるアメリアは、兄ハリー・レノワーズの悪友であるブランシェット子爵エデュアルト・パウエルの心ない言葉に傷ついていた。
ある日、アメリアに縁談話がくる。相手は三十歳上の財産家で、妻に暴力を働いてこれまでに三回離縁を繰り返していると噂の男だった。
アメリアは自棄になって家出を決行する。
行く当てもなく彷徨いていると、たまたま賭博場に行く途中のエデュアルトに出会した。
そんなとき、彼が暴漢に襲われてしまう。
助けたアメリアは、背中に消えない傷を負ってしまった。
乙女に一生の傷を背負わせてしまったエデュアルトは、心底反省しているようだ。
「俺が出来ることなら何だってする」
そこでアメリアは考える。
暴力を振るう亭主より、女にだらしない放蕩者の方がずっとマシ。
「では、私と契約結婚してください」
R18には※をしています。
西谷夫妻の新婚事情~元教え子は元担任教師に溺愛される~
雪宮凛
恋愛
結婚し、西谷明人の姓を名乗り始めて三か月。舞香は今日も、新妻としての役目を果たそうと必死になる。
元高校の担任教師×元不良女子高生の、とある新婚生活の一幕。
※ムーンライトノベルズ様にも、同じ作品を転載しています。
独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~
さとう
ファンタジー
町の電気工事士であり、なんでも屋でもある織田玄徳は、仕事をそこそこやりつつ自由な暮らしをしていた。
結婚は人生の墓場……父親が嫁さんで苦労しているのを見て育ったため、結婚して子供を作り幸せな家庭を作るという『呪いの言葉』を嫌悪し、生涯独身、自分だけのために稼いだ金を使うと決め、独身生活を満喫。趣味の釣り、バイク、キャンプなどを楽しみつつ、人生を謳歌していた。
そんなある日。電気工事の仕事で感電死……まだまだやりたいことがあったのにと嘆くと、なんと異世界転生していた!!
これは、異世界で工務店の仕事をしながら、異世界で独身生活を満喫するおじさんの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる