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2章
43話王太子視点
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「そう焦るな、レナード。
万が一負けたら、それこそヴィヴィアンをドルイガに奪われるぞ。
お前の愛は、ヴィヴィアンがドルイガに抱かれたらなくなるようなちんけなモノなのか⁈」
「違う!
例えヴィヴィが家族のためにドルイガに身を任せようとも、俺の愛は変わらない!
クリスチャンと婚約していた時だって、ずっとヴィヴィを愛していた。
ヴィヴィさえ幸せになってくれたなら、俺はそれでいいんだ。
その事は殿下も知っているはずだぞ!」
「だったらそう焦るな。
もっと落ち着いて連携を図れ。
ヴィヴィアンが誇りを捨てて決断してくれたから、時間はある。
時間はあるが、できればヴィヴィアンの名誉を守りたいのは余も同じだ。
だがら時間を無駄にせず、しっかりと連携を覚えるんだ」
やれ、やれ。
この状態ではとてもではないがドルイガを追う事はできない。
レナードの焦りは我々の敗北に直結する。
我々の敗北は、帝国の滅亡につながりかねない。
陛下や愚弟達は理解していないようだが、これは単なる番いの問題ではないのだ。
皇国にあって独立色の強いミースロッド公爵家が、帝国の獣人貴族を全て懐柔して、帝国一の大富豪貴族と婚姻を結ぶのだ。
これだけでも帝国と皇国の戦力国力に、危険なほどの差を生んでしまう。
さらに帝国一の忠勇の猛将が戦死してしまったら、もう帝国の凋落は誰の目にも明らかだろう。
その時になって慌てても遅すぎるのだ。
まあ、余がレナードを見殺しになどできないから、レナードが死ぬときは余の死ぬ時でもある。
だからその時には、王位継承権争いと言うか、王太子争奪の内戦も同時に勃発するから、間違いなく帝国が滅び、皇国による大陸統一が成し遂げられるだろう。
いや、ドルイガかミースロッド公爵が帝国を滅ぼし、帝王を名乗る可能性もある。
「すまん。
もっと真剣に集中してやる。
だからもう一度最初から頼む」
「分かったらいい。
いいか皆、お前達なら分かっているだろうが、この戦いが帝国の滅亡に繋がる天下分け目の一戦なのだ。
その勇者に選抜された栄誉を忘れず、個人の武勇や名誉に拘らず、どのような誹りを受ける事になろうと、必ずドルイガを仕留めるのだ」
「「「「「おう!」」」」」
これでドルイガを斃したとしても、余の名誉は地に落ちるだろう。
だが仕方がない。
だがここまでやって、愚弟や奸臣に陰口を叩かれるのは業腹だな。
あいつらに罠を仕掛けて、ドルイガ達に始末さえる事はできないだろうか?
陛下が余の思惑通りに上手く踊ってくれればいいのだが、中途半端に賢い所があるから難しい。
さてどうしたものだろう?
万が一負けたら、それこそヴィヴィアンをドルイガに奪われるぞ。
お前の愛は、ヴィヴィアンがドルイガに抱かれたらなくなるようなちんけなモノなのか⁈」
「違う!
例えヴィヴィが家族のためにドルイガに身を任せようとも、俺の愛は変わらない!
クリスチャンと婚約していた時だって、ずっとヴィヴィを愛していた。
ヴィヴィさえ幸せになってくれたなら、俺はそれでいいんだ。
その事は殿下も知っているはずだぞ!」
「だったらそう焦るな。
もっと落ち着いて連携を図れ。
ヴィヴィアンが誇りを捨てて決断してくれたから、時間はある。
時間はあるが、できればヴィヴィアンの名誉を守りたいのは余も同じだ。
だがら時間を無駄にせず、しっかりと連携を覚えるんだ」
やれ、やれ。
この状態ではとてもではないがドルイガを追う事はできない。
レナードの焦りは我々の敗北に直結する。
我々の敗北は、帝国の滅亡につながりかねない。
陛下や愚弟達は理解していないようだが、これは単なる番いの問題ではないのだ。
皇国にあって独立色の強いミースロッド公爵家が、帝国の獣人貴族を全て懐柔して、帝国一の大富豪貴族と婚姻を結ぶのだ。
これだけでも帝国と皇国の戦力国力に、危険なほどの差を生んでしまう。
さらに帝国一の忠勇の猛将が戦死してしまったら、もう帝国の凋落は誰の目にも明らかだろう。
その時になって慌てても遅すぎるのだ。
まあ、余がレナードを見殺しになどできないから、レナードが死ぬときは余の死ぬ時でもある。
だからその時には、王位継承権争いと言うか、王太子争奪の内戦も同時に勃発するから、間違いなく帝国が滅び、皇国による大陸統一が成し遂げられるだろう。
いや、ドルイガかミースロッド公爵が帝国を滅ぼし、帝王を名乗る可能性もある。
「すまん。
もっと真剣に集中してやる。
だからもう一度最初から頼む」
「分かったらいい。
いいか皆、お前達なら分かっているだろうが、この戦いが帝国の滅亡に繋がる天下分け目の一戦なのだ。
その勇者に選抜された栄誉を忘れず、個人の武勇や名誉に拘らず、どのような誹りを受ける事になろうと、必ずドルイガを仕留めるのだ」
「「「「「おう!」」」」」
これでドルイガを斃したとしても、余の名誉は地に落ちるだろう。
だが仕方がない。
だがここまでやって、愚弟や奸臣に陰口を叩かれるのは業腹だな。
あいつらに罠を仕掛けて、ドルイガ達に始末さえる事はできないだろうか?
陛下が余の思惑通りに上手く踊ってくれればいいのだが、中途半端に賢い所があるから難しい。
さてどうしたものだろう?
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