34 / 47
第一章
第34話:距離感・エレノア視点
しおりを挟む
「エレノア嬢、お姉さんがエレノア嬢の事を誤解しなくなったのは分かるね。
屋敷にいた時よりもお姉さんがよく笑うようになっているのも分かるね。
それは全部心許せる友達ができたお陰なんだよ。
エレノア嬢がその友達を遠ざけてしまったら、また以前のお姉さんに戻ってしまうよ、それでもいいのかい、嫌だろ、だったらもう友達を睨むのはやめなさい」
悔しい事ですが、ロイド殿の言う通りなのでしょう。
私がお姉様を独り占めしようとしたら、また元のお姉様に戻ってしまう。
お姉様との関係が以前のようになってしまうのだけは絶対に嫌です。
この幸せを手放すくらいなら、お邪魔虫を睨むのを止めた方がマシです。
無理矢理にでも笑みを浮かべて、お姉様の友達を迎えないといけません。
「なにも別に無理に笑えとは言わないよ。
やろうと思ってもできないだろうからね。
そうではなくて、お姉さんを護る準備をしていればいいんだよ。
ずっとお姉さんを護ってきたイザベルに話を聞いて、どの位置に立って何をすればいいか教えてもらうんだ」
ロイド殿は本当に役に立つことを教えてくれます。
黙って邪魔にならないようにするのではなく、学院内でもお姉様を護る。
これは全く思いつきませんでした。
学院外で狩りをする時は魔獣が相手ですから、お姉様を護らなければいけないと思っていましたが、言われてみれば魔境以外でもお姉様を護るのは当然ですね。
それもただ自分だけで護るのではなく、イザベルと連携をする。
ずっとお姉様を護ってきたイザベルからは教わることがあるのでしょう。
「分かりました、エレノアお嬢様。
では防御魔術の発動準備をしておいてくださいますか。
とっさの時に防御をしていただければ、私が敵を攻撃できます。
私は女準男爵地位をいただきましたが、相手が王侯貴族だとフローラお嬢様の前に出ることができず、正面の敵が相手ではどうしても一歩遅れてしまいます。
私では挨拶に来た貴族の前に出て盾になることができません。
ですが公爵令嬢であるエレノアお嬢様ならば、相手が王族でない限りフローラお嬢様の前に出て盾になることができます」
なるほど、よく分かりました。
確かにその心配がありますね。
イザベルではどうしても身分による作法が邪魔をしてしまいます。
でも王族が相手の場合は私でも遠慮しなければいけないのは困りますね。
世の中にはウィリアム王太子やチャールズ国王のような馬鹿がいますからね。
何か方法がないか後でロイド君に聞いてみましょう。
「分かりました、イザベル。
私が常にお姉様の前に出て防御魔術を発動するようにしましょう。
信用できるお姉様の友人はどう見分ければいいのですか。
ロイド殿からはお姉様の交友を邪魔しないように言われているのです」
「それは私にお任せください。
フローラお嬢様が心を許している学友は全員平民です。
私が前に出て遮っても問題ありません。
私が前に出た時はエレノアお嬢様は後ろに下がってください。
その学友の顔を見ずに身体全体を見て、手足に不審な動きがないか見てください。
顔を見なければ睨まれているとは思わないでしょう
ただ学友の方が何者かに操られている可能性もございます。
油断する事無く防御魔術の発動準備をしていてください」
「わかりました、そのようにしましょう」
屋敷にいた時よりもお姉さんがよく笑うようになっているのも分かるね。
それは全部心許せる友達ができたお陰なんだよ。
エレノア嬢がその友達を遠ざけてしまったら、また以前のお姉さんに戻ってしまうよ、それでもいいのかい、嫌だろ、だったらもう友達を睨むのはやめなさい」
悔しい事ですが、ロイド殿の言う通りなのでしょう。
私がお姉様を独り占めしようとしたら、また元のお姉様に戻ってしまう。
お姉様との関係が以前のようになってしまうのだけは絶対に嫌です。
この幸せを手放すくらいなら、お邪魔虫を睨むのを止めた方がマシです。
無理矢理にでも笑みを浮かべて、お姉様の友達を迎えないといけません。
「なにも別に無理に笑えとは言わないよ。
やろうと思ってもできないだろうからね。
そうではなくて、お姉さんを護る準備をしていればいいんだよ。
ずっとお姉さんを護ってきたイザベルに話を聞いて、どの位置に立って何をすればいいか教えてもらうんだ」
ロイド殿は本当に役に立つことを教えてくれます。
黙って邪魔にならないようにするのではなく、学院内でもお姉様を護る。
これは全く思いつきませんでした。
学院外で狩りをする時は魔獣が相手ですから、お姉様を護らなければいけないと思っていましたが、言われてみれば魔境以外でもお姉様を護るのは当然ですね。
それもただ自分だけで護るのではなく、イザベルと連携をする。
ずっとお姉様を護ってきたイザベルからは教わることがあるのでしょう。
「分かりました、エレノアお嬢様。
では防御魔術の発動準備をしておいてくださいますか。
とっさの時に防御をしていただければ、私が敵を攻撃できます。
私は女準男爵地位をいただきましたが、相手が王侯貴族だとフローラお嬢様の前に出ることができず、正面の敵が相手ではどうしても一歩遅れてしまいます。
私では挨拶に来た貴族の前に出て盾になることができません。
ですが公爵令嬢であるエレノアお嬢様ならば、相手が王族でない限りフローラお嬢様の前に出て盾になることができます」
なるほど、よく分かりました。
確かにその心配がありますね。
イザベルではどうしても身分による作法が邪魔をしてしまいます。
でも王族が相手の場合は私でも遠慮しなければいけないのは困りますね。
世の中にはウィリアム王太子やチャールズ国王のような馬鹿がいますからね。
何か方法がないか後でロイド君に聞いてみましょう。
「分かりました、イザベル。
私が常にお姉様の前に出て防御魔術を発動するようにしましょう。
信用できるお姉様の友人はどう見分ければいいのですか。
ロイド殿からはお姉様の交友を邪魔しないように言われているのです」
「それは私にお任せください。
フローラお嬢様が心を許している学友は全員平民です。
私が前に出て遮っても問題ありません。
私が前に出た時はエレノアお嬢様は後ろに下がってください。
その学友の顔を見ずに身体全体を見て、手足に不審な動きがないか見てください。
顔を見なければ睨まれているとは思わないでしょう
ただ学友の方が何者かに操られている可能性もございます。
油断する事無く防御魔術の発動準備をしていてください」
「わかりました、そのようにしましょう」
23
お気に入りに追加
2,394
あなたにおすすめの小説
ハイパー王太子殿下の隣はツライよ! ~突然の婚約解消~
緑谷めい
恋愛
私は公爵令嬢ナタリー・ランシス。17歳。
4歳年上の婚約者アルベルト王太子殿下は、超優秀で超絶イケメン!
一応美人の私だけれど、ハイパー王太子殿下の隣はツライものがある。
あれれ、おかしいぞ? ついに自分がゴミに思えてきましたわ!?
王太子殿下の弟、第2王子のロベルト殿下と私は、仲の良い幼馴染。
そのロベルト様の婚約者である隣国のエリーゼ王女と、私の婚約者のアルベルト王太子殿下が、結婚することになった!? よって、私と王太子殿下は、婚約解消してお別れ!? えっ!? 決定ですか? はっ? 一体どういうこと!?
* ハッピーエンドです。
完)嫁いだつもりでしたがメイドに間違われています
オリハルコン陸
恋愛
嫁いだはずなのに、格好のせいか本気でメイドと勘違いされた貧乏令嬢。そのままうっかりメイドとして馴染んで、その生活を楽しみ始めてしまいます。
◇◇◇◇◇◇◇
「オマケのようでオマケじゃない〜」では、本編の小話や後日談というかたちでまだ語られてない部分を補完しています。
14回恋愛大賞奨励賞受賞しました!
これも読んでくださったり投票してくださった皆様のおかげです。
ありがとうございました!
ざっくりと見直し終わりました。完璧じゃないけど、とりあえずこれで。
この後本格的に手直し予定。(多分時間がかかります)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜
湊未来
恋愛
王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。
二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。
そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。
王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。
『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』
1年後……
王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。
『王妃の間には恋のキューピッドがいる』
王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。
「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」
「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」
……あら?
この筆跡、陛下のものではなくって?
まさかね……
一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……
お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。
愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
私のことが大嫌いらしい婚約者に婚約破棄を告げてみた結果。
夢風 月
恋愛
カルディア王国公爵家令嬢シャルロットには7歳の時から婚約者がいたが、何故かその相手である第二王子から酷く嫌われていた。
顔を合わせれば睨まれ、嫌味を言われ、周囲の貴族達からは哀れみの目を向けられる日々。
我慢の限界を迎えたシャルロットは、両親と国王を脅……説得して、自分たちの婚約を解消させた。
そしてパーティーにて、いつものように冷たい態度をとる婚約者にこう言い放つ。
「私と殿下の婚約は解消されました。今までありがとうございました!」
そうして笑顔でパーティー会場を後にしたシャルロットだったが……次の日から何故か婚約を解消したはずのキースが家に押しかけてくるようになった。
「なんで今更元婚約者の私に会いに来るんですか!?」
「……好きだからだ」
「……はい?」
いろんな意味でたくましい公爵令嬢と、不器用すぎる王子との恋物語──。
※タグをよくご確認ください※
あなたに嘘を一つ、つきました
小蝶
恋愛
ユカリナは夫ディランと政略結婚して5年がたつ。まだまだ戦乱の世にあるこの国の騎士である夫は、今日も戦地で命をかけて戦っているはずだった。彼が戦地に赴いて3年。まだ戦争は終わっていないが、勝利と言う戦況が見えてきたと噂される頃、夫は帰って来た。隣に可愛らしい女性をつれて。そして私には何も告げぬまま、3日後には結婚式を挙げた。第2夫人となったシェリーを寵愛する夫。だから、私は愛するあなたに嘘を一つ、つきました…
最後の方にしか主人公目線がない迷作となりました。読みづらかったらご指摘ください。今さらどうにもなりませんが、努力します(`・ω・́)ゞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる