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第二章
第50話:盗賊団
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敵の数は354人だ。
盗賊団としては数が多過ぎる。
まあそれも当然だろう。
普通の盗賊ではないのだ。
隣領の貴族が家臣に盗賊のマネをさせてるだけだ。
インゲボー王女は本当にろくな事をしない。
アーベントロート公爵領と隣接する貴族を煽って襲わせようとする。
その結果がこの偽装盗賊団の襲撃だ。
いいかげんぶち殺してやりたくなる。
「ヴェルナー様、領民を避難させなくてもいいのですか」
リヒャルダが領民の事を気にしている。
俺の事を信用していない訳ではなく、常に領民優先と言っている俺の言動と今回の行動が一致していない気がしたのだろう。
「ああ、構わないよ。
これくらいの人数なら一度の魔術でどうとでもできる。
領民に必要もない不安を与える事はないよ」
「分かりました。
ヴェルナー様がそう言われるのなら信じます」
リヒャルダがあっさりと引いてくれた。
俺を信じているが念のために言ってくれたのだろう。
その信用を裏切るわけにはいかない。
いい夫いい父になるために、怠惰な性根を𠮟咤激励して、これからも強い漢を演じ続けなければいけない。
「リヒャルダの信頼を裏切るわけにはいかない。
だから今直ぐ魔術を使うよ」
俺はそう言うと連続で魔術を発動展開させた。
まず最初に主人に従わなければ苦痛を感じる支配の魔術をかけた。
次に同じく主人に忠誠心を持つ忠誠の魔術をかけた。
3つ目は主人のためなら命さえ捨てたくなる魅了の魔術をかけた。
4つ目に主人の命令に従わなければ死ぬ奴隷の魔術をかけた。
主人となった者の命令に従わせるための魔術には基本この4種があるのだが、4つの中にも必要な魔力と術に違いがあって、やる気なら何重もかけることができる。
だが今回はそんな必要はない。
そこまで手間や魔力を使っても意味はない。
どうせこいつらは直ぐに死ぬのだ。
「お前達に命じる、お前達にこの村を襲えと言った者を殺せ。
直接命令した者も裏にいる黒幕も殺せ。
はっきり命じる、ブランケンハイム侯爵とその家族を皆殺しにしろ」
「「「「「はっ」」」」」
さて、これでどうなるだろうか。
細やかな命令などしても直ぐに見破られてしまうだけだ。
だからそんな小細工などせずに襲撃させるのだ。
自分が盗賊に偽装させて隣領を襲わせたはずの家臣たちが、逆に自分を殺そうと襲い掛かってくるのだ。
その恐怖はとてつもない物になるだろう。
殺されてしまったらそれまでだが、生き残ることができたとしても、いつ誰が裏切るか分からなくなるので、もう安心して眠る事もできなくなる。
何より俺がいつ再度の報復攻撃するかと戦々恐々となる。
さて、そうなった時にブランケンハイム侯爵がどう動くか楽しみだ。
盗賊団としては数が多過ぎる。
まあそれも当然だろう。
普通の盗賊ではないのだ。
隣領の貴族が家臣に盗賊のマネをさせてるだけだ。
インゲボー王女は本当にろくな事をしない。
アーベントロート公爵領と隣接する貴族を煽って襲わせようとする。
その結果がこの偽装盗賊団の襲撃だ。
いいかげんぶち殺してやりたくなる。
「ヴェルナー様、領民を避難させなくてもいいのですか」
リヒャルダが領民の事を気にしている。
俺の事を信用していない訳ではなく、常に領民優先と言っている俺の言動と今回の行動が一致していない気がしたのだろう。
「ああ、構わないよ。
これくらいの人数なら一度の魔術でどうとでもできる。
領民に必要もない不安を与える事はないよ」
「分かりました。
ヴェルナー様がそう言われるのなら信じます」
リヒャルダがあっさりと引いてくれた。
俺を信じているが念のために言ってくれたのだろう。
その信用を裏切るわけにはいかない。
いい夫いい父になるために、怠惰な性根を𠮟咤激励して、これからも強い漢を演じ続けなければいけない。
「リヒャルダの信頼を裏切るわけにはいかない。
だから今直ぐ魔術を使うよ」
俺はそう言うと連続で魔術を発動展開させた。
まず最初に主人に従わなければ苦痛を感じる支配の魔術をかけた。
次に同じく主人に忠誠心を持つ忠誠の魔術をかけた。
3つ目は主人のためなら命さえ捨てたくなる魅了の魔術をかけた。
4つ目に主人の命令に従わなければ死ぬ奴隷の魔術をかけた。
主人となった者の命令に従わせるための魔術には基本この4種があるのだが、4つの中にも必要な魔力と術に違いがあって、やる気なら何重もかけることができる。
だが今回はそんな必要はない。
そこまで手間や魔力を使っても意味はない。
どうせこいつらは直ぐに死ぬのだ。
「お前達に命じる、お前達にこの村を襲えと言った者を殺せ。
直接命令した者も裏にいる黒幕も殺せ。
はっきり命じる、ブランケンハイム侯爵とその家族を皆殺しにしろ」
「「「「「はっ」」」」」
さて、これでどうなるだろうか。
細やかな命令などしても直ぐに見破られてしまうだけだ。
だからそんな小細工などせずに襲撃させるのだ。
自分が盗賊に偽装させて隣領を襲わせたはずの家臣たちが、逆に自分を殺そうと襲い掛かってくるのだ。
その恐怖はとてつもない物になるだろう。
殺されてしまったらそれまでだが、生き残ることができたとしても、いつ誰が裏切るか分からなくなるので、もう安心して眠る事もできなくなる。
何より俺がいつ再度の報復攻撃するかと戦々恐々となる。
さて、そうなった時にブランケンハイム侯爵がどう動くか楽しみだ。
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