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第一章
第27話:口論
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「ヴェルナー!
インゲボーの事をそこまで罵って、生きて王城を出られると思っているのか」
「思っていますよ、国王陛下。
陛下はそこまで愚かではないと思っていますから」
「よく言うな、ヴェルナー。
娘の悪口を言われて平気で許せる親など人ではないぞ」
「悪口ではなく事実ですよ、国王陛下。
できの悪い娘のために内戦を引き起こして王家を滅ぼした愚王。
歴史にそう刻まれていいのなら私を殺されるがいい。
可愛い娘に好き勝手にさせて、その結果として娘も息子も自分も殺される。
そのような最期を望まれるのなら私を殺されるがいい」
さて、ここまでは大賢者が計算してくれた通りに動いているが、これからどう動くか少し心配だ。
いや、心配はしていないな。
心配よりは興味があると言った方がいいのかもしれない。
「おのれ、おのれ、おのれ、絶対に許さん。
殺してやる、この場で殺してやる」
ここは黙っていろという事だったな。
「陛下、おやめください」
「何故止める、ビルギッタ。
お前は娘をあれほど悪く言われて平気なのか」
「平気ではありませんが、しかたのない事ですわ。
インゲボーと陛下が行われた事が今の苦境の原因なのは間違いありません。
このままでは国が、王家が危ういのは間違いありません。
陛下は私やザームエルやルーペルトを巻き添えにしたいのですか。
私やザームエルやルーペルトを殺したいのですか。
このままでは本当に私達まで殺されることになるかもしれないのですよ」
予想通りビルギッタ王妃が止めに入った。
今度は第一王子のザームエルが止めに入る予測なのだが、どうなる。
「父王陛下、もういい加減にしてください。
私やルーペルト、母上まで殺すお心算ですか」
「おのれ、お前まで余の事を悪く言うのか」
「悪く言われたと思われるのは、父王陛下自身が悪い事をしていると思っておられるからではありませんか。
もういい加減に自分の間違いを認めてください、父王陛下」
「おのれ、おのれ、おのれ」
本当に大賢者は優秀だな。
一言一句間違うことなく予測通りに進んでいる。
次は第二王子のルーペルトが加わってくる予定なのだが、どうなるかな。
「落ち着いてください、父王陛下。
ですが母上と兄上の申されることが正しいと私も思います。
私もまだ死にたくはありません。
王位に欲がなかったわけではありませんが、今回の件で王位にはとてつもな責任が伴う事がよく分かりました。
王位は順当に兄上が継がれるのが一番ですが、このままでは兄上が王位を継ぐ前に国が滅んでしまい、父王陛下の悪名が歴史に刻まれてしまいますぞ。
本当にそれでいいのですか、父上」
「う~ん!」
インゲボーの事をそこまで罵って、生きて王城を出られると思っているのか」
「思っていますよ、国王陛下。
陛下はそこまで愚かではないと思っていますから」
「よく言うな、ヴェルナー。
娘の悪口を言われて平気で許せる親など人ではないぞ」
「悪口ではなく事実ですよ、国王陛下。
できの悪い娘のために内戦を引き起こして王家を滅ぼした愚王。
歴史にそう刻まれていいのなら私を殺されるがいい。
可愛い娘に好き勝手にさせて、その結果として娘も息子も自分も殺される。
そのような最期を望まれるのなら私を殺されるがいい」
さて、ここまでは大賢者が計算してくれた通りに動いているが、これからどう動くか少し心配だ。
いや、心配はしていないな。
心配よりは興味があると言った方がいいのかもしれない。
「おのれ、おのれ、おのれ、絶対に許さん。
殺してやる、この場で殺してやる」
ここは黙っていろという事だったな。
「陛下、おやめください」
「何故止める、ビルギッタ。
お前は娘をあれほど悪く言われて平気なのか」
「平気ではありませんが、しかたのない事ですわ。
インゲボーと陛下が行われた事が今の苦境の原因なのは間違いありません。
このままでは国が、王家が危ういのは間違いありません。
陛下は私やザームエルやルーペルトを巻き添えにしたいのですか。
私やザームエルやルーペルトを殺したいのですか。
このままでは本当に私達まで殺されることになるかもしれないのですよ」
予想通りビルギッタ王妃が止めに入った。
今度は第一王子のザームエルが止めに入る予測なのだが、どうなる。
「父王陛下、もういい加減にしてください。
私やルーペルト、母上まで殺すお心算ですか」
「おのれ、お前まで余の事を悪く言うのか」
「悪く言われたと思われるのは、父王陛下自身が悪い事をしていると思っておられるからではありませんか。
もういい加減に自分の間違いを認めてください、父王陛下」
「おのれ、おのれ、おのれ」
本当に大賢者は優秀だな。
一言一句間違うことなく予測通りに進んでいる。
次は第二王子のルーペルトが加わってくる予定なのだが、どうなるかな。
「落ち着いてください、父王陛下。
ですが母上と兄上の申されることが正しいと私も思います。
私もまだ死にたくはありません。
王位に欲がなかったわけではありませんが、今回の件で王位にはとてつもな責任が伴う事がよく分かりました。
王位は順当に兄上が継がれるのが一番ですが、このままでは兄上が王位を継ぐ前に国が滅んでしまい、父王陛下の悪名が歴史に刻まれてしまいますぞ。
本当にそれでいいのですか、父上」
「う~ん!」
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