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第1章
第27話:閑話:タリファ王国から大魔境を強行突破の思い出
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ジュンカル大魔境はとても深くて厚くて危険だ。
タリファ王国とアルへシラス王国が海上交易しかできないくらい危険だ。
過去誰も突破した事がないくらい危険な場所だった。
「このまま一気に引き離すぞ!」
「「「「「クルルルルル!」」」」」
タリファ王国から東に向かってジュンカル大魔境に入った。
東西南北で一番危険な場所だが、勝算があるから東側に挑むのだ。
生き残るのに一番必要なのは武力ではなく情報だ。
それを知っているから、転生してからずっと正確な情報を集め続けた。
この世界の常識を知り、結果が出る前提条件である行動原理を調べた。
表向き騎士道精神や武士道精神が優先され、逃げる事を極端に嫌う社会だった。
そうなのだ、魔境に入っても逃げないのだ。
少なくとも貴族は、誰かが見ている場所では逃げられないのだ。
平民は恥などと言わずに逃るのだが、平民には戦うのに有利なスキルがない。
逃げるにしてもジュンカル大魔境を突破するのではなく、元の場所に逃げ戻る。
だが俺は違う、強行突破するために魔獣や竜から逃げるのだ、走り抜けるのだ!
「ブィイイイイイ!」
遠くでイノシシ系の魔獣が縄張りを主張している。
俺の軍竜はとても強いが、だからといって全ての魔獣に勝てる訳じゃない。
あまりにも強大な魔獣が相手だと負ける可能性もある。
「クィイイイイイン!」
「おっと!」
上空から巨大な魔鳥が襲い掛かって来た。
飛竜や魔鳥はとても危険なので常に警戒していた、余裕をもって迎え討てた。
急降下してくるタイミングに合わせて槍を振るい、首を刎ねて絶命させた。
逃亡中でなければ、軍竜達の足を止めて獲物の回収をする。
翼長四メートルを超える魔鳥はけっこう高く買い取ってもらえる。
だが、今は足を止められない、軍竜達の限界が来る前に大魔境を抜けるのだ!
「「「「「クルルルルル!」」」」」
行く手を阻む雑竜を斬り殺し突き殺しひたすら前に進む。
軍竜達は、足を緩めることなく走り続けてくれる。
血の臭いに魔獣や竜が集まるが、それをはるか後方に置いて逃げれば問題ない。
次々と全長一メートルに満たない雑竜が現れる。
ジュンカル大魔境は獣や魔獣よりも竜の方が多い。
竜には人間の役に立つ益竜と人間に害を与える害竜という分け方がある。
それとは別に、役には立たないが、あまり害にもならない竜がいる。
日本で言えば、トカゲやヘビのような大きさの竜だ、それを雑竜と呼ぶ。
五十頭や百頭の群れに襲われたら危険だが、数頭なら襲ってきても死傷しない。
そんな小さな竜が無数にいるのがジュンカル大魔境だ。
餌になる雑竜が無数にいるから、多くの魔獣や竜が生きていけるのだ。
軍竜達は勢いよく駆けながら雑竜を喰らう。
止まって食事する時間も余裕もないから、駆けながら獲物を狩り喰らう。
俺も携帯食の干肉を頬張り水を飲みながら軍竜の背に乗り続ける。
「クッホ、クッホ、クッホ」
左に強大なクマ系の魔獣が現れた。
長い首と長い尻尾を入れたら全長九メートルに達する軍竜達よりも大きい。
クマの身体で全長十メートルを超えているのだから、とても勝ち目がない。
俺も含めて七対一だから勝てると思うのは甘過ぎる考えだ。
次に勝てるように今は逃げる、逃げる覚悟がない者は早死にする。
「右だ」
軍竜が俺の指示に従ってクマ系魔獣から逃げる。
野生の竜なら俺が指示する前に逃げているだろう。
野生の竜は縄張り争いや雌の奪い合い以外では戦わない。
生きるために喰う事、子孫を残す事、それ以外では戦わない。
勝てるかもしれない相手とは戦うが、絶対に勝てない相手とは戦いわない。
恥も外聞もなく、生き残るために全力で逃げる、それが野生だ。
人に調教された優秀な軍竜は敵が強くても逃げない。
負けて喰われると分かっていても勇敢に立ち向かってくれる。
だからこそ日本円で三十億もの高値がつく。
「ガックルルルルル!」
今度は右から十二メートルはある野生の竜が現れた!
所々に羽が生えているタイプの竜で、とても足が速い!
スタミナもあって今の俺たちでは逃げきれそうにない。
「左だ!」
手綱で操って左に軌道修正する。
クマ系魔獣は後方に置き去りしているから、遭遇戦にはならない。
が、このままでは足の速い竜に追いつかれてしまう!
「クィイイイイイン!」
さっきよりも一回り大きな魔鳥が急降下してきた。
強い軍竜達ではなく、背に乗る弱い人間を狙ってくる。
だが、俺は弱くて無力な人間ではなく、大魔境の狩人だ!
槍を縦横無尽に振るって魔鳥を叩き落とす。
追いかけてくる害竜の前を塞ぐように叩き落す。
「ガックルルルルル!」
執拗に追いかけて来ていた害竜の足が止まる。
このまま俺達を狙うよりも、俺が落とした魔鳥を喰らう方を選んだようだ。
限界を超える速さで駆けさせていた軍竜達の手綱を、ほんの僅かに絞る。
これだけで脚を緩めても良いと言う合図になる。
軍竜達にひと息入れさせる、次に何かあった時に再び全力をだせるようにする。
「ガックルルルルル!」
ほんの少し休めただけだった。
また害竜が現れたが、さっきの竜よりも一回り大きい。
また所々羽が生えているタイプで、足が速くてとても逃げ切れそうにない。
^「頼んだぞ!」
俺は軍竜に命を預ける覚悟をする。
軍竜達はまだ十分に休めていないから、全力で駆けさせても大して走れない。
だから足を緩めたままにして少しでも回復させるが、駆ける順番を変える。
俺が騎乗する雄の軍竜が先頭を駆けていたが、最後尾に入れ変えた。
俺の身体を囮にして竜に狙わせるのだ。
毛が生えていなくて、皮膚も薄くて柔らかい人間は、竜や魔獣の御馳走だ。
追いかけている害竜も、簡単に軍竜を食べられるとは思っていない。
軍竜の背に乗っている俺を狙って追いかけているのだ!
それでなくても軍竜達よりも害竜の方が脚が速いのだ。
まして軍竜達の足を緩めている、害竜が急速に追いついて来た。
追いついて来た害竜が首を引き絞って、一気に俺を喰らおうとする。
前を向いていても気配で分かる、分かるように訓練して実戦も繰り返してきた。
振り向きざま引き絞った矢を放つ!
基本この世界の弓は、西洋やモンゴルの騎兵弓と同じ短くて強力な合成弓を使う。
木製の材料に動物の骨や腱、角、鉄や銅の金属板を張り合わせた合成弓を使う。
木や竹のような単一な素材で作った、弓幹が長大な弓は使われていなかった。
しかし俺が手に持っているのは長大な弓だ、俺が作らせた特別製の弓だ。
だからと言って日本の長弓を再現した訳ではない。
職人に頼んで、馬上で扱うのが難しい長大な合成弓を作ってもらったのだ。
張力が大き過ぎて並の騎士や兵士では引けないが、鍛錬で使えるようになった。
意地と誇りで鍛錬を重ねて、普通に狩りで使えるくらいには引けるようになった。
目の前には大きく開けられた害竜の口がある。
鋭く並んだ牙が俺を噛み砕きたいと訴えている。
だが、喰われる気は全く無い、のどの奥深くに矢を叩き込む!
「ギャアアアアア!」
のどの奥深くに毒矢を叩き込まれた害竜が絶叫する。
倒れてのたうち回る害竜が一気に遠ざかる。
このまま足を緩めてアルへシラス王国に向かう気だったのだが、軍竜達が全力で駆けだした、俺の指示もなく駆けだした!
「ガックルルルルル!」
とんでもなく巨大な竜が現れた!
まだ離れているが、おおよその全長が五十メートルくらいある。
軍竜達が俺の指示もないのに全力で逃げるくらいだ。
とんでもなく強大な害竜なのだろう、三十六計逃げるに如かず!
タリファ王国とアルへシラス王国が海上交易しかできないくらい危険だ。
過去誰も突破した事がないくらい危険な場所だった。
「このまま一気に引き離すぞ!」
「「「「「クルルルルル!」」」」」
タリファ王国から東に向かってジュンカル大魔境に入った。
東西南北で一番危険な場所だが、勝算があるから東側に挑むのだ。
生き残るのに一番必要なのは武力ではなく情報だ。
それを知っているから、転生してからずっと正確な情報を集め続けた。
この世界の常識を知り、結果が出る前提条件である行動原理を調べた。
表向き騎士道精神や武士道精神が優先され、逃げる事を極端に嫌う社会だった。
そうなのだ、魔境に入っても逃げないのだ。
少なくとも貴族は、誰かが見ている場所では逃げられないのだ。
平民は恥などと言わずに逃るのだが、平民には戦うのに有利なスキルがない。
逃げるにしてもジュンカル大魔境を突破するのではなく、元の場所に逃げ戻る。
だが俺は違う、強行突破するために魔獣や竜から逃げるのだ、走り抜けるのだ!
「ブィイイイイイ!」
遠くでイノシシ系の魔獣が縄張りを主張している。
俺の軍竜はとても強いが、だからといって全ての魔獣に勝てる訳じゃない。
あまりにも強大な魔獣が相手だと負ける可能性もある。
「クィイイイイイン!」
「おっと!」
上空から巨大な魔鳥が襲い掛かって来た。
飛竜や魔鳥はとても危険なので常に警戒していた、余裕をもって迎え討てた。
急降下してくるタイミングに合わせて槍を振るい、首を刎ねて絶命させた。
逃亡中でなければ、軍竜達の足を止めて獲物の回収をする。
翼長四メートルを超える魔鳥はけっこう高く買い取ってもらえる。
だが、今は足を止められない、軍竜達の限界が来る前に大魔境を抜けるのだ!
「「「「「クルルルルル!」」」」」
行く手を阻む雑竜を斬り殺し突き殺しひたすら前に進む。
軍竜達は、足を緩めることなく走り続けてくれる。
血の臭いに魔獣や竜が集まるが、それをはるか後方に置いて逃げれば問題ない。
次々と全長一メートルに満たない雑竜が現れる。
ジュンカル大魔境は獣や魔獣よりも竜の方が多い。
竜には人間の役に立つ益竜と人間に害を与える害竜という分け方がある。
それとは別に、役には立たないが、あまり害にもならない竜がいる。
日本で言えば、トカゲやヘビのような大きさの竜だ、それを雑竜と呼ぶ。
五十頭や百頭の群れに襲われたら危険だが、数頭なら襲ってきても死傷しない。
そんな小さな竜が無数にいるのがジュンカル大魔境だ。
餌になる雑竜が無数にいるから、多くの魔獣や竜が生きていけるのだ。
軍竜達は勢いよく駆けながら雑竜を喰らう。
止まって食事する時間も余裕もないから、駆けながら獲物を狩り喰らう。
俺も携帯食の干肉を頬張り水を飲みながら軍竜の背に乗り続ける。
「クッホ、クッホ、クッホ」
左に強大なクマ系の魔獣が現れた。
長い首と長い尻尾を入れたら全長九メートルに達する軍竜達よりも大きい。
クマの身体で全長十メートルを超えているのだから、とても勝ち目がない。
俺も含めて七対一だから勝てると思うのは甘過ぎる考えだ。
次に勝てるように今は逃げる、逃げる覚悟がない者は早死にする。
「右だ」
軍竜が俺の指示に従ってクマ系魔獣から逃げる。
野生の竜なら俺が指示する前に逃げているだろう。
野生の竜は縄張り争いや雌の奪い合い以外では戦わない。
生きるために喰う事、子孫を残す事、それ以外では戦わない。
勝てるかもしれない相手とは戦うが、絶対に勝てない相手とは戦いわない。
恥も外聞もなく、生き残るために全力で逃げる、それが野生だ。
人に調教された優秀な軍竜は敵が強くても逃げない。
負けて喰われると分かっていても勇敢に立ち向かってくれる。
だからこそ日本円で三十億もの高値がつく。
「ガックルルルルル!」
今度は右から十二メートルはある野生の竜が現れた!
所々に羽が生えているタイプの竜で、とても足が速い!
スタミナもあって今の俺たちでは逃げきれそうにない。
「左だ!」
手綱で操って左に軌道修正する。
クマ系魔獣は後方に置き去りしているから、遭遇戦にはならない。
が、このままでは足の速い竜に追いつかれてしまう!
「クィイイイイイン!」
さっきよりも一回り大きな魔鳥が急降下してきた。
強い軍竜達ではなく、背に乗る弱い人間を狙ってくる。
だが、俺は弱くて無力な人間ではなく、大魔境の狩人だ!
槍を縦横無尽に振るって魔鳥を叩き落とす。
追いかけてくる害竜の前を塞ぐように叩き落す。
「ガックルルルルル!」
執拗に追いかけて来ていた害竜の足が止まる。
このまま俺達を狙うよりも、俺が落とした魔鳥を喰らう方を選んだようだ。
限界を超える速さで駆けさせていた軍竜達の手綱を、ほんの僅かに絞る。
これだけで脚を緩めても良いと言う合図になる。
軍竜達にひと息入れさせる、次に何かあった時に再び全力をだせるようにする。
「ガックルルルルル!」
ほんの少し休めただけだった。
また害竜が現れたが、さっきの竜よりも一回り大きい。
また所々羽が生えているタイプで、足が速くてとても逃げ切れそうにない。
^「頼んだぞ!」
俺は軍竜に命を預ける覚悟をする。
軍竜達はまだ十分に休めていないから、全力で駆けさせても大して走れない。
だから足を緩めたままにして少しでも回復させるが、駆ける順番を変える。
俺が騎乗する雄の軍竜が先頭を駆けていたが、最後尾に入れ変えた。
俺の身体を囮にして竜に狙わせるのだ。
毛が生えていなくて、皮膚も薄くて柔らかい人間は、竜や魔獣の御馳走だ。
追いかけている害竜も、簡単に軍竜を食べられるとは思っていない。
軍竜の背に乗っている俺を狙って追いかけているのだ!
それでなくても軍竜達よりも害竜の方が脚が速いのだ。
まして軍竜達の足を緩めている、害竜が急速に追いついて来た。
追いついて来た害竜が首を引き絞って、一気に俺を喰らおうとする。
前を向いていても気配で分かる、分かるように訓練して実戦も繰り返してきた。
振り向きざま引き絞った矢を放つ!
基本この世界の弓は、西洋やモンゴルの騎兵弓と同じ短くて強力な合成弓を使う。
木製の材料に動物の骨や腱、角、鉄や銅の金属板を張り合わせた合成弓を使う。
木や竹のような単一な素材で作った、弓幹が長大な弓は使われていなかった。
しかし俺が手に持っているのは長大な弓だ、俺が作らせた特別製の弓だ。
だからと言って日本の長弓を再現した訳ではない。
職人に頼んで、馬上で扱うのが難しい長大な合成弓を作ってもらったのだ。
張力が大き過ぎて並の騎士や兵士では引けないが、鍛錬で使えるようになった。
意地と誇りで鍛錬を重ねて、普通に狩りで使えるくらいには引けるようになった。
目の前には大きく開けられた害竜の口がある。
鋭く並んだ牙が俺を噛み砕きたいと訴えている。
だが、喰われる気は全く無い、のどの奥深くに矢を叩き込む!
「ギャアアアアア!」
のどの奥深くに毒矢を叩き込まれた害竜が絶叫する。
倒れてのたうち回る害竜が一気に遠ざかる。
このまま足を緩めてアルへシラス王国に向かう気だったのだが、軍竜達が全力で駆けだした、俺の指示もなく駆けだした!
「ガックルルルルル!」
とんでもなく巨大な竜が現れた!
まだ離れているが、おおよその全長が五十メートルくらいある。
軍竜達が俺の指示もないのに全力で逃げるくらいだ。
とんでもなく強大な害竜なのだろう、三十六計逃げるに如かず!
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