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第六章

第83話:捜索

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 俺は以前コボルトの大集落があった場所に行ってみた。
 いや、正確に表現しなければいけない。
 超強化型ドッペルゲンガーに行かせたのだ。
 超強化型ドッペルゲンガーという表現も分かり難いな。
 古代竜級ドッペルゲンガーと呼ぼう。

 古代竜級ドッペルゲンガーは俺が転移魔術で大魔境に送り込んだ。
 普通に送っても大丈夫なのだが、時間が惜しかったのだ。
 少しでも早くコボルト族とオーク族の無事を確かめたかった。
 だが俺の予想は悪い方で当たってしまった。
 コボルト族の大集落は完膚なきまでに破壊されていた。

 古代竜級ドッペルゲンガーを通して遠隔で見た感じでは、破壊したのは純血竜だ。
 純血竜の群れが大集落を通過していったのだ。
 丁寧に破壊された大集落を調べた。
 幸い死体などは一つもなかった。
 血痕などの遺留品も調べたので、喰われたとか回収したとかではない。
 的確な判断をして戦わずに放棄したのだ。

「おおおおい、大丈夫か。
 ブラウンロ、ビクトリア、フェリシテ、ジャスミン、アイリス無事か。
 俺だ、ジェイコブだ、無事なら返事してくれ」

 俺は古代竜級ドッペルゲンガーに大きな声で叫ばせた。
 叫ばせてコボルト族を探させた。
 当然だが声を聞いた魔獣や魔蟲が襲いかかってくる。
 問答無用で皆殺しにさせて素材にさせてもらう。
 斃した魔獣や魔蟲は全部魔法袋に保管させた。

 いくら古代竜級ドッペルゲンガーでも魔力を使うばかりでは魔力切れになる。
 それを補給するには斃した魔獣や魔蟲から魔力を補充するしかない。
 だが補充しても徐々に魔力は減っていく。
 魔力が半分以下になった時に古代竜と遭遇すると勝てない可能性が出てくる。
 逃げられるのならいいのだが、運悪くそいう時に限って、コボルト族を発見した直後で逃げられない場合がある。
 
「おおおおい、大丈夫か、俺だ、ジェイコブだ、
 ブラウンロ、ビクトリア、無事なら返事してくれ。
 フェリシテ、ジャスミン、アイリス無事か、無事なら返事してくれ」

 俺は古代竜級ドッペルゲンガーに無双で狩りをさせながら、補給のための二体目三体目の古代竜級ドッペルゲンガーを創り出すことにした。
 一体目を常時稼働状態にするためには、俺が圧縮強化して魔力補充した魔宝石を無事に運ぶ役の、二体目三体目の古代竜級ドッペルゲンガーが必要になる。

 いや、二体目三体目と交代で役目を果たしてもらえばいい。
 いやいや、よく考えれば一体目に予備の圧縮強化魔宝石を持たせておけばよかったのだ、何と迂闊で愚かな事だろう。
 俺はよくこういう愚かな事をしでかしてしまうのだ。
 いや、いや、いや、前世には「巧遅は拙速に如かず」という言葉もあった。
 反省よりも次の事を考えよう。
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