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第六章

第78話:自己暗示

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 この世界は思い込みの強さと魔力量で何でも実現できる。
 今の俺なら魔力量には何の問題もないはずだ。
 だから実現できるかできないかは思い込みにかかってくる。
 わずかな疑念も排除して思いこめたら全てを実現できる。
 ようは自分に暗示をかけられるかどうかの話だ。

 だから四つ試した方法の内三つまでが実現できた。
 元々魔力を蓄える事のできる魔石や魔晶石を融合させて、巨大な魔宝石にする事は簡単にできた。

 捕えた魔獣や亜竜に無理矢理魔力を流して成長進化させ、魔力器官を肥大強大化させてから殺して、魔宝石級の魔核を手に入れる事にも成功した。

 捕えた魔獣や亜竜に無理矢理魔力を流して成長進化させ、魔力器官を肥大強大化させてから殺さずに魔核を半分だけ切り取り、それを魔晶石や魔宝石として収穫することにも成功した。

 だがダイヤモンドや宝石を作る時に魔力を込めて魔晶石にする事には失敗した。
 これしか方法がなければ信じきって成功したかもしれない。
 だが心の中で、他の三つの方が確かだよなと思ってしまったのだ。
 その想いが宝石合成時に魔力を込める事を失敗させてしまったのだ。
 予測でしかないがそれが全てだと思う。

 一つ失敗しても三つ成功すれば十分だ。
 亜竜を中心に強力な魔獣を捕獲して俺の魔力を流して成長進化させる。
 成長進化したモンスターの魔核を半分だけ切り取って上質な魔晶石を得る。
 その魔晶石を融合させて上質な魔宝石を創り出す。
 その魔宝石を百個組み合わせて純血竜よりも強い使い魔を創り出す。
 古竜が相手でも勝てる使い魔だ。

 だがその為に俺が弱くなっては意味がない。
 普通なら蓄えておけるはずの魔力を浪費する訳にはいかない。
 普通にしている以上の魔力を創り出して補わなければいけない。
 その為には手当たり次第に食べて、食べた分を魔力に変換しなければいけない。
 狩って食料にした魔獣をミュンに料理してもらって食べる。
 ミュンの作ってくれた料理は何でも美味しい。
 食べた物は魔力で消化器系を働かせて全部魔力にする。

 だがこれだけでは補ったうちには入らない。
 魔石魔晶石を養殖をしなくても自分の魔力を増やす事はできた。
 だから冒険者達にそれなりの魔獣を狩って魔石を確保してもらった。
 孤児院敷地を護る魔力防御の一部に穴を開けて、それなりの魔獣だけ通過させる。
 枡形虎口に魔獣を誘い入れ、三方から冒険者が攻撃する。
 斃して手に入れた魔石を俺が融合させて魔宝石にするのだ。

 魔剣や魔槍、魔弓や魔矢を与えたとはいえ、元は駆けだしやロートルの冒険者だ。
 彼らに倒せる魔獣などたかが知れている。
 手に入る魔核も魔石か精々低級な魔晶石だ。
 だがそのたかが知れた魔石と魔晶石一つが生死を分けるかもしれない。
 俺は手を抜く事なく精一杯使い魔創りに取り組んだ。
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