62 / 91
第五章
第62話:オーク二
しおりを挟む
「気高き門番殿、卑しい人間の言葉を信じてくれるのなら、この門を開けてくれ。
俺はこの大集落で流行っている疫病の薬を持っている。
この疫病は、下劣卑怯な人間がコボルト族を狩るために流行らせたモノだ。
偶然コボルト族の大集落に泊まり薬を売った。
人族の誇りを取り戻すために、元凶の人間を捕まえてコボルト族に引き渡した。
だから犯人をオーク族の引き渡す事はできないが、薬は売れる」
門番をしていたオーク族は黙って最後まで俺の話を聞いていた。
大切な門を護るオーク族の門番は一人ではなく、見える所にいる者だけで八人はいたが、全員が一人のオークにチラチラと視線を送っている。
彼がこの門を守備する者達の責任者なのだろう。
単なる門というよりは大集落を護る城門だ、よほどの戦士なのだろう。
「俺はその言葉を信じたいが、一存で決めることができん。
だがそのまま門の外で待たせては、魔獣に襲われる可能性が高い。
ここにまで一人で辿り着ける人間ならば、少々の魔獣に負けるとは思わないが、門の外に待たせるのはあまりに非礼だ。
ここで流行っている疫病を畏れないというのなら、中に入って待ってくれ。
その間に大族長に今の話を伝えて判断を仰ぐ」
城門の責任者は感心するくらい誇り高い言動をする。
このような戦士と争うには俺の本意ではない。
できれば対等の関係で交易し、魔宝石や魔晶石、魔石や素材を手に入れたい。
オーク族との交易品は回復薬や治療薬でいいだろう。
大魔境には回復薬や治療薬の原料になる薬草や素材が沢山ある。
オーク族なら自分で精製調合してある程度の回復薬や治療薬を持っているはずだが、俺が作り出す回復薬や治療薬の方が効果が高いと思う。
それを使う事で、今まで以上の獲物を狩る事ができるはずだ。
しかも死傷者を遥かに少なくしたうえでだ。
「まあ、心配するな、この者は俺が見張る」
城門の責任者が配下にきつく言い聞かせていた。
恐らく俺から見えていない者が、城門の責任者に批判的な視線を送ったのだろう。
自分自身で俺を見張るから大丈夫だと言い聞かせていた。
それだけで批判的な視線を送って来た仲間の口を封じる事ができるのだから、よほど信用信頼されているのだろう。
俺は重々しく開かれた城門を堂々とした態度で通過して大集落に入った。
誇り高い戦士であるオーク族に憶病者と思われたくないからな。
わずかでも怯懦に見える態度をとることは恥だ。
彼らから見れば、表に見える姿形は卑怯卑劣な人間なのだ。
内部にある精強な力を見抜いてくれる者ばかりであればいいが、まだ未熟なオークもいるかもしれないから、わざと内部の魔力を漏出させよう。
俺はこの大集落で流行っている疫病の薬を持っている。
この疫病は、下劣卑怯な人間がコボルト族を狩るために流行らせたモノだ。
偶然コボルト族の大集落に泊まり薬を売った。
人族の誇りを取り戻すために、元凶の人間を捕まえてコボルト族に引き渡した。
だから犯人をオーク族の引き渡す事はできないが、薬は売れる」
門番をしていたオーク族は黙って最後まで俺の話を聞いていた。
大切な門を護るオーク族の門番は一人ではなく、見える所にいる者だけで八人はいたが、全員が一人のオークにチラチラと視線を送っている。
彼がこの門を守備する者達の責任者なのだろう。
単なる門というよりは大集落を護る城門だ、よほどの戦士なのだろう。
「俺はその言葉を信じたいが、一存で決めることができん。
だがそのまま門の外で待たせては、魔獣に襲われる可能性が高い。
ここにまで一人で辿り着ける人間ならば、少々の魔獣に負けるとは思わないが、門の外に待たせるのはあまりに非礼だ。
ここで流行っている疫病を畏れないというのなら、中に入って待ってくれ。
その間に大族長に今の話を伝えて判断を仰ぐ」
城門の責任者は感心するくらい誇り高い言動をする。
このような戦士と争うには俺の本意ではない。
できれば対等の関係で交易し、魔宝石や魔晶石、魔石や素材を手に入れたい。
オーク族との交易品は回復薬や治療薬でいいだろう。
大魔境には回復薬や治療薬の原料になる薬草や素材が沢山ある。
オーク族なら自分で精製調合してある程度の回復薬や治療薬を持っているはずだが、俺が作り出す回復薬や治療薬の方が効果が高いと思う。
それを使う事で、今まで以上の獲物を狩る事ができるはずだ。
しかも死傷者を遥かに少なくしたうえでだ。
「まあ、心配するな、この者は俺が見張る」
城門の責任者が配下にきつく言い聞かせていた。
恐らく俺から見えていない者が、城門の責任者に批判的な視線を送ったのだろう。
自分自身で俺を見張るから大丈夫だと言い聞かせていた。
それだけで批判的な視線を送って来た仲間の口を封じる事ができるのだから、よほど信用信頼されているのだろう。
俺は重々しく開かれた城門を堂々とした態度で通過して大集落に入った。
誇り高い戦士であるオーク族に憶病者と思われたくないからな。
わずかでも怯懦に見える態度をとることは恥だ。
彼らから見れば、表に見える姿形は卑怯卑劣な人間なのだ。
内部にある精強な力を見抜いてくれる者ばかりであればいいが、まだ未熟なオークもいるかもしれないから、わざと内部の魔力を漏出させよう。
20
お気に入りに追加
316
あなたにおすすめの小説
転移術士の成り上がり
名無し
ファンタジー
ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる