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第四章

第42話:奴隷ハンティング一

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 後の事は意識体ドッペルゲンガーに任せて、俺は緊急を要する領地に転移した。
 そこにも多くの意識体ドッペルゲンガーを送り込んでいたので、合体するイメージをして、失敗を恐れずに転移することができるのだ。
 いつもなら少々被害者が傷ついても、俺が行くまでは調査をするだけなのだが、今回ばかりはそうも言っていられない。
 そんな事をしていたら、毎日何人もの人間が殺されてしまうのだ。

 俺は合体した意識体ドッペルゲンガーに魔力を補充して他の場所に行かせた。
 更に数百の強化意識体ドッペルゲンガーを創り出して送り出した。
 いつもは同じ姿形の意識体ドッペルゲンガーを創り出すことが多かったのだが、今では一体一体違う姿形にしている。
 自重を投げ捨てたから、同じ場所の数百の意識体ドッペルゲンガーがいるので、助けられる者達が混乱してしまうのだ。

 だが俺のイメージにも限界があるから、天罰を下してもうこの世に存在しない人間の姿形を、ほんの少しいじって創り出している。
 今この世界で善良に暮らしている人が、いらぬ疑いをかけられては困る。
 特に俺が助けた人達がまた追われることになっては一大事だ。
 特に孤児院に関係している人に似ないようにしなければいけない。

 そんな風に気を使いながら創り出した意識体ドッペルゲンガーが、すでに十数人の奴隷達を救い護っていた。
 他にも激痛地獄に落ちた畜生共数十人が転がっていた。
 急いで転移しなければいけない理由がこいつらだ。
 特殊性癖の腐れ外道から得た情報、それは奴隷をハンティングさせる闇ギルドと、彼らに領地を貸して富を得ている貴族の存在だった。

 貴族の中には、狩猟を趣味とする者がいる。
 人を襲う魔獣を狩るのなら、それはとても素晴らしい趣味だろう。
 だがほとんどの貴族は、自分達が死傷する可能性のある魔獣や獣は狩る度胸など、鼻糞にするほどの大きさもない。

 ほとんどの貴族が趣味で狩るのは、自分に歯向かうことができない弱い獣だ。
 そんな憶病な貴族の中には、人間を狩る事で愉悦を得る者がいるのだ。
 人間を抵抗できない状態にして追いかけまわし、苦しみ恐怖する姿を見て愉しみ、最後は殺して愉悦に浸る腐れ外道がいるのだ。

 そんな腐れ外道は、一分一秒でも早く殺さなければいけない。
 わずかな遅れが、何の罪もない人を見殺しにしてしまうことになる。
 だからこうして急いで転移してきたのだ。
 だが、ただ殺すだけでは天罰にならないし、被害者が報復できない。
 すでに殺された人を生き返らせる事はできないが、生活に苦しむ遺族がいるのなら、十分な金を渡してあげなければいけない。

 だから畜生共を直ぐには殺さず、身元を明らかにして金銀財宝の全てを盗みだして、それを助けた人と遺族に配る。
 過去の被害者の身元を調べるために、直ぐにでもぶち殺したい畜生であろうと、生かしておいて記憶を探らなかればいけない。
 まあ、殺人や婦女暴行をした犯罪者奴隷なら、どれほど残虐な殺し方をしても構わないとは思っているのだがな。
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