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第三章

第23話:悪徳商人天誅

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 最初に俺がぶちのめしたのは、孤児を性的に虐待していた商人だった。
 日中は辛い仕事を幼い子供のやらせたうえに、夜も苛め抜いていた。
 家の冒険者が買取を申し込んだら、足元を見て値を釣り上げやがった。
 本当なら五人程度は買い戻せる金額を与えていたのに、ここの子供一人を買い戻すだけでなくなってしまった。
 悪徳商人相手に駆け出しの冒険者が値段交渉など不可能だったのだ。

「もう大丈夫だからね、孤児院に行けばお腹一杯食べられるからね」

 冒険者パーティーの女の子が、半ば心の壊れた子供に一生懸命話しかけている。
 他のメンバーは商人相手に敵意ある視線を向けているが、商人は平気な顔だ。
 それどころか、あの目は冒険者達を襲撃する心算のようだ。
 冒険者を捕らえて闇組織に売る心算なのだろう。
 商人が闇組織や犯罪者ギルドと繋がっているのは、もうすでに調べてある。
 あいつらには既に経穴を突いて目が見えなくなるようにしてあるから、問題になるのはこの商人が雇っている護衛だけだ。

「さあ、もうこんな所に用はないわ、急いでブルーノさんの所に戻るのよ」

「そうだな、こんな所にグズグズしているよりは、一旦戻って次の子供を買い戻し方がいい、本当ならあと四人は買い戻せるはずだったのに」

 何気なく腹立ちを口にしたパーティーリーダーだが、その言葉が命を長らえさせることになるかもしれないとは、本人もパーティーメンバーも分からないだろう。
 この言葉を聞いた悪徳商人は、冒険者達を帰り道にで襲撃させる予定だったのを、資金を補充して新しい孤児を買い戻しに出た後で襲撃する事に変えたようだ。
 横に立っている護衛に意味深な視線を送っていた。
 まあ、もっとも、俺が襲撃などさせないがね。

「分かっているな、どうやらセシル城伯が直々に動いているようだ。
 さっきの小童たちだけではなく、他にも買い戻しに動いている冒険者がいるようだから、全員捕らえるか殺すかして金を奪え」

 冒険者達が帰った後で、商人は手先の悪党どもに明確な指示を出していた。
 これを聞いいて、冒険者を護るためにここを離れる必要がなくなった。
 隠形で完全に姿を隠しているから、このままこの商人の持っている全財産を奪う。
 金銀財宝はもちろん、商品や貸付証文や売掛証文まで、全てを魔法袋に納める。
 この悪徳商人に残されるのは、買掛金だけになるだろう。

 隠形で姿を隠したまま、商人や手先の経穴を突き、視覚と聴覚と味覚を奪う。
 逆に痛覚だけを通常の百倍敏感にさせる。
 痛風のように、風が吹いただけで激痛に苦しむことになるだろう。
 痛風のように趾や足首だけでなく、全身に激痛が走る。
 肌着を着る事すらできなくなるかもしれないな。
 当然だか、家の冒険者を追う事など不可能だ。
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