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第二章

第19話:エクセター侯爵暗殺

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 ウィリアムとよく話し合って、王都に入る直前に殺す事に決まった。
 王宮内はもちろん、王都内でエクセター侯爵を殺してしまうと、王家に恥をかかせてしまい、ウィリアムが睨まれる危険があるというのだ。
 まして王太子が主催する舞踏会で暗殺してしまうと、警備の責任がある王太子に大恥をかかしてしまい、厳しい追及が始まるとも言われた。
 俺はそんな事を気にしない性格だが、言われれば理解はできた。

「では、旅の途中でもよく目立つ殺し方をしてやろう」

 俺が流した噂の影響か、ウィリアムよりも早く王都に着こうとしたエクセター侯爵は、ウィリアムよりも五日も早く領地を出た。
 しかもその旅程はかなり強行軍だったので、自分のやった事に粗があり、無理を押し通した自覚があるのだろう。
 俺が魔術で拘束したトマスとエクセター侯爵の家臣達を、ウィリアムが処刑しせずに捕虜にしているのも大きいのだろう。

「頼む、ブルーノ」

 俺はウィリアムに見送られて暗殺に行くのだが、その間にウィリアムは俺に与える領地を決めておく約束だ。
 領都内にくれる約束をした屋敷は、トマスや裏切者が持っていた屋敷の中で、一番敷地の広い所にしてもらった。
 トマスは腐ってもウィリアムの弟だったから、領都の王城内に屋敷を持っていたから、立地条件はかなり良かったが、場所的に近くに士族屋敷が多く居心地が悪い。
 だからトマスが裏で持っていた、貧民街にある広大な屋敷をもらった。

 俺が助けた駆け出し冒険者達をそこに住ませて、中堅冒険者として生きていくための訓練をさせつつ、孤児達の面倒を見させることにした。
 ミュンは孤児院の総責任者としたので、治安の悪い貧民街だが、住み込みで働いてもらう事になった。
 そのミュンに挨拶をしてから暗殺に向かった。
 最後の挨拶が男のウィリアムでは味気ない、最後に顔を見るのはミュンがいい。
 生きて帰る心算ではいるが、世の中に絶対はない。

「もし俺が帰ってこなかったら、この魔法袋の中のモノを使って孤児達を助けてくれ、頼んだよ、ミュン」

 などと最後の別れのような事は口にしたが、エクセター侯爵の暗殺などとても簡単な事で、誰にも邪魔されることなく宿の寝室に入り込めた。
 その場で殺すのではなく、旅程を逆算して王都の手前で身体が爆発するように、経絡経穴を突いて魔力を込めておいた。
 時限爆弾ではないが、自分の好きな時間に殺すことができる。
 殺し方も苦痛なく眠るように殺す事もできれば、脳髄を鼻や口や耳から流して殺す事もできれば、それこそ爆散するように殺す事もできる。
 エクセター侯爵には、激痛に四時間ほど苦しんでから爆散する方法を使った。
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