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第二章

第9話:新しい街

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「ここがこれから俺達の住む街だ。
 まずは拠点にする家を購入したいから、商業ギルドに行くぞ」

 俺は移動の旅の間に仲良くなったミュンに話しかけた。
 男と女の関係になったわけではなく、互いの考え方や大切なモノは教え合い、後々問題にならないように話し合っただけだ。
 だがそれこそが一番大切で、俺がやりたかった孤児院開設がミュンの負担になるようでは、力で嫌な事を押し付けたことになる。
 パワハラになるような事は絶対にやりたくなかったのだ。

「はい、あれだけの資金があれば、なんの心配もありませんね」

 ミュンがやる気に満ちた表情で機嫌よく話しかけてくる。
 この表情を見れば、孤児院開設が嫌だという事はないだろう。
 実際に始めて見て、嫌な事や予想外の事はあるだろうが、少なくとも今は大丈夫。
 資金も、旅に出る前に屑共を皆殺しにした冒険者ギルドで大金を得ている。
 領主が派遣した臨時ギルド職員によって、正当な値段で買い取ってもらった。
 偽勇者パーティーやギルド職員が不正に蓄えていた金を押収した領主には、潤沢な資金があるから、それを元手に冒険者ギルドを直接運営するのだろう。

「そうだな、途中の村や街でも売れるだけ売ったから、資金的な問題は全くないから、後々の事を考えて敷地が広く屋敷も大きな物件を購入しよう」

 ミュンには莫大な量の素材と資金に見えただろうが、幼い頃から実戦訓練を兼ねて魔境やダンジョンで狩りを続けてきた俺にとっては、本当はわずかな量にすぎない。
 今までは一気に大量の素材を放出する事の弊害を恐れて、少しずつしか売らないようにしていたが、旅の途中で多くの場所で売るのなら弊害は少ないはずだ。
 俺の魔法袋に備蓄してある素材の一パーセント以下の量でも、一度に売り払ってしまうと商品の暴落が起きてしまう。
 俺の都合で生産者の生活を圧迫するような事はしたくない。

「あ、でも、この街の冒険者ギルドでも素材を売って資金を調達されます?」

 ミュンが思い出したように話しかけてくるが、確かにその通りだ。
 資金は多ければ多い方がいいのだが、大きな問題もある。
 もう二度と立ち寄らない街や村ならともかく、拠点とする街であまりのも多くの素材を売ってしまうと、多くの人の生活が成り立たなくなるのだ。
 特にダンジョンでの狩りで生活している冒険者は、素材が一度に大量に出回ってしまうと、買取価格が暴落して冒険者を続けられなくなる。

「いや、そんな事をして買取価格が暴落してしまうと、この街の根本であるダンジョンを基軸とした経済が破綻してしまうから……」

 ミュンに経済問題を話しながら歩いていると、角を曲がったとたんに驚きの光景が目に入って来た。
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