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第二章
第70話:大陸の状況と地形
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リカルド王太子はどちらを優先すべきか悩んでいた。
恨みのある偽勇者を殺すのか、それとも魔王軍を壊滅させるのか。
両方が同じ方向にいるのなら、全軍を率いて時間差で叩く事もできた。
だが偽勇者と魔王軍は全く違う方向に現れた。
魔王軍は北の大山脈に穴を開けて侵入して来た。
偽勇者が現れた国はフィフス王国から直線距離で一七〇〇キロもある。
しかもその国に行くまでには、大山脈ほどではないにしても、山々や河川森林があり、何度も迂回していかなければいけないのだ。
改めてこの大陸に地形を説明すれば、北と西に大山脈がある。
東にはエルフ族の住む大森林があり、北を上にした逆三角形の大陸となっている。
前世の記憶から近い場所をだと、インド亜大陸が近いだろうか。
インド亜大陸と同じように、大山脈と大森林に接していない場所は海に接しているのだが、その海の遠洋には人間など歯牙にもかけない海生巨大モンスターがいる。
だから海から他の大陸に行くことは不可能なのだ。
インド亜大陸と大きく違う点は、北大山脈と西大山脈の交わるところに、フィフス王国の盆地が存在しているという所だろうか。
インド亜大陸で表現すると、ヒマラヤ山脈とスライマーン山脈の交差する所になるが、山脈の高さと峻険さは全く比較にならない。
しかもフィフス王国のある盆地には、魔族が住む地域と繋がる北魔境と西魔境があるのだから、戦力をどれくらい外征に出すかで悩むのは当然だった。
無理矢理インド亜大陸の地図で例えるのなら、魔王軍が北大山脈に穴をあけたのはラクナウに通じるあたりになる。
偽勇者が現れたのは、マドラスの辺りになる。
とてもではないが進路上にある全ての国々と交渉して二方面に軍は出せない。
どう考えても私的な恨みよりも魔王軍を優先しなければいけない状態だった。
だが計ったようなタイミングと場所で、偽勇者と魔王軍が現れている。
常識的に判断して、魔王軍と戦ってる間に偽勇者が何をしでかすか不安だった。
リカルド王太子のウェルズリー王国併合を非難して、大陸南部の王侯貴族の危機感をあおり、反フィフス王国同盟を創り上げるかもしれないのだ。
現実に偽勇者を大将軍に任命して、その力を利用する国が現れているのだ。
「偽勇者の事は私的な事で、大陸と人族の存亡に比べれば些細な事だ。
我らにはもっと優先しなければいけない大切な事がある。
今もこうして多くの民が各地から我が国を頼って逃げてきている。
何度使者を送っても民を救わず、魔王軍とも戦おうとしない。
もう卑怯下劣な王侯貴族に民を支配させてはいられない。
どれほどの悪名を歴史に残すことになろうと、卑怯下劣な王侯貴族を排除して魔王軍を殲滅し、塗炭の苦しみに喘ぐ民を救うのだ」
「「「「「おう」」」」」
リカルド王太子は仕掛けていた謀略を仕上げる決断を下した。
恨みのある偽勇者を殺すのか、それとも魔王軍を壊滅させるのか。
両方が同じ方向にいるのなら、全軍を率いて時間差で叩く事もできた。
だが偽勇者と魔王軍は全く違う方向に現れた。
魔王軍は北の大山脈に穴を開けて侵入して来た。
偽勇者が現れた国はフィフス王国から直線距離で一七〇〇キロもある。
しかもその国に行くまでには、大山脈ほどではないにしても、山々や河川森林があり、何度も迂回していかなければいけないのだ。
改めてこの大陸に地形を説明すれば、北と西に大山脈がある。
東にはエルフ族の住む大森林があり、北を上にした逆三角形の大陸となっている。
前世の記憶から近い場所をだと、インド亜大陸が近いだろうか。
インド亜大陸と同じように、大山脈と大森林に接していない場所は海に接しているのだが、その海の遠洋には人間など歯牙にもかけない海生巨大モンスターがいる。
だから海から他の大陸に行くことは不可能なのだ。
インド亜大陸と大きく違う点は、北大山脈と西大山脈の交わるところに、フィフス王国の盆地が存在しているという所だろうか。
インド亜大陸で表現すると、ヒマラヤ山脈とスライマーン山脈の交差する所になるが、山脈の高さと峻険さは全く比較にならない。
しかもフィフス王国のある盆地には、魔族が住む地域と繋がる北魔境と西魔境があるのだから、戦力をどれくらい外征に出すかで悩むのは当然だった。
無理矢理インド亜大陸の地図で例えるのなら、魔王軍が北大山脈に穴をあけたのはラクナウに通じるあたりになる。
偽勇者が現れたのは、マドラスの辺りになる。
とてもではないが進路上にある全ての国々と交渉して二方面に軍は出せない。
どう考えても私的な恨みよりも魔王軍を優先しなければいけない状態だった。
だが計ったようなタイミングと場所で、偽勇者と魔王軍が現れている。
常識的に判断して、魔王軍と戦ってる間に偽勇者が何をしでかすか不安だった。
リカルド王太子のウェルズリー王国併合を非難して、大陸南部の王侯貴族の危機感をあおり、反フィフス王国同盟を創り上げるかもしれないのだ。
現実に偽勇者を大将軍に任命して、その力を利用する国が現れているのだ。
「偽勇者の事は私的な事で、大陸と人族の存亡に比べれば些細な事だ。
我らにはもっと優先しなければいけない大切な事がある。
今もこうして多くの民が各地から我が国を頼って逃げてきている。
何度使者を送っても民を救わず、魔王軍とも戦おうとしない。
もう卑怯下劣な王侯貴族に民を支配させてはいられない。
どれほどの悪名を歴史に残すことになろうと、卑怯下劣な王侯貴族を排除して魔王軍を殲滅し、塗炭の苦しみに喘ぐ民を救うのだ」
「「「「「おう」」」」」
リカルド王太子は仕掛けていた謀略を仕上げる決断を下した。
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