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第一章
第47話:決断・レイラ第三皇女視点
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皇帝陛下にリカルド王太子への使者役を命じられた重臣達は、即日隠居届を出して役目を辞そうとしましたが、そう簡単に許されるわけがありません。
莫大な罰金と降格を条件にようやく許されました。
リカルド王太子の使者になれば、過去の例を考えると、まず間違いなく殺されるかまだ露見していない罪まで暴かれます。
それくらいなら罰金と降格の方がマシと判断して、全員が受け入れました。
そんな状況で、私は皇帝陛下と皇太子殿下に呼び出されました。
「レイラ、お前には辛く厳しい役目を果たしてもらわなければならない。
皇国を護るためには、リカルド王太子との絆は絶対に強めなければならない。
同時に、リカルド王太子を利用して皇国を正そうと思っている。
レイラの嫁入りには数個騎士団規模の護衛をつけるが、それには信頼できない者や皇室に恨みを持つ者を選ぶ。
途中で死ぬことになるかもしれないが、魔王軍が跳梁跋扈するこの時期に、連中に皇国内で謀叛を起こさせるわけにはいかんのだ」
確かに、前回大量に処罰された者達は皇室に恨みを持っているでしょう。
あの者達は長く皇帝陛下に重臣として仕えており、私兵も財力も領地も、今回処分された重臣たち以上の力を持っています。
その者達が皇子の誰かを担ぎ、今回処分された重臣達も加わって謀叛を起こしたら、皇国は大混乱になるでしょう。
それは人類が魔族に滅ぼされることにつながります。
どうしても戦いを始めなければいけないのなら、皇国外を選ぶしかありません。
「分かりました、皇帝陛下や皇太子殿下に忠誠を誓う、信頼できる者を無駄死にさせるわけにはいきませんから、私の側仕え以外は信頼できない者だけで結構です。
いつ謀叛を起こすか分からない者達を、皇都の城壁内に入れるわけにはいきませんから、私の仮宮を皇都城外に置きましょう。
いえ、大袈裟なモノなど必要ございません。
戦いが起こった時に出城に使える野戦陣地で結構です」
私も皇女として帝王学は学んできました。
リカルド王太子との婚約が整ってからは、急いで軍略も学びました。
野戦陣地を城壁外に設けて、魔王軍を誘う方法も学んだのです。
こちらの思い通りに皇国外で謀叛を起こしてくれればいいですが、確実にそれが可能だとは言い切れません。
謀叛を起こすかもしれない者共を、皇都城外で決起させることができるなら、軍略として悪くないと思うのです。
「その覚悟、天晴である。
最悪の場合は、朕や皇太子が気がついていないだけで、すでに皇族の誰かがあ奴らと内通しているかもしれないのだ。
捕虜にしたレイラを担いで謀叛を起こすとは思うが、その時に皇城内でも謀叛が起こる可能性も皆無ではない。
皇城内で同時に謀叛を起こされたり、皇城内と皇都内で同時に謀叛を起こされるよりは、皇城内と皇都外で謀叛を起こされる方がまだましだ」
確かに皇帝陛下の申される通りです。
皇帝陛下も皇太子殿下も、私の嫁入りまでに徹底した調査をされるでしょうから、皇城内での謀叛は起こらないと思いますが、最悪の場合とは、こちらの想定している更に斜め上を行く事態が起こるものですから、過剰という事はないでしょう。
「すまないレイラ、私に能力がないばかりに、お前に苦労をかけてしまう」
今まで黙っていた皇太子殿下が本気で謝られます。
皇太子殿下が皇帝陛下の至らぬところを黙って補佐されている事を、私は知っていますから、謝られるような事は全くありません。
「大丈夫でございますよ皇太子殿下、私も兄上と同じ皇族です。
兄上同様に、皇族の責任は理解しております」
莫大な罰金と降格を条件にようやく許されました。
リカルド王太子の使者になれば、過去の例を考えると、まず間違いなく殺されるかまだ露見していない罪まで暴かれます。
それくらいなら罰金と降格の方がマシと判断して、全員が受け入れました。
そんな状況で、私は皇帝陛下と皇太子殿下に呼び出されました。
「レイラ、お前には辛く厳しい役目を果たしてもらわなければならない。
皇国を護るためには、リカルド王太子との絆は絶対に強めなければならない。
同時に、リカルド王太子を利用して皇国を正そうと思っている。
レイラの嫁入りには数個騎士団規模の護衛をつけるが、それには信頼できない者や皇室に恨みを持つ者を選ぶ。
途中で死ぬことになるかもしれないが、魔王軍が跳梁跋扈するこの時期に、連中に皇国内で謀叛を起こさせるわけにはいかんのだ」
確かに、前回大量に処罰された者達は皇室に恨みを持っているでしょう。
あの者達は長く皇帝陛下に重臣として仕えており、私兵も財力も領地も、今回処分された重臣たち以上の力を持っています。
その者達が皇子の誰かを担ぎ、今回処分された重臣達も加わって謀叛を起こしたら、皇国は大混乱になるでしょう。
それは人類が魔族に滅ぼされることにつながります。
どうしても戦いを始めなければいけないのなら、皇国外を選ぶしかありません。
「分かりました、皇帝陛下や皇太子殿下に忠誠を誓う、信頼できる者を無駄死にさせるわけにはいきませんから、私の側仕え以外は信頼できない者だけで結構です。
いつ謀叛を起こすか分からない者達を、皇都の城壁内に入れるわけにはいきませんから、私の仮宮を皇都城外に置きましょう。
いえ、大袈裟なモノなど必要ございません。
戦いが起こった時に出城に使える野戦陣地で結構です」
私も皇女として帝王学は学んできました。
リカルド王太子との婚約が整ってからは、急いで軍略も学びました。
野戦陣地を城壁外に設けて、魔王軍を誘う方法も学んだのです。
こちらの思い通りに皇国外で謀叛を起こしてくれればいいですが、確実にそれが可能だとは言い切れません。
謀叛を起こすかもしれない者共を、皇都城外で決起させることができるなら、軍略として悪くないと思うのです。
「その覚悟、天晴である。
最悪の場合は、朕や皇太子が気がついていないだけで、すでに皇族の誰かがあ奴らと内通しているかもしれないのだ。
捕虜にしたレイラを担いで謀叛を起こすとは思うが、その時に皇城内でも謀叛が起こる可能性も皆無ではない。
皇城内で同時に謀叛を起こされたり、皇城内と皇都内で同時に謀叛を起こされるよりは、皇城内と皇都外で謀叛を起こされる方がまだましだ」
確かに皇帝陛下の申される通りです。
皇帝陛下も皇太子殿下も、私の嫁入りまでに徹底した調査をされるでしょうから、皇城内での謀叛は起こらないと思いますが、最悪の場合とは、こちらの想定している更に斜め上を行く事態が起こるものですから、過剰という事はないでしょう。
「すまないレイラ、私に能力がないばかりに、お前に苦労をかけてしまう」
今まで黙っていた皇太子殿下が本気で謝られます。
皇太子殿下が皇帝陛下の至らぬところを黙って補佐されている事を、私は知っていますから、謝られるような事は全くありません。
「大丈夫でございますよ皇太子殿下、私も兄上と同じ皇族です。
兄上同様に、皇族の責任は理解しております」
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