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8話
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「今日はよく戦ってくれた。
想定外の敵が現れたにも関わらず、臨機応変に対応してくれた。
お陰で随分と稼げた。
今日の飲み食いは団長が払ってくださる。
遠慮せずに大いに飲み食いしてくれ。
乾杯!」
アンゲリカが音頭をとって食事が始まった。
食事処の一角を借りて飲み会をするのだ。
本当は私が音頭を取りたかったのだが、それでは威厳がなくなると、アンゲリカに厳しく諫められてしまった。
まだまだ冒険者のやり方が身に沁みついていないようだ。
まあ、本当はこの場にいるのも駄目なのだそうだが、そこはアンゲリカに正直に意図を話して許してもらった。
団長の私が副団長のアンゲリカに頼まないといけないのは、おかしいと考えている家臣出身の男性冒険者もいるが、冒険者は実力の世界なのだから仕方がない。
私はオーナーとして貴族として団長になっているだけで、実際の団運営はアンゲリカに任せているし、実力もアンゲリカの方が上なのだ。
だから正直に全てを話して助言をもらい、実際に助けてもらっているのだ。
私の婿を探したいという本心を聞いて、仕方なく飲み会に参加するのを許してくれたうえに、嫌いな飲み会を仕切ってくれているのだ。
命を懸けた戦場の次に本性が現れるのが、飲み会の場だそうだ。
気になる男の本性が知りたいのなら、飲み会のでの言動を注意深く聞き、普段との差を見つけることが大切なのだそうだ。
こうして話を重ねるほど、アンゲリカの男前が際立つ。
アンゲリカが男ならばよかったのだ。
アンゲリカが男だったら、文句なしに婿に迎えていたのに。
本当にこの世はままならない。
だが、まあ、クリスティアンは気性がよさそうだ。
実力的もまずまずだ。
「ワッハハハハ!
今日は愉快だ!
こんなに楽しい飲み会は初めてだ!
団長、ありがとうございます!」
「いや、気にしなくていい。
みなの今日の働きはとてもよかった。
日々強くなっているのが、見ているだけで分かる。
明日の英気を養うためにも、よく飲みよく食べてくれ」
「「「「「はい!」」」」」
団長らしくぞんざいな話し方をしたが、みな受け入れてくれているようだ。
女であろうと貴族令嬢だろうと関係なく、団長と認められているのはうれしい。
いい顔で飲んでくれている。
特に私を褒め称えてくれたレオナルドが屈託なく笑っている。
レオナルドはロロ騎士家の三男だったはずだ。
ポルワース伯爵家の分家扱いになる私なら、婿にとってもおかしくない相手だ。
だが二メートルの身長と大剛の身体はちょっと引く。
無精髭もすきになれない。
どちらかといえば、美男子のクリスティアンの方が見た目は好みなんだが、婿に選ぶなら見た目より中身だからね。
想定外の敵が現れたにも関わらず、臨機応変に対応してくれた。
お陰で随分と稼げた。
今日の飲み食いは団長が払ってくださる。
遠慮せずに大いに飲み食いしてくれ。
乾杯!」
アンゲリカが音頭をとって食事が始まった。
食事処の一角を借りて飲み会をするのだ。
本当は私が音頭を取りたかったのだが、それでは威厳がなくなると、アンゲリカに厳しく諫められてしまった。
まだまだ冒険者のやり方が身に沁みついていないようだ。
まあ、本当はこの場にいるのも駄目なのだそうだが、そこはアンゲリカに正直に意図を話して許してもらった。
団長の私が副団長のアンゲリカに頼まないといけないのは、おかしいと考えている家臣出身の男性冒険者もいるが、冒険者は実力の世界なのだから仕方がない。
私はオーナーとして貴族として団長になっているだけで、実際の団運営はアンゲリカに任せているし、実力もアンゲリカの方が上なのだ。
だから正直に全てを話して助言をもらい、実際に助けてもらっているのだ。
私の婿を探したいという本心を聞いて、仕方なく飲み会に参加するのを許してくれたうえに、嫌いな飲み会を仕切ってくれているのだ。
命を懸けた戦場の次に本性が現れるのが、飲み会の場だそうだ。
気になる男の本性が知りたいのなら、飲み会のでの言動を注意深く聞き、普段との差を見つけることが大切なのだそうだ。
こうして話を重ねるほど、アンゲリカの男前が際立つ。
アンゲリカが男ならばよかったのだ。
アンゲリカが男だったら、文句なしに婿に迎えていたのに。
本当にこの世はままならない。
だが、まあ、クリスティアンは気性がよさそうだ。
実力的もまずまずだ。
「ワッハハハハ!
今日は愉快だ!
こんなに楽しい飲み会は初めてだ!
団長、ありがとうございます!」
「いや、気にしなくていい。
みなの今日の働きはとてもよかった。
日々強くなっているのが、見ているだけで分かる。
明日の英気を養うためにも、よく飲みよく食べてくれ」
「「「「「はい!」」」」」
団長らしくぞんざいな話し方をしたが、みな受け入れてくれているようだ。
女であろうと貴族令嬢だろうと関係なく、団長と認められているのはうれしい。
いい顔で飲んでくれている。
特に私を褒め称えてくれたレオナルドが屈託なく笑っている。
レオナルドはロロ騎士家の三男だったはずだ。
ポルワース伯爵家の分家扱いになる私なら、婿にとってもおかしくない相手だ。
だが二メートルの身長と大剛の身体はちょっと引く。
無精髭もすきになれない。
どちらかといえば、美男子のクリスティアンの方が見た目は好みなんだが、婿に選ぶなら見た目より中身だからね。
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