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18話

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「全てを自白しろ。
 自白しなければもっと苦痛を与えるぞ。
 やれ、容赦するな!
 だが殺すなよ、治癒魔術で治しながら、永劫の苦痛を与えよ」

「はい!」

 虎獣人族の拷問は激烈だった。
 拷問する容疑者を、生きたまま貪り喰うのだ。
 指、鼻、耳、唇を生きたまま喰われる苦痛に、容疑者はのたうち回る。
 普通の精神力の人間では、絶対に我慢できない。
 肉体的苦痛など経験した事のない、王や高位貴族ならなおさらだ。

「言う、言う、全て言う。
 だから許してくれ。
 もう喰わないでくれ。
 内臓を喰うのだけは許してくれ」

 最初に身体を喰われたノエル国王が簡単に全てを自白した。
 ネーラと不義密通はもちろん、多くの貴族婦人との密通を自白した。
 カチュアをアメリアと偽って、ウィントン大公国に嫁に出したことも自白した。
 後は雪崩を打つようだった。
 どの貴族家の当主も、生きたまま喰われたいとは思わない。
 特に妻を国王に寝取られた貴族は、自ら進んで証言をした。

 カチュアの舌を切り取った魔道具が持ってこられた。
 使われた呪いの魔法陣も提出された。
 だが呪いを解除する魔法がなかった。
 怒り狂ったアレサンドがノエル国王を殺そうとしたが、シャノン侯爵にカチュアを治すためだと止められた。

「余、リングストン王国国王ノエルは、ウィントン大公アレサンド殿を偽り、カチュアをアメリアとして妻に送った。
 この国同士の信義を裏切り行為は、絶対に許されない事だ。
 よって余は退位してアレサンド殿に王位を譲ることにした。
 皆これからはアレサンド陛下に忠誠を誓うように」

「「「「「はっ!」」」」」

 リングストン王国国王ノエルは、王国中の貴族士族だけでなく、王都にいた各国の大使も王城に招いて宣言した。
 もう抵抗する気概などなかった。
 少しでも敵意を持てば、生きたまま内臓を喰われるのだ。
 正気を保っている事が奇跡だった。

 それは貴族士族も同じだった。
 アレサンド達がリングストン王国の王城を襲撃した時に、王城にいた貴族士族で虎獣人族に敵意を持った者全員が、一度は生きたまま身体の一部を喰われているのだ。
 敵意を持たなかった者も、眼の前で身体を喰われる光景を、何十何百と見せつけられているのだ。
 逆らう気力など胡麻粒ほども残っていない。

「各国の大使にも言ってきかしておく。
 不服がある者はいつでも軍勢を整えて侵攻するがいい。
 我が戦闘団が迎え撃ってくれる。
 卑怯で憶病な人間の王や貴族は、王城に隠れているのだろう。
 だが王城に籠っているから、自分だけは大丈夫だと思うなよ。
 余直々に王城を襲い、生きたまま貪り喰ってやる。
 その時が楽しみだ!」
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