71 / 94
第一章
第70話:敵兵二十万
しおりを挟む
皇紀2223年・王歴227年・早春・アザエル教団支配地方との領境要塞群
俺はカンリフ公爵との交渉は爺様に任せて、アザエル教団の狂信者共を皆殺しにすべく、魔力で身体強化して全力疾走した。
途中何処の所属か分からない刺客が、思い出すのも面倒なくらい多くの場所で待ち伏せしていたが、一撃でぶち殺してやった。
普段の俺なら、戦力や労働力になる人材は極力殺さないようにするのだが、一万の味方が必死で二十万の敵を押しとどめていては、敵の命に配慮などできない。
ましてその敵が暗殺を生業とする奴なら、良心も咎めない。
俺はものの一時間ほどで、ろくに整備されていない百二十キロの道を駆け抜けたが、普通では考えられない早さだ。
魔力のない雑兵に完全武装させて行軍させたとしたら、普通四日はかかる。
武装を現地で受け取る形にして強行軍させたとしての、二日半はかかる。
それくらい非常識な速さだが、俺が魔力消費量を無視して身体強化すれば、不可能も可能になるのだ。
「俺が来た以上もう何の心配もいらぬ。
敵は全員魔術で眠らせて無力にする。
他教団の信徒を背教徒と罵り、奪い犯し殺すようなアザエル教団に情けは無用。
眠っている間に殺せ。
ただし、持っている物や着ている物に罪はない。
それぞれの戦利品にする事を許すが、俺達は略奪者ではない。
味方同士で争うことなく、指揮官の命令に従って、順番に止めを刺せ。
それと、戦利品を許すのはこの場だけだ。
村々に対しては一切の略奪を禁じる。
もちろん女を犯す事も人を攫う事も許さん。
俺の目を盗めるとは思うなよ、俺に命令に背いて略奪や強姦を行った者は、その場で身体中から虫が湧いて死ぬと思え」
「「「「「はい」」」」」
俺の本気の怒りと命令を受けて、最初は思いがけない戦利品を約束されて浮かれていた将兵が、一気に地獄を覗いたような表情になった。
特に古参指揮官連中は、不要な者を排除するために罠かもしれないと疑っている。
新参の指揮官連中は、自分達の性根を確かめて、エレンバラ家に相応しくない者を排除する試験かもしれないと疑っている。
平民兵に至っては、本当に戦利品を獲ていいのか不安に思っている。
まずは俺の力を見せつけて、絶対に敵わないと思わせるのが先だ。
「この世にあまねく存在する精霊達よ、俺の目となり耳となり全てを伝えよ。
そして俺の敵となるモノに深い眠りを与えよ」
俺は全く必要もない呪文を唱えて、それも味方全員に伝わるように拡声魔術まで使って、全ての現象を精霊の力で俺が見聞きできると思わせた。
俺の嘘呪文通り、要塞群を攻撃していたアザエル教団の狂信者二十万が倒れた。
自分の身体を護る事もできず、勢いよく自分の武器で傷ついている者もいる。
見渡す限り一面倒れ伏した狂信者の床ができている。
「訓練通り、部隊順に止めを刺せ、愚図愚図するな」
俺はカンリフ公爵との交渉は爺様に任せて、アザエル教団の狂信者共を皆殺しにすべく、魔力で身体強化して全力疾走した。
途中何処の所属か分からない刺客が、思い出すのも面倒なくらい多くの場所で待ち伏せしていたが、一撃でぶち殺してやった。
普段の俺なら、戦力や労働力になる人材は極力殺さないようにするのだが、一万の味方が必死で二十万の敵を押しとどめていては、敵の命に配慮などできない。
ましてその敵が暗殺を生業とする奴なら、良心も咎めない。
俺はものの一時間ほどで、ろくに整備されていない百二十キロの道を駆け抜けたが、普通では考えられない早さだ。
魔力のない雑兵に完全武装させて行軍させたとしたら、普通四日はかかる。
武装を現地で受け取る形にして強行軍させたとしての、二日半はかかる。
それくらい非常識な速さだが、俺が魔力消費量を無視して身体強化すれば、不可能も可能になるのだ。
「俺が来た以上もう何の心配もいらぬ。
敵は全員魔術で眠らせて無力にする。
他教団の信徒を背教徒と罵り、奪い犯し殺すようなアザエル教団に情けは無用。
眠っている間に殺せ。
ただし、持っている物や着ている物に罪はない。
それぞれの戦利品にする事を許すが、俺達は略奪者ではない。
味方同士で争うことなく、指揮官の命令に従って、順番に止めを刺せ。
それと、戦利品を許すのはこの場だけだ。
村々に対しては一切の略奪を禁じる。
もちろん女を犯す事も人を攫う事も許さん。
俺の目を盗めるとは思うなよ、俺に命令に背いて略奪や強姦を行った者は、その場で身体中から虫が湧いて死ぬと思え」
「「「「「はい」」」」」
俺の本気の怒りと命令を受けて、最初は思いがけない戦利品を約束されて浮かれていた将兵が、一気に地獄を覗いたような表情になった。
特に古参指揮官連中は、不要な者を排除するために罠かもしれないと疑っている。
新参の指揮官連中は、自分達の性根を確かめて、エレンバラ家に相応しくない者を排除する試験かもしれないと疑っている。
平民兵に至っては、本当に戦利品を獲ていいのか不安に思っている。
まずは俺の力を見せつけて、絶対に敵わないと思わせるのが先だ。
「この世にあまねく存在する精霊達よ、俺の目となり耳となり全てを伝えよ。
そして俺の敵となるモノに深い眠りを与えよ」
俺は全く必要もない呪文を唱えて、それも味方全員に伝わるように拡声魔術まで使って、全ての現象を精霊の力で俺が見聞きできると思わせた。
俺の嘘呪文通り、要塞群を攻撃していたアザエル教団の狂信者二十万が倒れた。
自分の身体を護る事もできず、勢いよく自分の武器で傷ついている者もいる。
見渡す限り一面倒れ伏した狂信者の床ができている。
「訓練通り、部隊順に止めを刺せ、愚図愚図するな」
19
お気に入りに追加
390
あなたにおすすめの小説
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!!
僕は異世界転生してしまう
大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった
仕事とゲームで過労になってしまったようだ
とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた
転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった
住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる
◇
HOTランキング一位獲得!
皆さま本当にありがとうございます!
無事に書籍化となり絶賛発売中です
よかったら手に取っていただけると嬉しいです
これからも日々勉強していきたいと思います
◇
僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました
毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!
神桜
ファンタジー
小学生の子を事故から救った華倉愛里。本当は死ぬ予定じゃなかった華倉愛里を神が転生させて、愛し子にし家族や精霊、神に愛されて楽しく過ごす話!
『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!』の番外編を『私公爵令嬢としてこの世界を楽しみます!番外編』においています!良かったら見てください!
投稿は1日おきか、毎日更新です。不規則です!宜しくお願いします!
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~
名無し
ファンタジー
突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる