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第一章
第49話:勅使
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皇紀2221年・王歴225年・早春・ロスリン城
俺は満十二歳、当年とって十三歳になったが、未だ戦いの日々だ。
少しでも状況がよくなればよかったのだが、全然改善されていない。
それどころか日々悪くなっていく一方だが、俺に文句を言う資格はない。
このような状況になったのは、自分のせいだと言う自覚があるからだ。
こうなると分かっていてやったのだから、自業自得なのだ。
海が欲しくて手に入れたバーリー地方の北側、スティントン地方ではアザエル教団がゴーマンストン子爵領に入り込んでいた。
俺がキャヴェンディッシュ侯爵軍とフェアファクス地方の騎士達を誘い込むためにやった、二万五千兵をスティントン地方との領境に集めた事。
これによってゴーマンストン子爵は、兵力の半分しかアザエル教団軍の迎撃に使えなくなり、国境線を突破されてしまったのだ。
そして俺が大軍を率いて山を越え、プランケット地方を離れてバーリー地方に駐屯した事で、エクセター侯爵家とトリムレストン子爵家の戦いが激化した。
両家とも生き残りをかけて、来年の収穫を無視した泥沼の消耗戦を行ったのだ。
その結果が、エクセター侯爵家がプランケット地方以外で支配下に置いていた属臣達、貴族や騎士の完全離脱だった。
しかもこの原因を作った嫡男に対する弟と家臣の叛意を増大させていたのだ。
その結果、この国で二番目に力を持っていた家が弱くなり、一番力を持っているカンリフ公爵がさらに力を持ち、敵対していた相手との戦争がとても楽になっていた。
バルフォア地方とヘプバーン地方の二つの地方で盟主を務めていた、フィッツジェラルド宰相家と血で血を洗うような激烈な戦いを続けていたのだが、その戦争がとても楽になっていた。
馬鹿王の勅命で首都をうかがっていたキャヴェンディッシュ侯爵家を俺が滅ぼし、フェアファクス地方の騎士達は俺に備えなければいけなくなった。
それによってカンリフ公爵は、フェアファクス地方の騎士達に備えていた一万の兵力を、フィッツジェラルド宰相家との戦いに転戦させる事ができるようになった。
エクセター侯爵家を警戒していた兵力五千も転戦させられた。
一時は長弟のクルシー侯爵イーサンが戦死しそうになるくらい苦戦していたカンリフ公爵が、有利に戦えるようになっていた。
だが俺にも思惑があったので、このような状況になる事は仕方のない事だった。
最初にバルフォア地方とヘプバーン地方を手に入れ、ゴーマンストン子爵家をアザエル教団に滅ぼさせてから、俺がアザエル教団を攻め滅ぼす。
そんな長期計画を立てていたのだが、その前にカンリフ公爵家が力をつけすぎてしまうかもしれない状況だったのだ。
それが予測できたからやった事だが、調子に乗り過ぎていたかもしれない。
カンリフ公爵の能力を低く見積もり過ぎていたかもしれない。
こんな事ではトリムレストン子爵を馬鹿になどできない。
自分望むように敵の能力を低く見積もっていたのは、トリムレストン子爵ではなく俺だと言う事になる。
そんな風に反省していたら、首都から皇帝陛下の勅使が下向してこられた。
しかも相手は皇帝陛下の公式な愛人で、俺の叔母だった。
首都で何かとんでもない事を勃発してしまったのかもしれない。
俺は満十二歳、当年とって十三歳になったが、未だ戦いの日々だ。
少しでも状況がよくなればよかったのだが、全然改善されていない。
それどころか日々悪くなっていく一方だが、俺に文句を言う資格はない。
このような状況になったのは、自分のせいだと言う自覚があるからだ。
こうなると分かっていてやったのだから、自業自得なのだ。
海が欲しくて手に入れたバーリー地方の北側、スティントン地方ではアザエル教団がゴーマンストン子爵領に入り込んでいた。
俺がキャヴェンディッシュ侯爵軍とフェアファクス地方の騎士達を誘い込むためにやった、二万五千兵をスティントン地方との領境に集めた事。
これによってゴーマンストン子爵は、兵力の半分しかアザエル教団軍の迎撃に使えなくなり、国境線を突破されてしまったのだ。
そして俺が大軍を率いて山を越え、プランケット地方を離れてバーリー地方に駐屯した事で、エクセター侯爵家とトリムレストン子爵家の戦いが激化した。
両家とも生き残りをかけて、来年の収穫を無視した泥沼の消耗戦を行ったのだ。
その結果が、エクセター侯爵家がプランケット地方以外で支配下に置いていた属臣達、貴族や騎士の完全離脱だった。
しかもこの原因を作った嫡男に対する弟と家臣の叛意を増大させていたのだ。
その結果、この国で二番目に力を持っていた家が弱くなり、一番力を持っているカンリフ公爵がさらに力を持ち、敵対していた相手との戦争がとても楽になっていた。
バルフォア地方とヘプバーン地方の二つの地方で盟主を務めていた、フィッツジェラルド宰相家と血で血を洗うような激烈な戦いを続けていたのだが、その戦争がとても楽になっていた。
馬鹿王の勅命で首都をうかがっていたキャヴェンディッシュ侯爵家を俺が滅ぼし、フェアファクス地方の騎士達は俺に備えなければいけなくなった。
それによってカンリフ公爵は、フェアファクス地方の騎士達に備えていた一万の兵力を、フィッツジェラルド宰相家との戦いに転戦させる事ができるようになった。
エクセター侯爵家を警戒していた兵力五千も転戦させられた。
一時は長弟のクルシー侯爵イーサンが戦死しそうになるくらい苦戦していたカンリフ公爵が、有利に戦えるようになっていた。
だが俺にも思惑があったので、このような状況になる事は仕方のない事だった。
最初にバルフォア地方とヘプバーン地方を手に入れ、ゴーマンストン子爵家をアザエル教団に滅ぼさせてから、俺がアザエル教団を攻め滅ぼす。
そんな長期計画を立てていたのだが、その前にカンリフ公爵家が力をつけすぎてしまうかもしれない状況だったのだ。
それが予測できたからやった事だが、調子に乗り過ぎていたかもしれない。
カンリフ公爵の能力を低く見積もり過ぎていたかもしれない。
こんな事ではトリムレストン子爵を馬鹿になどできない。
自分望むように敵の能力を低く見積もっていたのは、トリムレストン子爵ではなく俺だと言う事になる。
そんな風に反省していたら、首都から皇帝陛下の勅使が下向してこられた。
しかも相手は皇帝陛下の公式な愛人で、俺の叔母だった。
首都で何かとんでもない事を勃発してしまったのかもしれない。
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