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第一章

第67話:勉強

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「私が実際にやって見せますから、それをマネすればいいのです。
 最初は何も考えずに形だけマネすればだいじょうぶですよ。
 心の中で神々に祈る言葉は自分の想いを正直に伝えればいいのです」

 ミネルバがうれしそうにオードリーに魔力の鍛錬法を伝えている。
 ミネルバのやり方は神々に力を分け与えてもらう方法だ。
 神々に気に入られる事で多くの魔力を分けてもらうのだ。

「はい、母上」

 オードリーもとてもうれしそうに教わっている。
 母親から愛情たっぷりに何かを教えてもらえる。
 自殺する前のオードリーには絶対に手に入らなかった事だ。
 
「では次に神々一柱ごとの性格と力を教えますね」

「はい母上」

「神々によって性格が全然違います。
 祈り方や祈る者の行動によって、ある神にはよろこんでもらえても、別の神だと怒らせてしまう事があります。
 だから神々の性格をよく知り、神を怒らせないようにしてね。
 貴女に何かあってはいけません。
 祈る前に必ず私かルーパスに相談してね、お願いよ」

「はい、母上」

 ミネルバは心からオードリーを心配していた。
 オードリーは母の愛情を感じて幸福感に浸っていた。

「次は私だな、私の知る限りの魔力鍛錬方法を伝える。
 オードリーほどの才能があるなら、直ぐに全部覚えられるだろう。
 まずは魔力を身体中に流していく方法からだ」

「はい」

「魔力は決まった順番に流すだけで元の魔力よりも増えてくれる。
 今までオードリーは自然に湧き出る魔力だけを守護石に貯めていた。
 だがこれからは湧き出る魔力を増やしてから守護石に貯めるようにしてくれ」

「はい」

「次に魔力を自分の魔力器官に貯める方法だ。
 今までは湧き出る魔力を全て守護石に貯めていた。
 だがこれからは自分の魔力器官にも魔力を貯めてもらう。
 これで万が一守護石が盗まれたり壊されたりしたと時にも困らない」

「そんな、守護石を盗まれるくらいなら命をかけて戦います。
 それに父上は二つも守護石をくれたではありませんか。
 二つも同時に盗まれたり壊されたりはしません」

「確かに私はオードリーに守護石を二つ与えたよ。
 普通の相手ならオードリーの言う通り大丈夫だ。
 だけど私達が相手にするのは大魔王なのだよ。
 私やミネルバが協力しても勝てないかもしれない相手なのだ。
 身に付けたモノを全て奪う魔術を使ってくるかもしれないのだよ」

「そうよ、オードリー。
 覚えられるモノは全部覚えてちょうだい。
 貴女を護るための武器は多ければ多いほどいいのよ。
 お願いだからルーパスの言う通り覚えてちょうだい」
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